第7話 まだ迷うおじさん



近傍にある館と厩舎のどちらかを捜索しよう徳島はそう判断し周囲を確認する。


ゲームでの知識だと大きな館にはNPCだけでなく、PCともよく接敵していたが、この世界ではどうだろうか。


徳島は慎重に歩を進めて、館と厩舎は確認できる位置についた。

館からはときおり、銃声が聴こえており、厩舎からは人の話し声が聞こえてきている。


そういえばNPCはときおり、独り言を言ったり、会話をして位置が分かっていたが、この世界でもそうなのか?


徳島がそんなことを考えいると、厩舎の区画から人が出てくる。

徳島は反射的にUMP45に取り付けたサイトを覗き、照準を出てきた人物に合わせる。


どうやら、外観からはNPCらしいが実際は分からない。

しかし、本当に人間ならば、撃たれる可能性があるのに大きな独り言を言いつつ開放的な場所に出てくるか?と思う。


出てきた人物はSKSというカービンライフルを持っているようだ。

幸いにもサイトを付けてはおらず、照準はこちらに利があるが、SKSの有効射程距離は400メートルとやや長く、弾倉は固定式のため、クリップでまとめた状態で弾を装填する他、一発づつ手で装填することも可能だ。


開発当初では砂塵に弱く歩兵には適さないという評価もあったが、改良されてからは傑作銃の一つとして多くの国で使用された。


徳島は周囲を見渡して、他に敵がいないか慎重に確認するが、見える範囲には敵は1人だけであり、逆に今、倒さなければこの独り言のお陰で人が集まってくるかもしれない。


徳島はサイトを覗くと再度照準を会わせて発射、また相手に着弾するとダメージが表記され、数字が100を超えると相手は倒れてデスボックス状態となる。


徳島は自分が人に銃を向けることに対して忌避感が薄れていることを自覚する。

これがゲームの効果なのか、それともこの世界から早く脱出したい気持ちから出てくるものなのか、徳島には分からない。




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