第11話 工場地帯のおじさん



徳島は4人のNPCを倒した後、デスボックスからは食料品や飲料品及びUMP45やSKSに装填できる弾丸のみを取り、工場地帯に進入する。


幸いにも、周辺に敵はいないのか音は聞こえない。

しかし、遠距離からの狙撃も考えられるので、身を隠しながら慎重に歩を進める。


徳島がスマホアプリとして遊んでいた「out of Battle ARENA」というゲームは、高い貫通力を持つ弾丸で顔や胸を狙撃されたら、高いアーマークラスの防弾ベやバイザー付きのヘルメットを装備していないと、一発でゲームオーバーになってしまう可能性があるゲームだ。


この世界が同じ仕様ならば一撃死の可能性があるので慎重にならざるを得ない。


今の徳島の装備はアーマークラス3の防弾ベストやバイザーの付いてはいないアーマークラス3のヘルメットだ。相手が装備を固めていたら瞬殺されるのだ。


元々、徳島はスマホアプリのときから装備には課金をしたりゲーム内資金でも大量にかけたりはしていなかった。


手に入る装備でゲームをしていたので、誰もが羨む装備は倒した敵からの入手かゲーム内のクレートボックスから数回入手しただけなので、使用したのは片手で数えるほどだ。


戦闘の勝率も6割ぐらいだったはずなのでそんなに高くはない。


徳島が気に入っている銃もサブマシンガンが多く、交戦距離が短いので遠距離からの狙撃でよく倒されていたのだ。


工場地帯をしばらく進んでも敵とのエンカウントもないのでマップを確認して脱出地点を目指す。


徳島がこのゲームで気をつけているのはいくつかあるが、その一つに「帰還狩り」というのがある。


帰還狩りとは、脱出地点付近で待機していて、プレイヤーが物資を集めて脱出地点で帰還を待っている間に襲撃をすることである。


やられたプレイヤーとしては憤慨ものだが、行うプレイヤーとしては笑いが止まらないプレイングだろう。


自分の待っている所まで物資を運んでくれて隙だらけで脱出するまで止まっていてくれるのだから。


徳島としては帰還狩りに何回か遭遇した経験があるので、できるだけ気付かれないように慎重に脱出地点を目指す。


敵には遭遇することなく脱出地点まで進んできたが、徳島は脱出地点を確認、その後、周囲を警戒する。


脱出地点にはゲームと同様に発煙筒が焚かれており、その辺りにしばらく、止まっていれば脱出するという仕様だろうと推察するが、止まっている時間が不明なのと、ゲーム内だと脱出地点付近には土嚢や壁などがあって狙撃手からの射線から逃れられる仕様になっていたが、今回の脱出地点には土嚢や壁などはないのだ。


付近には工場内の事務所のような建物が一つあり、そこに狙撃手が隠れている可能性は否定できない。


徳島は建物内を確認してから、脱出地点に入ることを決めて、建物に向かう。

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