第3話 決意するおじさん
徳島は外国人が変化した箱に、手を伸ばして調べようとした。
どこにも開けられるような鍵も取っ手もない箱だが、手を触れた瞬間、徳島の頭の中に箱の中身が思い浮かんだ。
「さっきの銃はM1911か、古い銃だが、この世界がゲームならまだ現役だろうな。」
徳島の頭に浮かんだ箱の中身の銃は第一次世界大戦や第二次世界大戦で使われていた銃であり、徳島の中では骨董品と思ったが、この状況だ。武器はいくらあっても困らないだろう。
「とりあえず、残っている弾と一緒に銃ももらっておくか。」
徳島はそう言って背中のバックパックを降ろして中に銃を入れる。バックパックに入ってあったのは水とシリアルバー、今持っているUMP45の弾であり、多少、弾が多めに入っているぐらいだが、大きなバックパックなので、中身まだ入りそうだ。
リグに入っているUMP45のマガジンとUMP45に差し込んでいるマガジンを交換し、4発使用した弾を補充したマガジンをリグに差し込む。
「今、ふと思ったけど持っている装備やバックパックの中身から想像すると、俺の装備はout of BATTLE ARENAで俺が使用しているキャラクターと同じ装備と持ち物だな。」
徳島は汚れた窓ガラスに自分の顔を映して見るが汚れているのではっきりとは分からないが、普段鏡で見る自分の顔をよりは若く精悍な顔付きをしているように思える。
「ここらへんはイケメンにされていないのだな。多少、若くはされているみたいだがな。」
徳島はFPSゲーム以外のサブカルチャーには特に詳しくはないが、若い世代の隊員とは、話をしているので、突飛な話を聞いても拒否感はないが、自分が巻き込まれるとそうもいかない。
しかし、夢か幻かは分からないが、自分が今、実際に巻き込まれているのだから受け入れて、生き延びるしかない。
幸いにも自分が好きなゲーム世界であり、ゲームだが、使い慣れて性能も知っている装備を持っているのだ。
しかも、まだ確定ではないが、このout of BATTLE ARENAはバトルロイヤルゲームではない。
一番の目的は脱出であり、いくら大量に敵を倒しても、大量に物資を手に入れても脱出できなければ失敗扱いになるゲームだ。
どんなに無様でもいいので生き延びて脱出すれば良い。
「絶対に生きて脱出してやる。」
そう徳島は決意し、まだはっきりと記憶している妻の優しい笑顔を
思い浮かべる。
「愛する女に会えないまま死ねるかよ。」
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