第47話 エキセントリックメジェド

 夕が玄関を開けると、そこには樹里の恋人、太田叶がいた。


「こんばんは、夕さん。突然すみません。」

「おおちゃん!確か、もうすぐエジプトに旅立つのよね?鹿之助さんが暴れ出す前に行くと連絡が来たわ。」

「はい。実は今日、先に樹里が飛行機に乗ったんです。エジプト支社の話がなくなる前にって社長が強行中です。」

「そっか。無事に行ったのね?」

「はい、おかげさまで、私も来週行きます。鹿之助さんの動きが怪しいとブラウンさんから連絡が来ましたが大丈夫ですか?」

「え、もう私が会社を辞めたことがバレたのかしら!?」

「一心不乱に夕さんを探しているみたいなので、ついに奥様が勘づいたとか・・・。ブラウンさんは全国に夕さんの影武者を配置したと・・・。」

「うわ。。あの奥様は本当に怖いから・・・。」

「私たちも変に話がこじれる前に早めに日本を離れます。夕さん、どうかご無事で。まぁ、桃子さんと居れば大丈夫か!」


 桃子の人脈を使って、樹里と叶は離ればなれにならずに済んだようだ。やっと立つことが出来るようになった桃子も、叶の話を後ろで聞いていた。


「うううっ・・・なんて素敵なの、、。こんなまだ幼い子が、、愛する人を追いかけて遠い異国へと旅立つなんて。。」

 またしても感動して泣く桃子。

「すみません、、成人してます。。幼子では・・・。えっと、まぁいいか。あの、今日はお二人にこのぬいぐるみを渡しに来ました。」


「え・・・?こ、これは・・・?」

「エジプトの神様、メジェド様です。このぬいぐるみを樹里が買ってくれてから、私たちの運勢は激変した気がするんです。赤ワインをお供えすると、目が光ります。」

「おおちゃん、、そんな大事なものを、、私たちに・・・?」

「ふぐっぐぐぐっぐぐぅぅぅっっっ!!!」*感動の嗚咽して言葉にならない桃子。

「お二人にも、良いことがたくさんありますように♡あ、夕さん。桃子さんと2人で少しだけお話ししても良いですか?」

「え?い、いいけど。じゃあ、私はメジェド様にワインをお供えしてくるね!」


 そう言って、夕はぬいぐるみを抱えてキッチンへと戻っていった。


「えっと、桃子さん。本当にいろいろ手配してくださってありがとうございました。」

「いいのよ。私はなにもしていない。貴方たちの愛が全てを打ち破ったのよヨヨヨヨヨヨ。。」ガクガクガクガクガク

「泣かないでください、、うわっ、大丈夫ですか?膝がものすごい揺れかたしてますけどっ!?」

「へ、平気。。それで、話って?」

「あの、私と夕さんは恋のライバルでした。」

「あ、うん。知ってる。」

「でも、桃子さんのおかげで、またこうして話せるようになりました。だから、、どうか、夕さんのことを幸せにしてあげてください。」

「あ・・・。そ、そうね。うん、幸せに、、する。。」

「夕さんは、桃子さんのことを見つめているとき、本当に幸せそうです。大好きなんだなってよくわかるんです。」

「え、パードゥン?(。´・ω・)なんやて?」

「お二人とも、すごくお互いが好きなんだなって。」

「え、そうなの?(。´・ω・)はぇ?」

「え?は、はい。。なので、よろしくお願いします!ではっこれでっ!!」


 サヨーナラー‼

 こうして、叶は明るい笑顔で去って行ってしまった。その場に残された桃子。リフレインが叫びまくっていた脳内。


 夕さんは、桃子さんのことを見つめているとき、本当に幸せそうです。大好きなんだなってよくわかるんです。お二人とも、すごくお互いが好きなんだなって。大好きなんだなって、大好きなんだなって、、大好きなんだなって・・・って、って、・・・・・・・・え、ホント?( இ﹏இ )


 桃子、、信じちゃってもいーい?

 頑張っちゃってもいーい?

 好きって今から言っていーい?


「ス、ス、・・・スーパー・・・

 スーパァァァーーー!エキセントリックゥゥゥ!!ももこぉぉ、」

「桃子~?あれ、おおちゃん帰っちゃったの?」

「あ、えっ今途中、プシュン。。」

「え、桃子、湯気でてるっ!?なにっ!?」


 その時、ついに桃子の電池が切れた。


「わ、わーーーーーんっ!!!うまくできないぃぃーーーーー!!!」

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ‼

「え、桃子っ??どうした!!??(゚Д゚;∬アワワ・・・」


 だって、だってぇ、、うまくできないけど、、


「夕がすきなんだもーーーーんっっっっ!!!!!!!」絶叫~っ!!


「・・・え?」

「あ?・・・」



 続く。


 

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