第101話 ブラウンさんも恋愛だけポンコツ

「ちょっと、、どういうこと?( •̀_₍•́ )」

「え、いや、、ちょっと落ち着いて話しませんか??(;゚Д゚)」


 桃子が友美を連れて屋敷に帰ると、待ち構えていたのは夕だ。仁王立ち&般若の形相でババーンっ!!だ。かわいこちゃんが本気で怒った顔はこわいよぉ??


「えっと、私はマチルドさんたちの手伝いをしてきますー!」


 やばい。今ここにいて何も良いことはないだろうと、友美は瞬時に判断して逃げた。残るは恋愛以外が天才の、恋愛ポンコツ女、桃子だけだ。


「なんで友美を連れてったのよ。あいつは桃子を狙ってるって言ったでしょう?」

「あ、いや。でも何にもなかったよ??」

「何もなかったとしても、私が嫌がるとか考えなかったの?」

「考えたよ。でもちょっとこれにはちゃんといわゆる桃子的な考えがあってだな、、」


 桃子の心の中。


(やばい、、全然考えてなかった。つまり、一緒に行動するだけでダメってことか。お触り一切なし、プライベートではなく仕事なんだから大丈夫だと思ってた、、。桃子、冷や汗たらーんでござる。。うむむむ、、)


 仕方ない、、あれを使う時が来たようだ。


「夕、ちゃんと理由を話すから、草村さんに紅茶を入れてもらってゆっくり話そう。ね?」


「わかったわよ、、じゃあ、ダイニングに行くわよ。」


「うん、あ。メジェ君に仕事の報告だけしてくるから先に行ってて?5分で行くからね。」


「わかった。逃げないでよ??」


 夕がダイニングへと向かったのをしばし見送ると、桃子はヒールの靴を脱いで両手に持ち、一目散に地下へと向かった。会いたいのはメジェ君ではなく、ブラウンだ。


 地下への階段を降りると、ブラウンのラボと書かれた緑にピンクの水玉模様のドアをノックする。


「あけてー!ブラウンさーん!桃子ピーンチ!取引してー!๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐」

 しばらくして、ガチャっとドアが開くと、ローブを被ったブラウンさんが。

「取引と言ったな、、ならば聞こうではないか。」

「5分しかないので緊急でお願いします!」

「ファーストフードじゃないんだけどね、ブラウンは。しかし、料金さえもらえればどんな無理も聞こうではないか。なにしろ世界一の占い師だからね。」


 桃子はスマホから電子マネーの支払いページを開くと、とりあえず500万と打ち込んで、ブラウンさんに送金した。


「今、ブラウンさんが開発したキノコペイで500万送金しました。足りなければ追加で後払いします。今すぐ、あの催眠をかけてください!」


「何?ブラウンの催眠にかかりたいのかい?じゃあ、1時間で500万ね。どんな催眠にかかりたいの?」


「えーと、女心がわかって、話が上手くなるような。怒っている人を納得させる感じ?」


「なるほど。理解したよ。時間がないのであろう??では、早速行くよ。そこでブリッジしてくれる?」


「はい、わかりました。せーの、ブリッジー!!ᕙ(´◉ᾥ◉`)ᕗ ムキッ」


 ぶっちゃけ、ブリッジさせたことに意味はない。面白そうだからさせただけだ。ぶらうんは、ローブを脱ぐと、催眠をかける目に切り替えて、呪文を唱えた。


「大岡越前になーれ!」*めっちゃシンプル!


「おおおおおおおおっっᕙ(´◉ᾥ◉`)ᕗ 」


「はい、できたよ。1時間だけ何でも解決できるよ。サァ、行った行った。」


「ありがとう、ブラウンさん。これで夕に友美との仲を疑われないで済むよ!!」


「なに・・・友美との、、仲、、だと、、??」*友美推しのブラウンさん、ショック。


「では、解決しに参るぞー!ᕙ(´◉ᾥ◉`)ᕗ 」


 自信に満ちあふれた桃子。もうずーんとなって身動きが取れないブラウンを置いて、夕の待つダイニングへと走った。


「お待たせっ!夕!」

「あ、来た。さぁ、ちゃんと説明して。場合によっては実家に帰るからね?」

「そんなこと言わないで?夕がいなかったら私は太陽が昇らない朝を迎えるようなものだよ。」

「だったら、初めから嫌がることしなければ良いでしょ?」

「うん、ごめんね。話してから行くべきだったかもしれない。だけど心配をかけたくなくって。」


 さぁ、大岡越前の登場だ。頼むぜ、ブラウンさんの催眠術~!*小せえ桃子。


 桃子、いっきまーすᕙ(´◉ᾥ◉`)ᕗ


 夕。私はね、今でこそこんなに大所帯で暮らしているけれど、、いずれは貴方と、、そう。貴方だけと、、二人きりでのんびり暮らしたいと思っているんだ。


 空気の澄んだ、自然の多い場所で、夕と二人きり。おばあちゃんになって、手を取り合って、毎日散歩をして、、。


 そのために、今はしっかりお金を稼いで、目の前にある仕事をコツコツこなしていきたい。今いる子達は皆優秀で、私の部下なんてもったいないくらいの精鋭達でござる、、いや、精鋭達だよ。


 だからね、あの子達も、いずれ独立できるようにしっかりと仕事を教えてあげたい。それにね、友美が作業部屋にいると、いつも夕とバチバチになってるでしょう?今日の仕事を任せることによって、友美は忙しくなる。そして、私は楽になるから夕との時間が増える。良いことづくしなんだ。


「あれ、ところで今日の夕はいつもと違うね。リップを変えた?」

「え、あ、うん。新しいのを使ってみたんだけど、、」

「とても似合ってる。そばで見て良い?あれ?香水も違う?」

「うん、、変えてみたの。どう?」

「すごく良い匂い。夕の匂いと香水が混ざった特別な匂いだね。これだけで私はライスが3杯食べられる。」

「そんな、、褒めすぎよ・・・?」

「ねぇ、夕。紅茶、飲み終わった?」

「え、うん。なんで?」

「二人きりになりたい。寝室へ行こう。」

「桃子・・・。とぅんく。。」


 キラキラとした目で見つめ合い、ゆっくりと立ち上がると、2人は寝室へと向かってダイニングを出た。


 一部始終を、空気となって見守っていた草村さんは、、


「あれで500万は高い。。」と唸った。そして、余った紅茶を地下に運ぶと、ブラウンさんはダンゴムシのように丸くなって泣いていたという。



 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る