第4話 確認するおじさん

徳島は絶対にこのゲームから生還すると決めた。

やり慣れたゲームではあるが、まったく同じとはいかないかもしれない。

徳島は慎重に近くの建物に向かう。

このゲームは他人がどこに潜んでいるか分からないのだ。

のんびり歩いていたら物陰に隠れていた敵から射撃されあっけなく退場なんてこともあり得るのだ。


あまりにもいきなり敵が出てくるので、out of BATTLE ARENAのことをホラーゲームと言っている人もいるぐらいなのである。


徳島は周りの微かな音でも聞き逃さないように、ゆっくりだが、確かな足取りで目指した建物に近づく。


無事に建物に入口つきゆっくりと扉を開けると、そこは荒れ果てた食品売り場らしい。

もちろん、生鮮食品などは、置いておらず、持ち去られずに残った小さなお菓子やシリアルバー、缶入りのジュースなどが置いてある。


「やはりゲームと一緒でお腹が空いたり、喉が乾いたりするとダメージを受けたりするんだろうな。バックパックの許す限り持って行こうか。」


out of BATTLE ARENAでも、現実と同じようにキャラクターは喉が乾き、お腹が空くといった状況になる。

かなり喉の乾きやお腹が空きすぎるとダメージを受けたり、長距離を走れなくなったり、息切れが激しくなって、自分の呼吸音を敵に聞き取られやすくなってしまうなどのデメリットが出てしまうのだ。


幸いにもお菓子をやジュースにはかなり残されているので、手当たり次第、バックパックに詰めて行く。


「こんなもんか。いざとなれば、捨てて別のアイテムと交換しても大丈夫だしな。」


徳島は荒れ果てた食品売り場から移動しようとする前に近くの窓から付近を探索する。


周囲には砲撃を受けて半壊している工場などの建物が複数あり、遠目には農場や厩舎などの建物も見える。

道も砲撃を受けて所々舗装が剥がれているが、歩きづらそうではなく見える範囲には人も歩いてはいなさそうだ。


「どうやら、スタート地点以外には敵はいなさそうだな。しかし、ホラーゲームとも証されてるゲームだからな。どこに人が隠れていてもおかしくない。慎重に行こうか。」

そこで徳島はふと気づいた。

「そういえばこのゲームは脱出地点が毎回変わっていたな。どこが脱出地点かわかるようなアイテムはないか?」


そうout of BATTLE ARENAではキャラクターはスマホのような端末を1台持っており、それで地図を確認し脱出地点を把握しているのだ。


徳島がポケットを探してみると、やはり、端末が入っており、起動させると地図が表記された。

画面スクロールするとゲームと同じように装備を着けた徳島の全身が表示されており、装備の耐久度や銃であれば、残弾数が表示されている。

さらに次の画面を表示させると徳島が持っている。バックパックやリグの中身が表示されていた。

「これは便利だな。地図や装備品が簡単に把握できる。しかし、現実と同じように歩きスマホなんかしていると、直ぐにやられてしまうだろうな。」


徳島は素早く地図を確認すると、今いる食品売り場は、マップ全体でいえば東にあり、今回、脱出地点に設定されている車両置き場は西にあった。ちょうどエリア全体を横切る形になっている。


「ここらへんもゲーム一緒だな。スタート地点のすぐ横に脱出地点は設定されることはないか。」


徳島は再度、周囲を窓から見て、人影がないことを確認してから食品売り場の出口に向かう。


徳島は出口から外を覗き、人がいないことを確認してから、外に出る。


「やれやれ。敵に会わないことを祈ろう。」

徳島はUMP45を構えながら慎重に進んで行く。

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