第100話 おだてて振る無自覚チート桃子
桃子と友美が取引先に着くと、桃子は友美に挨拶をしたら何も話さずに自分の取引の仕方を学ぶようにと言った。
応接室に通され、桃子より年齢が上の男性が複数対面で座っている。友美は息をのんでその場を見守った。
「今日はお時間をいただきありがとうございます、梅沢様。」
「こちらこそ。御社と取引が出来るかもしれないなんて、この日を楽しみにしていました。」
桃子はバリッとスーツパンツで、肌をあまり露出していない。しかしその美貌は隠せない。柔らかい笑顔とゆっくりとした会話で男性達を魅了していた。
「それで、、スフィンクスの足跡焼きの販売権の譲渡についてですが、、」
桃子はニッコリと微笑んで、話を進めた。
「私は、皆さんとこれから長いお付き合いを出来ると信じています。ですから、お互いに利益が出るような取引しか致しません。今日は側近を連れて参りました。全てこの子に任せるつもりです。私は今日はご挨拶だけと言うことで。」
「えっ!!そ、側近って、、私のことですかっ!!」
「何も話さなくて良いと言ったわよね?」
「は、はい。すみません、、でも、、」
「大丈夫。任せて。」
桃子は封筒から書類を出すと、相手に差し出した。
「ここに、私が考えた契約方法が書いてあります。今日はこれで失礼しますので、今後はこの側近にご連絡ください。契約の際は私もまたお会い致します。宜しいでしょうか?」
「わ、わかりました。では、書類を拝見してご連絡致しますっ!!」
「では、失礼しようか。友美。」
「は、はい・・・っ!!」
桃子はニッコリ微笑むと、友美に目配せをして会議室から立ち去った。
「も、桃子さんっ!どういうことですか!?私っ、あんな重要な契約できませんっ!!」
「何言ってるの~。何も心配いらないよ~。見ているだけじゃ成長できない。失敗しながらどんどん実践で成長しなきゃ!大丈夫だよ、任せきりになんてしないから。泥船に乗ったつもりでいんしゃい(◍ ´꒳` ◍)」
「え、泥船はダメでしょ、、。」
「大丈夫。桃子ズEyeは友美になら出来ると言っている!」
「ええ、、そ、そんなっ、、」
桃子は立ち止まると、友美の両頬を両手で軽く押さえた。
「友美は才能あるよ。だから、どんなことが出来るのかどんどん可能性を広げていこう。ずっとアシスタントで終わる子じゃないよ。ね?」
ああ、またしても・・・無自覚チートが発動してしまったんだ、、。こんなことをされたら、誰でも恋に落ちる。元から恋に落ちていた友美にとって、こんなにも激しく胸を打ち抜かれる出来事はないだろう。
「も、桃子さん・・・。」
(ああ、もう本当にムリ、、好き過ぎる、抱いて・・・っ!!)
しかし、無情にも、桃子の本音はすぐに明かされた。
「いやさぁ、さっき側近って言ったけど、草村さんの側近なんだよね。表向きは私が今日来たけど、あの仕事の主導権は草村さんだからさ!今後は草村さんとタッグ組んで頑張ってね!アシスタントは時間のあるときだけでいいよ!」
「・・・え?」
「ほら。夕がさ、友美とバチバチやってるのも良くないしさ?これが一番良いかなーって閃いちゃったんだよね!(◍′◡‵◍)」
「・・・え?つまり、私は桃子さんと一緒に居る時間、、減る?」
「まぁしばらくはそうだろうね。でも大丈夫、私は友美なら出来るって思うから!」
「え、・・・はい、、ワカリマシタ・・・。」
ちーん(´๐_๐) シュン...
そうかぁ、、そう来るのかぁ・・・。うん、なんかもう、いいかな。好きだけど、、にぶちんだし。嫁に尻敷かれてるし。。そうだ、これは恋じゃない。推しだ。そう思うことにしよう。。
友美は未練があるものの、少しだけ諦める方向へと向かったのだった。
ねぇ、友美。近くに君のことが気になってる人がいるよ。メジェ君じゃなくって、、。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます