第5話 進むおじさん
徳島が現在地を端末のマップ機能で確認すると近くには小さな湖があるようだ。
物音をたてないように、どんな小さな音もか聞き漏らさないように慎重に歩を進めると長閑だが砲弾の後も見られる小麦畑やその横にはきれいな湖が広がっているエリアにやってきた。
ここまでは最初の外国人以外の襲撃はなかったが、何処か遠くでは、狙撃と思われる発砲音が響いていた。
徳島は発砲音が聞こえる度に屈んて周囲を確認、自分が狙われていないと分かれば、慎重に前進を繰り返す。
徳島が持っているUMP45はサブマシンガンであり、スナイパーライフルと比べて交戦距離がかなり短い。
相手がボルトアクションライフルかつアイアンスコープであるならば勝機を見いだせるかもしれないが(シモ・ヘイヘのような天才狙撃手だとそれでも負けるが)、スコープを使用された対物ライフルなんかだと、徳島が気付く前に倒されてしまう。
徳島は思う。今、この場で仮に死んでしまうとどうなるのだろうか?
ゲームだと、例え死んでも、持っている装備を全部ロストしてしまうが、復活をして次のレイドに備えることができる。
このゲーム世界ではどうだろうか、また次のレイドに行けるのか、元の世界に戻れるのか、死んでしまうのか、それすらも分からないのだ。とりあえず、死なないようにして、時間内に脱出地点に行かなければならない。
徳島が更に歩を進めると、小麦畑から足音が聞こえる。しかもだ、徳島の目には音の聞こえる方向が矢印のようなもので示されている。
「この音を示す印は本当にout of BATTLE ARENAと一緒だな。」
先程の発砲音は遠すぎて表示されなかったが、近くから聞こえる場合は、ゲームと同じように音だけでなく視覚でも音がわかるようになっている。
だが、そんなことに感動している場合ではない。
足音が聞こえるということはこちらの足音が敵に聞こえる可能性があるのだ。
徳島は足音の聞こえる方向を息を殺して見つめる。そちらは小麦が生い茂っており、何も見えないが、音と一緒に、矢印のようなものが表示されている。
足音が止まったとき、徳島はUMP45のトリガーを引き、銃弾を発射する。
サプレッサーの効果でUMP45の発射音は抑えられており、相手に銃弾の命中した音と悲鳴が聞こえた。
足音を殺しながら近付くとそこに先程の外国人を倒したときのようにデスボックスが落ちていた。
どうやら上手く倒せたらしい。
デスボックスに触れると中身が頭の中に浮かんだが、役に立ちそうなものはなく、得るものはなかった。
「ボロボロなボディアーマーに、トカレフか、いらんな。」
徳島はUMP45のマガジン交換をして、取り外したマガジンに持っていた.45ACP弾を装弾する。
徳島は9☓19mmパラベラム弾の方が反動が少ないから好きなのだが、持っている弾が.45ACP弾しかないので、反動が気になるが.45ACP弾を装填している。
「確か、トカレフは使用弾薬は7.62×25弾だったなって、このままじゃ弾が無くなったら、戦えなくなってしまうな。トカレフも念のため持っておくか。」
徳島は先程のデスボックスからトカレフを選択し、入手、いつでも使えるように残弾確認した後、足に付けているガンホルダーに入れておく。
端末でマップを確認、まだ脱出地点まで距離があるが、着実に進んでいる。
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