第86話 君のところにもジェド兄弟がやってくる…かもしれない

「夕、ついにこの時が来たね…。」

「ええ、桃子。ずっと支えてくれてありがとう。ついに、ついに…」


 期待の新人百合漫画家、橘夕。ペンネームはユウ@ピーチの愛妻。神(メジェ)がかった夕は、同時に3本の連載を開始する。本日がその日である。


 百合好きなら誰もが知るカリスマ、ピーチ@顔バレごめんなすってのアシスタントでもあり、ピーチの恋人でもあるかわいこちゃん。そんな夕が連載を開始するという情報は、瞬く間に拡散され、雑誌の予約は殺到。出版社には出演依頼の電話が鳴り止まなかった。


 2人がテラスでお茶をしていると、門のところで遊んでいたスフィンクス達が騒ぎ出した。


「あ!妙ちゃっ!遊ぼ!(*ฅ́˘ฅ̀*)」

「あ!妙ちゃっ!もふもふしてぇ(⁎˃ᴗ˂⁎)」


「あ、後でね!夕さんに用事があるの!」


「じゃ、お背中乗って!運んであげる〜!(*ฅ́˘ฅ̀*)」

「ずるい〜!僕も運ぶー!(⁎˃ᴗ˂⁎)」


 スフィンクスが喧嘩をしだすと屋敷が破壊されるので、妙は仕方なく片足ずつスフィンクス達の背中に乗った。それは荼枳尼天のごとく美しかった。 


「夕さんっ!大変です!」バカラッパカラッ

「ん?馬の音?え、妙さんっ!う、うちの子達がまるでセグウェイ!!ビクゥッΣ(゚ω゚ノ)ノ」


「すみません、断ったら命が危ないと思い乗りました、、うちの嫁は未だにスフィンクスの話を信じてくれませんが…。それより、大変です!今日発売の雑誌が売り切れで、重版が追いつきません!!!!」


「ええっ!そんなに…?!」


「はい!特に、夕さんイチ押しの【スムージーみたいにヘルシーな彼女が出来たので肌艶が良いです】が大ヒットの予感!映画化まで見込めるのではないかと!!」


「す、すごい!桃子!信じられない…!」

「やったね!夕の才能が認められたね!」


「つきまして、当社にお越しください。社長が緊急会議をと!!」


「わかりました!すぐ準備します!!桃子、ごめん。行ってくるね!」


「うん、頑張って!私は株主総会に呼ばれてるから。」


 なんて順風満帆なの、桃子。



 皆さんは、座敷わらしが棲み着いた家は繁栄するという伝承を聞いたことがあるだろうか。この梅沢家は…ジェド兄弟という50柱の神が棲み着き、スフィンクスが2頭いることで…、パワースポット化していた。。


 ん?バイクの音が聞こえた?…ああ。カク◯スさんが赤ワインを配達に来たんだよ。ジェド兄弟の主食だから…。


 続く。

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