第73話 スフィンクスの足跡焼き、フランチャイズ募集中

「夕さん、どうでしたか?メジェ君の秘密が隠されたピラミッドは!」

「おおちゃん、、まさか、ピラミッドの本当の意味をこんな形で知るなんて・・・。ドキドキが止まらない。。」


 エジプトに到着した初日は、樹里と叶が作ったエジプト料理を食べて盛大に宴をしてもらった夕。翌日は叶とメジェ君に連れられてあるピラミッドを探索していた。

 残念ながら、ピラミッドの秘密は知ってしまうと大変なことになるのでここで書くことは出来ないが、どうやらメジェ君は相当重要な秘密を隠しているようだ。


「フフフ。ビックリシタダロウ?」

「うん、、まさか宇宙人が、、いや、言葉にするのもこわい。。」

「ナニイッテルンダ‼オレガイレバ大丈夫ダ‼」

「そうだけどさ、、あと、メジェ君っていっぱいいるんだね、、」


 ガクブルな夕。一体何があったのだろう。メジェ君がいっぱいとは・・・!?


「アジェドさんとイジェドさんは良い人だったけど、ウジェドさんとエジェドさんはちょっとエッチだったね。あとオジェドさんとカジェドさんは芸人並みに面白かった!」


 叶はエジプトに来てからメジェ君と遊ぶことが多かったので、不思議なことに慣れていた。アブラハムニのようなメジェ君の出生を知っても特に驚かない。ちなみにメジェ君は最初の持ち主である叶が1番好きだ。2番が夕である。


「オイ‼カナエ‼ダッコシロ‼」

「はいはい♡」

「コレカラオレノオ気ニ入リノスフィンクスニ会イニ行クゾ‼」

「とうとう、連れて帰るスフィンクスのところへ行くのね。ちょっとコワイ。。」


 そうしてメジェ君に瞬間移動させられて違うピラミッドへとたどり着くと、叶と夕は喋るスフィンクスと対面。パグサイズに小さくされる一部始終を見ることになる。


「小サクナァレビーム‼」

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!小さくなったぁぁぁぁぁ!!!」*腰を抜かす夕。

「わぁー、かっわいい!うちにも欲しいなぁ♡」*肝が据わっている叶。

「オイスフィンクス‼オレノ妻タチニ挨拶シロ‼」*叶と夕はメジェ君の妻認定だったプチ衝撃


「コンチワ‼」

「カワイイジャン‼」

 小さいスフィンクスが喋りながら足元を駆け回る大衝撃。


「わー!こわいぃ!見た目はかわいいのに中身が不安だし〜!」


 とりあえず、夕は最強の番犬ならぬ番スフィンクスを手に入れたのだった。


「さ、そろそろ帰って晩御飯にしましょ!!夕さんのために、メジェ君直伝のホルスの好物料理を作りますね!」


「わぁ、楽しみ!なんか帰りたくなくなっちゃうなぁ〜!」


「ふふ、メジェ君がいればいつでもこれますから♡」


 そうなのだ。この人達は、本当によくわかっていないのだ。メジェドがいればいつでも来れるのだ…。その頃の桃子を知らずに、呑気にエジプト連泊を楽しんでいるけれど。では桃子の容態を見てみよう。


「夕が…帰ってこない…。°(°´ᯅ`°)°。」


 夕がいないのは3日だけと聞いていた桃子。5日目になって当然ボロボロになっていた。床に頭をつけて地面と一体化していた。 


「ど、どうしたのでございましょう。草村もびっくりでございます…。」


「うむ。ブラウンもわからん。メジェ君に通信してみるか…。」


 もっと早く連絡してあげてよ、ブラウンさん。しかし、ブラウンは有名占い師にして魔術師である。わりと引っ張りだこで多忙だったのだ。


 心配すぎてご飯が喉を通らない桃子。


「夕…帰ってきて…。(›´ω`‹ ) ゲッソリ」


 愛する夕。大好きな夕。お願いだから帰ってきて、そばにいてくださいと、心から願った桃子。


 しかし、その願いよりブラウンのテレパシーが確実にメジェ君に届いた切ない現実。 


「ももたん、連絡取れたよ〜!夕は今、エジプト観光してるって!桃子がげっそりしてるって言ったら、晩御飯食べたら帰るねって!」


「ほ、ほんと…?(›´ω`‹ ) 」


「ブラウンも行きたいって言ったら来週ねって!新しいキャミソール買わなきゃ!アラビアンなやつ♡」


「草村はもちろん、護衛でついていきますよ!」


「良かった…。じゃ、仕事するね…。今漫画描いてもハッピーエンドにできる気がしないけど、、。」


 重症であった。そんな桃子の状態を初めて知った夕は、うっかり楽しすぎて忘れていた桃子を思い出した。女の子ってたまにそう言う時あるよね!


「え!?エジプトにいる3日間は桃子にとっても3日間?じゃあ、私って6日くらいいないことになってるの??大変っ!帰らなきゃ!あ、でも世界一周したかった、、」


「日帰リデ毎日ドコカイコウゼ‼︎」


「桃子、、そんなに寂しがってたんだ。。私、ちょっと倦怠期だったのかもしれない。あんまり寂しくなかった。。でも会いたい!早く帰りましょう!?あ、でも晩御飯は食べてからがいい!!」


「そっか。夕さんは桃子さんの漫画を手伝えるようになるために修行に出ていたんだね。じゃあ、今日帰るなら、叶が作ったひよこ豆のフムスとかをお弁当箱に詰めてあげるね。」*桃子が不憫な樹里


「夕さん、なんだか強くなりましたね。前はもっとこう、、重めの恋愛しそうだったのに。。」*やんわり過去をほじくる叶


「確かに!メジェ君の修行を受けて、現実離れした事が多すぎて寂しいとかもっと構ってほしいとか言ってるの馬鹿らしくなったかも!ありがとう、メジェ君。樹里さんとおおちゃんも!!」


「夕さん、、」

「夕ちゃん。。」


 ここに、3人の友情はさらに深まって誕生した。またしばらく会えないかもしれないと、3人は最後の晩餐を心ゆくまで楽しんだ。この時間をしっかりと記憶しておこうと。


 しかし、スフィンクスを連れ帰る夕は、スフィンクスのストレスが溜まらないように、砂漠を散歩させるために毎日エジプトに1時間くらい来ることになることをまだ知らなかった。そして後にエジプトでは、小さなスフィンクスの足跡が砂漠で大量に発見されるわけだが、この謎も永久に解明されることはなかった。そしてさらに、東京、大久保では、スフィンクスの足跡焼きという新商品が一大ブームとなる。カスタードとチョコレート、そしてあんことチーズが選べるらしい。


 フランチャイズに興味のある方は、メジェ君かブラウンマッシュルームさんにご一報を。(カクヨムと作者は関係ありません。)

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