第35話 どうすっかなー桃子ラブなんすけど自分、、な夕。

 朝、夕が職場に出勤すると、衝撃的なニュースが知らされた。


「朝礼の前にお知らせがある。この度、エジプトに支社を構えることになり、佐々木がリーダーとして転勤することになった。佐々木、挨拶を頼む。」

「はい、この度、新しく立ち上げるエジプト支社のリーダーとして、2ヶ月にあちらに行くことになりました。皆さんとは、今後離れた場所で連絡を取り合うことになります。これからもよろしくお願いします。」


 寝耳に水だった夕。

 朝礼が終わると、すぐさま樹里の元へ。


「樹里さんっ!まさか、エジプトに行くことになるなんて・・・。」

「うん、実は昨日、辞令がでて、、昨日のうちに話しておきたかったんだけど、ごめんね。」

「そ、そうなんですか。ごめんなさい、昨日は私、桃子の体調が心配で、、」

「うん、いいよいいよ。それより、ごめんね?教育係として最後まで一緒に居たかったけど、、残りの2ヶ月間、しっかりやるからよろしくお願いします。」

「さ、寂しくなります。。」

「ありがとう、そう言ってくれて。」


 そんな、、急にどうして・・・。樹里さんがエジプトへなんて・・・。あ、おおちゃんは大丈夫なのかな、、。


「あの、おおちゃんはこのことを?」

「うん。昨日話した。遠距離だって大丈夫って言ってはくれたけどね。これから話し合っていくよ。」


 辛そうな顔を・・・樹里さん。。2人は別れずにやっていけるんだろうか。。


 なぜ突然、樹里はエジプトに転勤になったのだろう。おおちゃんと樹里は遠距離でも上手くやっていけるのだろうか。そんな風に考えながら、夕はなんとなく仕事をして、気がつくと夕方になり、そして帰宅した。


「ただいま~!桃子~?具合はどうー?」

 家に帰れば桃子がいる。すぐに桃子の体調を気遣う夕。

「あ、おかえり。うん、だいぶ良くなったかな。ごめんね、心配かけて。」

 ホッと胸をなで下ろす夕。

「今日、仕事行ったの?」

「あ、えーと、ごめん。コンビニのシフト入れちゃってたから。。あ、でも。今度から週2日にしてもらえるって。だから今までより楽になるよ!」

「そっか、良かった。晩ご飯は?」

「あ、それなんだけど、たまには店屋物もいいかなって。ウナギ頼んじゃった♡あのね、江戸時代はウナギなんてぶつ切りで食べててね、骨っぽくて美味しくなかったんだよ?」


 笑顔で話したいことを話してくれる桃子。夕は愛しさがこみ上げていた。同時に、この人と離れることになったら自分がどれほど辛いのだろうと頭によぎる。


「ねぇ、桃子。桃子はさ?恋愛対象は、、女性なの?」

「え・・・?え、え、な、ななななな?なにを突然っ!」アッチョンブリー‼

「や、えっと、百合を描いてるのは知っているけど、過去の恋愛の話は聞いたことがないから、気になって。ほ、ほら。私の話ばっかりだったじゃない?」


 桃子は悩んだ。(悩ω悩).。oஇ

(え、そういえばはっきりとは言ってないのか。。さすれどしかし、、言っていいものか。。逆に悩む。。私が夕を好き、、いや、女性を好きと言っただけで、夕がこの家に住むのが気まずくならないだろうか。。)


「えーと。まぁ。その。いわゆる。」

「女の子が好き?例えば、真央ちゃんみたいな、、」

「は、え!!!!???ま、真央氏はっ!め、愛でる対象であります!!確かにかわいいし好きだけどっ!それは恋とかじゃなくて、、萌えを味わっているだけでっ!!」アワワワッワ

「そっか。じゃあ、付き合うのは男性・・・?」

「え、まさか。( ᯣдᯣ )スン。」

「じゃ、女性なの??」

「あっ、え、はい。ごめんなさいっ!」ヒョエェェェ

「え、なんで謝るの!!?」

「あ、だって。」

「私だって、女性を好きなんだよ、、いやがるわけないじゃない・・・。」

「あ、そっか。樹里さんを、だもんね。。」

「あ、それなんだけど・・・」


(私はもう、樹里さんを諦めようと思う。)そう、桃子に伝えようとしたときだった。


 RRRRR

 夕のスマートフォンに着信が入る。


「あ、ごめん。電話出るね、、オーナーからだから。」

「あ、うん。どうぞ。」


 桃子は夕が電話をしている間に考えた。

(夕が好き。すーごく好き。だから、樹里さんのことを好きな夕ごと好き。応援しなきゃ。。一緒に居られるだけで、十分幸せ。あと、今朝はラッキースケベしてごめんなさい。一生忘れられない思い出です。。)


 そうこうしていると、夕が電話を終えて戻ってきた。

「ごめんね、なんか今後のことで打ち合わせがあるみたいで、、週末にちょっと話してくることになった。」

「あ、そうなんだ。さ、温かいうちに食べよう?ウナギだよ?元気出るよ?」

「そうだね♡」


 とりあえず、夕は桃子の恋愛対象が女性であることを知って、今日はちょっと収穫があったと喜んだ。



 続く。

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