第65話 伸びよ!うまか棒!

「草村さん、、草村さん、、しっかりして!!」

「ん…、あ、れ?」

「あ!気づいた!桃子っ!草村さん、気づいたよ!」

「ああっ!良かった!!」


 メジェ君の咄嗟の行動により、桃子の前世である桃次郎の母親の転生先にされてしまった草村さん。目が覚めたがそのことには気づいていなかった。


「お、おかしいですね、、。ちょっと貧血だったのかもしれません。でも全く問題ございませんので、、お騒がせいたしました…。」


「ほ、ほんとに?ゆっくり休んだほうが良いよ?草村さんだって忍びとは言え人間なんだからね??」


「や、優しい、、も、桃子様、どうか草村にそのお顔をお見せください…。ああ、ずっと会いたかったような気がする…!!およよよっ!」


「(⁠(⁠(⁠;⁠ꏿ⁠_⁠ꏿ⁠;⁠)⁠)⁠)え?ど、どした?草村さん??」

「(⁠(⁠(⁠;⁠ꏿ⁠_⁠ꏿ⁠;⁠)⁠)⁠)え、桃子、、なんか草村さんの様子が…。」


 桃子を見て号泣する草村さん。困惑の極み。

「そ、そうだ、メジェ君は、、」

「それが、、目を覚ました途端にブラウンさんのところに飛んでっちゃったの。ヤバイヤバイ!!って言って…。」

「そ、そうなんだ…。」


「草村は大丈夫でございます。。さぁ、それより夕様。そろそろ夕飯を作りますよ!桃子様のためにっ!」

「え、は、はい。」

「今日の献立はどうするおつもりで?」

「え?えーと、暑いからうどんでも、、」

「シャラーップッ!却下でございます!!育ち盛りの桃子様にそんなツルッとしたものを!」

「༼⁠⁰⁠o⁠⁰⁠;⁠༽え…ダメでした?ツルッと…。」

「塊肉になさいませ。今や、桃子様は大黒柱。精力をつけていただかないと!」


 何かがおかしい。桃子はこれほど夕に厳しく当たる草村さんを見たことがなかった。


「ちょ、草村さん?私はうどんで充分ですよ??そんな肉ばかり食べても体によくありませんし…。」

「いいえ。ついでにはっきりさせておきたいのですが、桃子様は夕様に甘すぎます!!」

「༼⁠⁰⁠o⁠⁰⁠;⁠༽え?そ、そう?」

「もう二度と嫉妬させないと桃子様は誓いましたが、夕様は誓っておりません!!」

「そ、それは、私が悪かったからで、、夕は何も悪くないからだよ!」


 ここで、草村さんにスポットライトがあたり、気がつくと草村さんはトレンチコートを羽織り、パイプを咥えて煙をくゆらせていた。どこまでもくノ一な草村さん。俊敏である。 


「ふっ、愚かな。やはり草村がついていなければ貴方はまだダメなのね。よく思い出してくださいませ!!桃子様!!この夕様は!割りと最近まで男性の恋人がいた身。こともあろうに、そのあとは横恋慕!!挙句の果てには!赤提灯とスナックでサラリーマンたちにマドンナと呼ばれているのですよっ!!」


「ちょっ、ちょっとまってください!!私は別に桃子を裏切るようなことは1つも…!」

「いいえ。裏切ろうが裏切りまいが、貴方は尻軽です!よく聞きなさい!!この草村が本気を出せばっ!日本中からよりすぐりの女性面接して、桃子様にふさわしい方を選び直すことができるのですよ!!?」

「ええっ!そ、そんなっ!」


「༼⁠⁰⁠o⁠⁰⁠;⁠༽ちょ、草村さん?私は夕が好きだから、そういうのはちょっと…。てかどうしたの?急に。なんか、鬼姑みたいな…。」


 その時だった!どこからともなく、ブラウンを連れたメジェドが現れ、目から閃光を放った!!ビカーーーっ!!!


「うわっ!眩しいっ!!!!」

「えっ!なにこれっ!メ、メジェ君?!!」


「わはははは!間に合ったようだな!!」

「ブラウンさん!どうして急に!!?」

「いいから!ちょっと失礼するよ?ラミパスラミパス、草村さんから桃次郎の母親の魂を抜いて江戸時代に戻るるるー!!」


 ブラウンさんが秘密の呪文を唱えると、うまか棒のコーンポタージュ味を取り出してメジェ君に渡した。メジェ君はうまか棒の穴の中から目のビームを一気に草村さんに当てたのだ!!


「カモーン!!エドニカエレー‼ウマカビーム!!」

ビカーーーンッッッ!!!☆☆☆


 メジェ君は、ブラウンからうまか棒を貰わないと草村さんをもとに戻せなかったのだ。生まれ変わりの棒。略してうまか棒を…。


「あーーーれーーー!」サヨナラ~!!

「おおっ!草村さんから魂が抜けたぞ!さぁ!メジェ君!!行くんだ!!」

「ジャオレソコマデオクッテクル!!」

「頼んだよ、メジェ君!!」


 こうして、何も知らない桃子と夕が怯えている間に、ブラウンのおかげで草村さんは無事に元に戻ることが出来たのだった。


「ふう。これでよしっと。じゃ、ブラウン帰るね?急いでたからローブの下、ブラジャーなんだ。恥ずかしい♡」


「え、一体なんだったの…?」


「まずい!ブラウンは本当のことを言えないんだった!ど、どうしよ、、あ!そうだ!あのね!草村さんは、、えっと、更年期でたまに怒りっぽいの!!」ババーン!!


「そ、そうだったのね!!」*信じた夕

「どうりでっ!そうかなって思った!」*ゴリゴリに信じた桃子


 こうして、草村さんは不名誉な偽情報を流されはしたが、元の自分に戻れたのだった。


 そして、夕は薄っすらと尻軽呼ばわりされたことを根に持った。赤提灯とスナックに行く嗜みはしばらく封印したという。


 メデタシメデタシ!!


 

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