第96話 草村家の日常
草村家の朝は日の出前から始まる。
草村妹「おはようございます。」
草村姉「おはよう。娘は?」
草村妹「いつもより早く起きて森を走っているようです。」
草村姉「ふふふ。草の者としての自覚が出てきたようですね。そして、一流の家政婦としても。」
草村妹「では、姉上。どちらかが戦意を喪失するまで、お手合わせ願います。」コォォォォ・・・
草村姉「よかろう。手加減なしですよ。いざ・・・」チョワァァ‼
・・・・・・見てはいけないものを見てしまった。
さて、梅沢桃子の屋敷で家政婦をしている草村さん。その妹の草村さん、その娘の草村さんも桃子に雇われているわけだが、この3人を派遣している会社は、草の者を集めた超人集団だ。その会社の裏にはブラウンマッシュルーム氏が君臨している。何なのこの人たちは、、と思ったなら詮索をしてはいけない。知らなくていいことってたくさんあるんだ。
草村娘は、まだ成人したばかりのツインテールが可愛い女子である。厳しい修行に明け暮れた人生だったので、大人しくて今時の会話をしない。鉄瓶でお湯を沸かして飲むと鉄分補給になるとかそう言う話ばかりする。
社会人として、草の者として、ようやく始まったばかりの草娘。やる気満々であった。明け方から起きて、森の中に入った草娘。滝行をして木から木へと飛び移りながら鍛錬していた。その精神力は計り知れない。。この孤独な時間に思惟することも高徳である・・・ん?
(ああ、夕さん・・・。なんて素敵な人なんだろう・・・。)*こいつも脳内ピンク色だった。
草の者は、任務に私情を挟まない。決して心の内を人に悟らせてはいけない。現代人は忍者というものを間違えて認識している。草村さん達、草の者は、手裏剣を投げたり風呂敷で空を飛んだりしない。。隠密活動が主な任務だ。
桃子様にお仕えする以上、この気持ちは隠し通さなければならない。今以上に、精神を鍛えねば・・・。
草娘は、この後、熊と取っ組み合いの戦いをした後、シャワーを浴びて梅沢家に出勤するのであった。叔母である草村姉のハーレーにサイドカーをつけて乗せてもらう。それがすごい目立つ。渋谷のスクランブル交差点のマリオカート集団より目立つ。目立っちゃいけないのに。。
梅沢家に着くと、朝食の準備を始める。この家ではみんな揃って朝食を取るから、大量仕込みである。バケツに卵を割って腕力でかき混ぜていると、、
「おはよう、草村さん。草村さんの娘さんも。」
(ドキ・・・。夕様・・・。パジャマ姿が可愛い。それに、眠そうなとろっとした顔がたまらない、、ああっ、心拍数が上がってしまう。だめよ、動じてはいけない。。なにあのほっぺ。触りたいっ!)
「夕様、おはようございます・・・。コーヒーになさいますか、それとも紅茶、、それとも(私っ!!!!!!!!)・・・と、豆乳など、、」
「ありがと、でも先にスフィンクスの散歩に行ってくるね!帰ってきたらもらう。」
今だ。草村娘は、策略を練ってあった。ひとときでも夕のそばにいられるように、、
「夕様。砂漠は安全に見えて賊がいるやもしれません。よろしければ私がお供して安全確認させていただきたいのですが。」
「うーん、砂漠で一番危ないのはスフィンクス達の破壊行動だけど、、まぁ、誰かついてきてくれると二匹が遊べて喜ぶから。今日はついてきてくれる?」
「かしこまりました。叔母様、食事をお任せしても宜しいでしょうか。」
「いいですよ。行ってらっしゃい。」
草村さんは見逃さなかった。草娘の一瞬の顔のほころびを・・・。
(ふふ、あの子、、夕様が好きなのね。見守ってあげるから自分でなんとかなさい。)
そして、草村さんは大量のベーコンをカリカリに焼くのであった。チョワー‼
続く。
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