第83話 かわいいにつかまったでござるな╮( •́ω•̀ )╭ヤレヤレ

「どうでしょう…、妙さん。今度こそ自信作です!切ないラブストーリーです!描きながら何度も嗚咽しました!」

「こ、これは…!な、なんてことだっ!重いっ!ヒロインが重すぎるっ!人類稀に見る重力だ…。足が床にめり込むっ!!」*そこまで言われると気にはなるね。


 新人百合漫画家を目指すことになった、元普通のかわいい女の子、夕。出版社の妙ちゃんに出来たばかりの原稿を見てもらっていた。


「うん。最高ですっ!これなら、ピーチ先生と肩を並べる日もそう遠くはないっ!」*そうなの?Σ('◉⌓◉’)ぇぇ


「ほ、本当ですかっ!う、嬉しいっ!!」


「はいっ!特に夕さんはかわいいから、顔出しでどんどん宣伝しましょう!ファンがすぐにつきますよ!」


 桃子は少し前まで会社勤めをしていた。副業がバレたらクビになる桃子は、美貌を隠し、ピーチ@顔バレごめんなすってとして活動していた。基本、メディアに顔は出さない。だけどコミケでは顔を出して活動していたので、絶世の美人であることは知られていた。隠されている分、一目そのお姿を見たいとコミケに足を運ぶファンが沢山いるのだ。対して、今の夕にはなんのしがらみもない。見た目も宣材よっ!


「夕さんは、ペンネームをどうしますか?」


「決めてあるんです…。私がここまで人生を劇的に変えたのは、全て桃子やメジェ君たちのおかげです。そんな皆へ、敬意をこめて…」*拡声器を取り出す元普通の夕。


〚ユウ@ピーチの愛妻〛にしましたぁぁっ!ガガガガピ−−−‼


「な、なんとっ!す、すごい周りへの威嚇。。ピーチは私のもの感がすごい!あれ?敬意はどこに…!?」 


「実は私、気づいたんです。。桃子ってまだ自分で気づいていないけど、もう顔出しNGじゃないんですよね…。桃子や妙さんがそれに気づいたら、あの美しい彫刻のような顔を売り出すに決まってる、と。私のなのに。」


「はっ!気づかなかった!!!!ピ、ピーチ先生が顔を出せば、メディアは大騒ぎになります!!連日特集を組まれるっ!大儲けだ!」


「でしょう?だから私、ハエがたからないように手を打っておこうかと。私のだから。。」ウフフ…


「さ、さすが、重い女…!隠れヤンデレ…!うちの嫁と似ている…!」ミチルタン‼


「ピーチの唯一嫁であることを前提に、プロデュースお願い致します!妙さんっ!!脱ぐ以外ならなんでもやります!!」


「わかりました!社に戻って緊急会議を開きます!!ああっ、忙しくなるぞ!この仕事に就いてこんなにワクワクしたのは初めてだ!!」*流されやすい妙氏



 桃子は知らぬ間に、ピーチ@顔バレごめんなすってを改名させられそうな流れになっていた。


 そして、実は夕がまだ、しっかりと重い女のままなのと、浮気防止策をされまくっていたことも知らなかったのだった。


 モテるって大変ね、桃子。


「では!また来ます!」サイナラ!!


 妙が帰ると、ちょうどお昼を過ぎていた。夕は執筆中の桃子の元へと急ぐ。


「ダーリン〜♡聞いて〜♡」


 後ろから桃子を抱きしめて頬にキスする。チゥ・・・‼


「うん?あ、打ち合わせどうだった?」


「うん!バッチリよ!2人でランチしながら話したいの。ねーいいでしょ?♡」ネェネェ!!


「うん。もう少しでキリをつけるから待っててね♡」


「はぁーい♡」


 桃子は察した。お昼は皆とは食べません、貴方と2人で食べます!という夕の要望を…。桃子はマチルドに目線を送った。小さく頷いたマチルド。スッと部屋を出て、草村さんと共に2人分の昼食を桃子の寝室に運ぶ。


 できる女、マチルドは草村さんに、草の者チームに誘われたという。数年後、フランスに草の者は進出する未来予想図だ。ブラウンを筆頭に、世界経済は梅澤家で動かされていた…。


 さぁ、ここからは読み飛ばして頂いて構いません。ちょっとたまにはいちゃいちゃさせてあげるだけですので!!*労働組合より


「はい、桃子。あーん♡おいち?」

「あーん。おいちい!夕もあーん?」

「んー、おいちい♡」


 草村さんが作ったご飯でここまでいちゃつける猛者カップル。


「桃子、夕のこと好き?」

「ああ、かわいこたん。そんなこと聞かなくたってわかるでしょ?」

「でもー、言って欲しいのぉ!」

「好きに決まってるよ!こんなに素敵な人は二度と現れやしない!」

「んーでもなぁ?桃子の周りにはかわいい子がいっぱいだからなぁ?」

「私だって、夕が他の誰かに言い寄られやしないか、いつも心配だよ?」

「あんっ、私の目には桃子しか映ってないわ?」

「私だって、、そうよ・・・」

「じゃあ、証明・・・してくれる・・・?」

「美容室に行くんじゃ・・・」

「出かけるまで、あと45分あるわ。」

「え、ご飯食べてそれから、、えっと、」

「桃子に、不可能はないわ・・・」

「夕・・・」


 桃子の独壇(久しぶりのオタクバージョンです!)


 はぁ。かわいこたんとお付き合いするのは大変でござるな。。まぁ、わかっておったにょ。2次元のヒロインをどれだけ好きになろうと、現実に飛び出してきて付き合ったら社会生活に支障がありそうな女の子ちゃんばかりである。葉っぱ氏も六浦姉妹に夢中だけど、付き合えるかって聞かれたら無理と言っていたでござる。。


 うちの子は前から重い女系ヒロインだし、、わかっていたことだ。そういうところもたまらなくかわいいでやんすが、、╮( •́ω•̀ )╭ヤレヤレ


 推しを愛でるのと、恋人を愛するのとは随分違うものなんだな。桃子学んだ。でも女に二言はないのでござる。かわいこたんは幸せにせねばならないのだ!!


 ん、え?ちょっとちょっと?夕さん?まだご飯食べてるよ??え、箸奪われた??水を飲めと!?あ、早くご飯のみこめと??


 あ、え、あ。はい。そうきますか…。


 しからば、、致しませうっ!!!お覚悟をっ!!せいっ!


 続く。


 

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