第53話 あと30年進展しなそうなカップルで草。と草の者がブラウンに定時報告。

 スイートルーム、付き合いたての二人。優雅な朝食を。

 そんなだれもがうらやむ様なシチュエーションが今、桃子を襲っていた。


(や、やばいっ、、動悸がすげぇ。。生きた心地がしないでござんす。。)

 綿あめ製造機の中で回っているできたての綿あめのように、桃子の顔の周りには精気がぐるぐると回っていた。モドッテキテ‼


 向かい側に座り、ほんのり頬を赤らめて朝食を口にする夕。改めてその姿を見ると、桃子は食器洗浄機の様にガタガタと震えだした。

(かかか、かかっ!かわいこちゃんだ、、かわいこちゃんがおる・・・。推しが目の前にっ!!つ、つらいっ!標高何メートルなんだこのビルは、、空気が薄いぃ。。)


 その時、オードリーヘップバーンのように優雅な微笑みをたたえながら朝食を取っている夕が、桃子に話しかけた。


「ねぇ、桃子?今日は私たちが付き合い始めた記念日だから、、このあとどこかに出かけない?それとも・・・、こ、ここにもう一泊、、する?♡」


 : (((;"°;ω°;)):ガクガクガク・・・

「あ、あまっ!あまっ!あああああまーーーーーーいっ!!!」


「甘い?私たちのこと??うふふ、そうだね。甘いね♡」


「う、うううっ・・・う、うわぁぁぁぁぁ!!!すげぇ艶っぽい~~~~!!!むりっ!顔が見られないっ!!gyわいすgて麦ぃぃ!!」*かわいすぎて無理。


 桃子の血流内の叫び


 どどどどどっっ、、どうしたらいいのっ!?好き過ぎて無理なんだけどっ!り、両思いってなに?付き合うってなに??お、推しと?!え、は?

 このかわいこちゃんとこれからどこかへ行くって、、デートってこと?え、かわいこちゃんとデートってどこ行くの?あ、ヒロイン攻略ゲームと同じかな?

 っていうか、もう一泊する?♡ってなに?なんで??いや、なんでってことくらい桃子わかる。。なにかするんだ。。え、なにすんの?どっちが、、いやっ、それよりもっ!これ以上近づいたら息が出来なくなる気がする。。


「桃子?大丈夫?」

「え、あ、む、むりかも。。パニック過ぎて、、」

「あの、、付き合ったの、後悔してる・・・?」

 シュンとした顔でうつむく夕。


(はっ!!いかんっ!推しに切ない顔をさせているっ!違うだろー違うだろぉ??桃こぉ~!!推しは幸せで笑っているべきなんだ。お前が悲しい顔をさせてどうするっ!!行けっ!ガチのオタク道をみせてやれっ!!桃子っ!)


「あ、あの、、チェ、チェキ撮ってもいいかな・・・?」

「ん、え?あ、写真??」

「うん。って、あああああっ!!なんか間違えた気がするっ!!」

「・・・ねぇ、桃子?私のこと、好きなんだよね?」

「えっ!は、はいっ!すごくとても!!」

「そっか。じゃあ、だんだん慣れてね?シャワー浴びてくるね♡」


 そう言って、夕は立ち上がると、桃子の頬にちゅっとキスをした。そしてシャワーを浴びに行ってしまった。。


「ま、真央氏・・・は、晴氏・・・。た、たすけて。。」


 桃子、ガチ恋成就に、なにもかもが異次元過ぎて思考停止。


 JKに頼りたい27歳。


 しかし、シャワーを浴びている夕はへっちゃら、、というわけでもなかった。


(う、うわ、うわぁ、、。思わずシャワー浴びてるけどっ!このあともしかしてっ!ついにっ!・・・いや、、待てよ?あの桃子の純粋ビビり具合、、。待っていたらあと30年は手を出されないかもしれない・・・。でも、気づいちゃった。。私って女の人と付き合うの初めてなんだよね、、。え、どうやって付き合えばいいの?その先は・・・?こ、これはまずいかもしれない。。なんの知識もない。。だ、誰かに、、お、おおちゃん・・・は、、エジプト行っちゃったし、、うぐぐっ・・・。したいしたいけできないいやしかたがわからないでもしたいでもわからないでもてはだしてくれそうにないでもしたいいやこわいでもしたいあああああああああっっっっ!!!)



 これは意外と、、二人もJKに教えてもらうくらいでちょうど良い気がする。


 続く。

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