第103話 桃子は真央氏の永遠のメイド長なのだから!
「ぬーすんだばーいくでほーにゃらーらーらー♪(´>∀<`)」
草村さんに借りたハーレーに真央を乗せると、桃子は湘南へと走らせた。
「ももこさーん、どこにいくのー?」
「海だよ!女は海だからね!海と一体化しに行こうっ!!」
「もしかして、湘南?」
「しょーなんです(´>∀<`)ぎゃははー!」
海岸に着くと、バイクを停めて砂浜を裸足で歩いた二人。実を言うと、桃子はあらゆるコネクションを利用して、一部の海岸を貸し切りにしていた。何者なの桃子。どれほどこの国の権力者を従えているの、桃子っ!
「ひゃぁ、水が冷たいっ!ねぇ、なんか誰もいないね??」
「真央氏があまりにも美しすぎて皆隠れたでござるよ!それよりほら、夕日が沈むよ!」
「わぁ、綺麗・・・。」
桃子は立ち止まり、夕日と逆向きに向いて叫んだ。
「ばかやろうっ!!お前の方が綺麗だっつーーーーーーの!!!!!!!!!」
「桃子さんっ!?」
「あ、すまん。心の声がだだ漏れた!」
「あはは。まったく、面白いんだから。」
「さぁ、かわいこたん。ここにお座りくださいませ。」
砂浜に不自然に置かれたウッドチェア。もちろん桃子が用意させていた。
「え、これ座って良いの?人のじゃない?」
「大丈夫だよ。さぁ、夕日を見ながら話そう。」
ウッドチェアに座り、夕日に向かって横並びした二人。ムード満点である。しかし、今日の桃子はそのまま真央氏を頂いてしまおうなんて邪な考えはない。ピュアな心で真央様をお慕い申し上げるメイドのように、慈しみの心でもてなそうとしていた。
「お待たせしました。どうぞ。」
「え、は?誰!!??」
低いボイスに真央が振り返ると、サンライズとかサンセットとかの名前がついてそうなノンアルコールカクテルが提供された。
「ありがとう。さ、真央氏。アルコールは入ってないからね。飲んで飲んで♪」
「ええ?ちょっと待って?なんで勝手に出てきたの?」
「いっついりゅーじょぉん!でありますよ。まだあるよ?」
「はい。こちらもどうぞ。湘南名物、しらす丼でございます。」
「え!!!???」
「わぁい。これが食べたかったんだよねー!」
イケメン風低ボイスの執事風海の家のバイトがカクテルとしらす丼を提供すると、桃子は嬉しそうに食べ始めた。真央が驚きつつもしらす丼に手をやると、ハッと気づく。
「えっ!?な、なんか、まわりにキャンドルが灯されてる!!!」
「ああ、日が沈んできましたからなぁ。ムーディーですな、真央氏♪」
「なんなの、、いつの間にこんなに仕込んだの、、さすがピーチ@顔バレごめんなすってだね。。」
桃子はどこからか取り出したレィディオをかけた。もちろん選曲はサザン一択だ。
「な、なんてロマンチックなの。」
「真央氏、しらす丼おいしい?」
「あ、うん。すごく美味しい。」
「綺麗だね、海。」
「うん。綺麗。」
「今度、皆でここにこない?バーベキューとかしよーよ!」
「え、うん!楽しそう!」
気がつくと、二人の話は弾んでいた。楽しくて、楽しくて、つい時間を忘れるくらい。
「あはははは!もうっ!桃子さんったら!おっかしー!」
「そう?桃子は売れると思うんだけどな。アマビエの足跡焼き!」
「わ、もう真っ暗だよ。そろそろ帰らないと。」
「そうだね。そろそろ帰ろうか♪(。•ω<。)」
ハーレーに跨がると、桃子は黙って帰路を走る。真央は気づいた。そういえば、晴とのことについて、なにも聞かれなかったし、アドバイスもされなかったと。
しばらくして、梅沢屋敷に着くと、真央がバイクから降りる。
「あー、楽しかった。桃子さん、ありがとう。」
「どういたしましてでござるよ~。桃子は草村さんにバイク返してくるね。真央氏は先に家に入ってて?」
「うん。わかった。」
「すーごく楽しかったね。やっぱり桃子は、真央氏とコンビニで働いてた時みたいに、二人きりで話す時間好きだな!」
そう言うと、桃子はバイクで走り去った。っていうか家ここだし、駐輪場もすぐそこなんだけど、、。かっこつけたいがあまりに、桃子はとりあえず走り去った。ひっこみがつかないからスーパーで買い物してから戻ってくるつもりだ。
「そっか。私だって、桃子さんと二人でいる時間も楽しい。そういうことなんだね?桃子さん・・・。」
真央は晴のいる二人の部屋に走り、晴と仲直りしたのだった。
その後。桃子は夕に怒られた。
「なんでいきなりいなくなるの!!」
「あい、ごめんなたい。。φ(・ω・` )」
そして数週間後、草村さんは新しく、アマビエの足跡焼き本舗を立ち上げるのだった。皆も通販してみて下さい。ナッツ&ビターチョコ味がおすすめです。
続く。
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