第97話 砂漠でとぅんく…♡
ここは砂漠。あたり一面、エジプトの砂漠である。ヒュゴォォォ…
そしてそこに豆粒のように佇むのは、、パジャマの女性とメイド服のくノ一だった。
「す、すごい。初めて来たけど本当に砂しかないですね、、」
「そうだよねー、普通来ないよね。もっと早く連れてきてあげれば良かったね♪ていうか、砂漠にメイド服がいるのウケる!」*貴方パジャマ
都心の梅沢家には、エジプトの砂漠に繋がる異空間ゲートがある。ゲートをくぐれば3秒で砂といったところだ。夕にとっては毎日のルーティンで来る、スフィンクス2頭のお散歩場所である。
夕に恋する草村の娘。もういろんな意味でドキドキしていた。
(ううっ、、本当に二人きりになっちゃった。。いや、変な動物が2頭いるし話もするから人間ぽいけど…。じゃなくって!夕さんと何を話せば良いかな、、)
「わーい!今日は草村の娘が遊んでくれるのー?(*ฅ́˘ฅ̀*)」
「ねぇ、フリスビー投げてー!(⁎˃ᴗ˂⁎)」
ブラウンによってゆるキャラっぽく整形されたスフィンクス達。荒くれた話し方も性格から変えられて、かわいいの塊であったが、草村娘にはどうでもよかった。
「ごめんなさい。私は夕様の護衛で来ていますから遊べないわ。2人で遊んでね?な?言ってる意味、わかるよな?」*かわいいを相手に本音が出た娘
そう言うと、草村娘はメイド服の袖を少しまくり上げ、フリスビーを手に取ると、円盤投げの要領で上半身をひねり、回転した遠心力を利用して思い切りぶん投げた。ビューーーン‼‼
「あーー!!(⁎˃ᴗ˂⁎)」
「待て~!!(*ฅ́˘ฅ̀*)」ドドドドドドドッ‼
(ふっ、これで邪魔者は消えた。当分夕さんと二人きり・・・。でも、どうするの私。夕様には桃子様という恋人がいらっしゃるのよ。・・・そうね、この想いを伝えるなんてできない。ただ今はこうして、そばにいられたら。。貴方の横顔だけでも、見つめていられたら…。このエジプト砂漠。。)
「草村ちゃん、私、あの子達を追いかけてくるね?」
「あ、お待ちくださいっ!あの、ご相談があります!!」
「ん?なぁに?もしかして仕事が辛いとか…。それで今日は付き添ってくれたとか…?」
「いえっ!滅相もございませんっ!母そして叔母共々、桃子様と夕様にお仕えできて幸せにございます!」
(ええいっ、こうなったらままよ!好きだと言ってしまえっ!どうせ振られるけどっ!!キスくらいはしてもらえるかもっ!!)*ポジティブの塊
「ゆ、夕様っ!ワタシ、私っ!夕様のことがっ!ん、えっ!?ぎゃぁ!!」
言わせてもらえなかった草娘。その時、フリスビーを拾って戻ってきたスフィンクス達が、渾身の飼い主様、拾ってきたよ攻撃をしかけてきたんだ。
「娘~~~!!えーいっ!(⁎˃ᴗ˂⁎)」フリスビー、どーん!
「くっ、こしゃくな!こう見えてくノ一の端くれ。熊をも倒す私のっっっ!!あっ!間に合わない~!!!!!!ぶごぉっっ!!!」メリッ‼
さすがのくノ一も、古代兵器スフィンクスの剛速球には叶わなかった・・・。
「わぁ!!草村ちゃんっっ!!!??」
「ゆ、夕様・・・。私、、私、、す、、すき、、」バタン・・・
「しっかりしてぇぇぇーー!!」
・・・・・・・・・・・・・1時間後。
(んっ、えっと、なんだっけ、、。ああ、私、敵もいないのに夕様の護衛に失敗してしまったんだった・・・。だって、あのフリスビー、なんか速すぎて炎が出てたし、、。いたた、、動けるかな、、起きないと、夕様に迷惑をかけてしまう、、。
ん、口の中になにか、、、水?そういえばここ砂漠。喉が渇いたな。水が入ってくる、、なんか柔らかいし・・・。まるで、、キスしているみたいに、、)
「・・・ん?」
「あ、気がついた?良かったぁ!」
「夕様…い、今、なにを…?」
「あ、ごめんね。全然起きないからこのままだと干からびちゃうし、お水飲ませたの。」
「く、口移し…。」
良く見れば、気絶した娘の頭は夕に膝枕されていた。そして、口移し、、つまりキスまでされていたことに気づいた娘。ゆっくりと起き上がると、頬を染めて自分の唇に指を押し当てた。
「…とぅんく。。」
説明しよう。スフィンクスはメジェドの部下であり、神に近い存在。彼らがいるだけでその場所はパワースポット。ちょっとした願いは勝手に叶ってしまうのだった。
「さてと、早く戻らないと!朝ごはん、皆待ってるかも!」
「は、はい!申し訳ありません!」
「行こう。ほら、フラフラしてるから手を繋いで?」
「は、はひぃ…♡」
なんてことでしょう…。夕さん。こういうのは桃子の役だったのに。女泣かせな展開になっちまった。
やはり、ハーレム屋敷はこうなってしまうのか…!!どうなる、草娘っ!!偽名で良いから下の名前も決めてっ!
続く。
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