第74話 ペットじゃねーから。そこんとこよろしく!

「じゃあ、また来るね!おおちゃん、ありがと!樹里さんもありがとう!」

「はい、夕さん。いつでも来てください!だけど、いきなり部屋に居るのはびっくりするからやめてね!」

「夕ちゃん、またね!桃子さんによろしく!」


 精神的にたくましくなった夕は、メジェ君を肩車して、スフィンクス2頭を両脇に抱えて、エジプトから日本へ。桃子の元へと瞬間移動するのであった。


 桃子の家では。。


「桃子様、、何か召し上がりませんか?」

「うーん、食欲がないから、、」

「困りましたね、、でももうすぐ夕様も戻ってらっしゃいます。少しでも元気な姿にならないと、、ひどい顔ですよ?」

「うん、、(›´÷`‹ )・・・わかってるんだけどね、、」


 その時だった。ひしゃげた桃子の顔に、突然ぺったりとなにかが上から落ちてきて張り付いた。


「(›´÷`‹ )ふぅ。。(ヒューン、ペッタリ!)うわぁぁぁぁぁ!!!え、ぎゃー!!!!ヽ(◎Д◎)ノ」


「あら。メジェド様。お帰りなさいませ。」

「オー‼クサムラ‼タダイマ‼」

「ということは、夕様も?」


 桃子はメジェ君を引き離すと、キョロキョロとあたりを見渡した。

「夕・・・。夕ーーーー!!どこ!?」


 ジャー。ゴボゴボゴボ。パタン。

「あ、桃子。ただいま!トイレ行ってた!」


 エジプト発→自宅のトイレ着のメジェ便、フライトの旅。強くなってからに、、夕ちゃん。


「(இдஇ`。)あ、、あ、、ゆ、ゆう、、」

「ただいま、桃子。ごめんね、遅くなって。」

「ゆう、、寂しかった、、ぐすん。(இдஇ`。)」

「ごめん、ごめん。おいで?」

「う、う、うわーーーん!!٩(இ ⌓ இ๑)۶」

「よしよし。会いたかったね、、」

「うんっ、、帰ってこなかったらどうしようかと思ったっ!!」

「馬鹿ね、2人のために行ってきたんだよ?」


 熱い抱擁を交わす桃子と夕。草村は察して、メジェ君を連れてそっとその場から居なくなった。


「桃子。聞いて?私ね、桃子が忙しくて2人の時間が少ないのが寂しかったの。」

「ごめん、、(இдஇ`。)」

「それでね、もっと桃子の仕事が楽になるように、漫画の修行にでてたのね。思ったより捗ったからついエジプト旅行して樹里さんとおおちゃんの家に居て遅くなったけど、、」

「そ、そうだったんだね、、。そんなに無茶させてしまって、、」

「ううん。私ね、旅に出てすごく強くなったの。もう構ってもらえないくらいで落ち込んだりしない。むしろ、自分がやりたいことを見つけてきたの。」

「やりたい、、こと、、?」


 夕は抱きしめていた桃子をそっと離すと、ゆっくりと立ち上がった。気を利かせた草村が、部屋の電気を消して夕にスポットライトを当てた。ペカーッ‼


「私、5万冊の百合漫画を読んだの。そして、、イマジネーションの泉が湧きっぱなしなの。最高傑作と自負する百合漫画も10作描き上げてきたわ。」


「ご、5万冊っ!?ビクゥッΣ(゚ω゚ノ)ノそ、そして、10作もっ!」

「ええ。私、決めたわ。桃子の手伝いはしない!ライバルになる!!」

「え、ええっ!!!?」

「アシスタントを雇ってください。もう嫉妬はしません。」

「え、急にドライっ!!」

「大丈夫。愛がなくなったわけではないの。私がスーパー夕に覚醒しただけのこと・・・。」

「つ、つよい、、かっこよ。。」

「愛してるわ!桃子!2人で切磋琢磨してこれからも最高のカップルでいましょう!」

「ゆ、夕っ!!」


 その時だった。

「オイ‼コイツダレダ?」

「ミルククレヨ‼」


「え、・・・わぁっっ!!な、なんか居るぅ~!!ビクゥッΣ(゚ω゚ノ)ノ」


 桃子の足下に突然現れた人間の顔をした小型犬、、もといスフィンクスが2匹。さすがの桃子も腰を抜かした。


「あ、ごめんごめん。この子たちは、メジェ君の部下でスフィンクス。連れてきちゃったの。一緒に住むけど良い?」

「え?え?え?え?ス、スフィンクス!!??」

「うん。もうエジプトでは大騒ぎになってるけど、こっちではニュースになってないかしら。。一応窃盗事件みたいになってるけど、、本当の所有者はメジェ君らしくて。。」

「そ、そうなんだ。。え、なんで日本語話せるの??」


「5千年イキテルカラナ‼」

「教養ガナクテスフィンクスデキルカ‼」


「え、性格が強そう・・・。だ、大丈夫かな、、」

「大丈夫。躾の本をあとで買ってくるから。」

「そ、それなら、、わかった。」

「名前は、、あれ?名前ってあるの?」


「アルゼ‼俺ハ 阿形ダ‼」

「俺ハ吽形ダ‼」


「アギョーとウンギョーね。これから門番、よろしくね!」


「「マカセロ‼早クミルクヨコセ‼」」


「ふふ。散歩用にベビーカー買わなきゃ。双子用の♡」

「あ、あの、、ちょっとでいいからいちゃいちゃさせて??」

「あ、ごめん。どうぞ♡」


 というわけで、また桃子と夕の生活は、刺激的に変わっていきそうだった。


 続く。

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