第56話 草村さんは見た

 やっと桃子と気持ちが通じ合った夕。恋人同士になれた矢先に不穏な因子が現れた。がしかし、単なる人違いだったとわかると、もう私の厄は明けた。これから2人で楽しい毎日が始まると、夕は期待に胸を膨らませていた。*Cカップです。


 一方、桃子はこれから自分が夕にふさわしい恋人になれるのか、めちゃくちゃ不安だった。だって顔を見ただけで胸がバクバクする。*Eです。


 自宅に戻るために乗ったタクシーの中。この2人が唯一、同じことを考えていたのはこちらです。


((それにしても、、昨日の夜は素晴らしかった・・・))(゚ρ゚*)~゜ホゲー


 そして次に考えることは違った。

夕(願わくば、、今夜もまた。)*もっとくれおかわり

桃子(あの一夜で一生白米食える。。)*もう十分お腹いっぱい

 いつか足並みが揃う日が来るといいね、、夕ちゃん。


 タクシーを降りると、2人はようやく自宅に帰る。そういえば、鍵をかけないまま飛び出したから、草の者がお留守番をしているはず。。


「桃子?晩ご飯のお買い物しに行く?」

「・・・へ?あ、ああ。えっと白米だけで十分です。」

「え?とりあえず家に帰ろっか?」


 2人が玄関に着くと鍵が閉まっていた。当然2人は鍵を持っていない。誰が中にいるんだろうと思いつつ、チャイムを鳴らす桃子。ピンポーン


 ガチャ。ドアが開くと、目の前には誰もいない。

「え?だ、誰もいない、、、って、ん?」

 桃子が不思議に思っていると、視界をわずか下に向けたときだった。何らかの白い布が、、足だけ出してペタペタと歩いて奥に歩いて行ってしまった、、のを見てしまった。


「え、?な、なに?布が歩いてた、、」

 目を擦ると、もう視界にはなにもいない。きっと見間違いだろうととりあえず玄関で靴を脱ぎ、リビングへと向かう。


「あ、桃子様。お帰りなさいませ!」

「あ、ピーチ先生、お帰りなさいませ。」

「あ、貴方たちは、、」

 桃子は知っていた。この2人を。


「え、どちら様なの?桃子?」

 夕が訪ねた。


「あ、えっと。あちらの黒づくめの人は、ブラウンさんの配下の人で、草村さん。私が鍵もかけずに夕を追いかけたから留守番してくれたんだと思う。」

「さようでございます、お嬢様。今熱いお茶をお入れします。」

 草村さんは家政婦歴45年のベテラン。裏の顔は隠密活動だった。一番仲の良い家政婦は市原さんという別の組織の人だ。


 そして一番気になるのが、桃子をピーチ先生と言った、、新たなる刺客だ。夕の目に映ったその女性は、、

「うわ。すっっっっごい、、美少女。。え、誰?芸能人?」

 そう、まるで魅了チートを持って生まれたようなまごうことなき美人。その正体は!?


「た、妙ちゃぁぁん!キャー(⁎˃ ꇴ ˂⁎)ッ♡来てくれたのぉ~!?」

 まさかの桃子。夕の前で大いにデレる愚行。

「も、桃子っ!?ちょっ!だ、誰なのよっ!また私は平穏が危ぶまれる事態にっ??!」

 青ざめる夕。せっかくカップルになったばかりなのに、、なんかすげー美人いるし。。


 その女の正体は、、

「ピーチ先生。この度、私をご指名くださったと言うことで、先生の担当になりました。お願いです!我が社でっ!どうか先生の漫画を出版させてくださいっっっ!!!」

「え、ホント?妙ちゃんが担当してくれるならいいよー!♡」


 今まで一度も出版社で漫画を描くことを承諾しなかった孤高の漫画家、桃子。美少女に頼まれ、すんなり快諾。


 まだ夕はヒヤヒヤしないといけないのだろうか…。


 どういうことなの、、草村さん…。


 続く。

 


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