第58話 かわいいが集まる場所、それが梅沢家。

 現在の梅沢家リビング。


 ダイニングテーブルに桃子と夕がとなりに座っている。反対側には新しい出版会社の担当、妙ちゃんが。そしてなぜかその隣には草村さん。そしてなぜか草村さんの膝の上にはベッドに放り投げられたはずのメジェド様のぬいぐるみが。計5人。


「では、ピーチ先生。契約書の方を説明させて頂きます。」

「は、はい。よろしくお願いします。」

 仕事の話が終わるまでは極力黙っていようと思った夕。そして草村さんとメジェド様。契約書の話は続く。


「ピーチ先生の漫画が出版社から出るのはこれが初めてですので、是非今までの作品を全て当社で、書き下ろし付きで出版させて頂きたく。ちなみに全ての作品を出版するとなると10年はかかりますね!あはは!」

「え、笑ってる妙ちゃん、かわいいっ!でも笑えない話だねそれ!」

「とりあえず、それが当社の希望ですが、独占契約という方向で書類を作成してきました。どうぞご覧ください。」

「う、うむ。心得た。」


 この話は長く続いた。2時間くらい真面目な話をしていたので、他の3人はちょーつまんなかった。なので他の3人はだんだん、別のことをやり出した。草村さんと夕はお菓子を焼き始めた。ぬいぐるみはテレビを観た。ぬいぐるみは5億歳くらいなので、徹子ちゃんとかあっこちゃんとか恵美子ちゃんを可愛がっている。オオキクナッタナー‼


「よし。ではこれで印鑑は全て押して頂いたので、当社に持ち帰ります!ピーチ先生、これから忙しくなりますけど、私も全力でお手伝い致しますので!よろしくお願い致します!!」

「こちらこそ。出版社で出すの初めてだからいじめないでねって会社に言っておいてね?ちょっとやなこと言われたらすぐ泣くから守ってね?」

「わかりました!先生は私が全力でお守り致します!」


 そう言って、奇跡のかわいこちゃん、妙は帰っていった。

「やったぁ!!これで昇進が早くなるかもしれないーっ!!待っててね!すぐ帰るよ!奥さん~♡」


「ふぅ。やっと終わった。あ、夕?ごめんね突然仕事の話になっちゃって。ってなにしてんの?」

「あ、終わった?草村さんとクロカンブッシュ作ってたの。もうちょっとで組み立て終わるから待ってて?」

「え!!!?タ、タワーできとる!Σ('◉⌓◉’)な、なんのためにこれをっ!?」

「草村は、お二人のお付き合い記念日にふさわしいかと思い、これを夕さんと作っていたのです。老婆心ゆえ、お許しくださいな。」

「え、でも天井について、、いや、あ、ありがとう草村さん。。早く食べたいな!」

「ふふ、いつまで経ってもこどもなんですから、桃子様は。」*常に言葉に含みを忍ばせる忍びの者、草村さん。


 数十分後、完成したタワーを運んで、4人でティータイムに突入した。もう完全に草村さんの隣でシューを食べ紅茶を啜るぬいぐるみがいるわけだが、何らかの草による暗示が施されたようで誰も気にしなかった。こういうことがあなたの家庭にもあるかもしれないよ?


「メジェ君、おいしい?」

「アア。ナカナカダナ。ムースニマダカスカルサンノビーンズヲツカッタナ?」

「さすがメジェ君。よくわかったね♡」


 そんな不思議も不思議と思えない暗示にかけられた桃子は、話を切り出した。

「あの、夕。そして草村さん。実は私、今までの漫画を妙ちゃんの出版社で出す契約をしたんです。それによって、莫大な資産がまた築けるんですけど、、しばらくは忙しくなるかと。。」

「そ、そんな大きな仕事の話だったの!?でも桃子、今でさえフル稼働なのに、本当に倒れちゃう、、」

「それで、、考えたんだけど、、草村さんにこの家の家政婦さんになって頂けませんか?」

「ふふふ。そんなこともあろうかと、この草村、帰れと言われないのをいいことに今まで居座っておりました。」

「あ、ホントだ。良く考えたらなぜかずっといる草村さん!」

「実を言いますと、ブラウン様の占いで、私が桃子様の家政婦になることは言い当てられておりました。通いで週5。土日はいちゃいちゃしたいだろうから休みと占いで出ております。メジェ様も土日は私がお預かりします。きっと邪魔をしたがるので、、。」

「すっごー。さすがブラウンさん。あの人の占いはもう占いの域じゃないからね。全部見てきた人の言い方だからねアレ。」

「オレガソダテダンダゼ‼」

(土日は二人きり。邪魔されずにいちゃいちゃ…)*夕の心の声


 ということで、新たなる家族、気がついたらメジェ君と、家政婦の草村さんが加わることとなった。

「だけど、それだけじゃ忙しいのに変わりは、、」

「うん、なのでコンビニのバイトはやめます。そして、店長には悪いけど、真央氏と晴氏にはバイトとしてたまに来てもらおうかと思ってます!時給で釣ります!」

「な、なるほど!それに簡単なことなら私でもできるかも!」

「ダメです!夕は仕事があるからまだそこまでお願いできません。」

「あ、それなんだけど、、私会社やめたの。」

「ホワッツ?Σ('◉⌓◉’)ぇぇ」

「言うきっかけが全然なくって、今になったけどもうやめたの。話すと長くなるから後で話すけど、私は桃子と萌え萌えクッキングチャンネルをやりたいって思ってたから、桃子の仕事が安定するまでは手伝えるよ!」

「そ、そうなの??じゃ、じゃあ、とりあえずはそれで、、」


 後日、リビングに集まったメンバーを見て桃子は気づくことになる。


 恋人のかわいこちゃん、夕。そして推しのJK、真央氏と晴氏。毎日のように様子を見に来る奇跡のかわいこちゃん担当の妙氏。そして学生時代にミス草津に選ばれたと自称する草村さん。そしてメジェ君と取引をしに度々来るようになる(実はこいつが一番かわいい)ローブ女のブラウンさん。 


「Σ('◉⌓◉’)ぇぇ ハ、ハーレムじゃね…?」


 鬼嫁の機嫌さえ取っていれば楽しくなりそうな桃子であった。


 続く。

 

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