第32話 もう付き合っちゃえよって思っててももう少しお待ちを
桃子がシャワーを浴び終わると、夕がキッチンで朝食を作っていた。
昨夜、熱で意識がはっきりしなかった桃子が夕に催促したのはおにぎりだったのだが、、夕はおかゆを作っていた。
「夕~、おはよう。昨日は迷惑をかけてごめんなさい。看病してくれてありがとう。」
江戸時代から2人の母親にごめんなさいとありがとうはちゃんと言いなさいと言われ続けた桃子。きちんとお辞儀をして夕に感謝した。
「あ、桃子。シャワー浴びたのね?大丈夫?お熱計ろう??」
桃子を見つけるとパタパタと近寄ってきて、夕は桃子のおでこに自分のおでこをつけた。
「ふ、ふぎゃぁ!(お、おでおでおでおでおでーーっ!?)」
*多分だけど、おでこがくっついてて大変だーみたいなことを言っている。
「んー、お風呂上がりだからわからないね。。ご飯食べ終わったら計ろうね?」
「う、うん。。」バクバクバクバクバクバク‼(○д○ノ)ノ
食卓の椅子に桃子が座ると、いつもなら対面で座るはずの夕が桃子の隣に座った。
「え?Σ(○д○ノ)ノ」
「おかゆさんだよ~。待っててね?」
そう言うと、夕はふーふーとおかゆを冷まして、桃子の口元へと運ぼうとした。
「おっ!王道がっ!!まさかのっ!?え、いいいいいんですかっ!!!?」
「何言ってるの?病人なんだから当たり前でしょ?」
「あ、はい、、し、失礼しますっ!ア、アーン・・・」
「どう?食べられそう??」
「う、うん。何から何まで、ありがとう、、。美味しいです・・・。ぐすっ。」
「あー、また泣く~。桃子は泣き虫だね。かわいい。。」
突如、桃子の脳内では部屋中の明かりが消え、スポットライトが自分に当たった。
(な、なななな、なぜだ。。夕が優しい・・・。いや、いつも優しいんだけど、なんて言うか、こう・・・。そ、そうだ。甘いという表現が正しいな・・・。
慈愛に満ちているというか、、そう、まるでマリア様のように微笑んでいる。。あ、私が病人だからか。でもちょっと、調子が狂うって言うか、、恥ずかしくて顔が見られない・・・。)
「どうしたの?桃子??」ペカーッ‼
「うっ、ま、まぶしいっ!」ヤメテ
「え、カーテン閉める??」ドチタ?
「あ、いや。えーと。夕が、、なんか聖母みたいで、、。」
「え、私なんてそんな。聖母だなんて・・・むしろ、母性・・・。」
顔を赤らめてモジモジしているかわいいのスーパータイムセール、夕。
「ぎゃっいいっ(ぎゃーかわいい!)え、えっとえっと、ところで、、ごめんね?たくさん看病してもらって。仕事に響かないと良いけど。。」
「ううん。私のためにたくさん無理してくれて、それで桃子が熱を出したんだよ。私こそ、ごめんなさい。ありがとう、桃子。」
「え、そんなぁ、、 (*´ω`*)ポッ」
「私、仕事行くけど、ちゃんと寝ててね?すぐ帰ってくるから。」
「あ、うん。もう大丈夫だから、夕は気にしないでちゃんと仕事して?ごめんね、し心配かけて。しっかりしないとね!」
「ううん・・・。いいの。しっかりしなくたって、、。もっと、甘えてくれても・・・。」
「え?なに?」
「もっと、、かわいくても、、っていうか、頼って欲しいって言うか・・・。いや、なんでもないぃ(*´ω`*)ポッ」
再び脳内でスポットライトが当たる桃子。
や、やっぱり、、なんか、甘い。。お砂糖に粉糖かけたみたいに甘い・・・。ど、どうしたらいいんだ。。妙な気分になってまう。。
「ところで、桃子は今日、何の仕事があるの?」
「あ、えーと。夜は配信休めば良いから、昼のコンビニだk、あっ!」
「え?コンビニ??ば、バイトしてるってこと?な、なんで??」*金持ちなのに??
「あ、しまった。。えっと、実は社会勉強というか、、興味があって少しだけ、、」
「え、どのくらいしてるの?週に何回くらい、、」
「あ、えっと、週4で。。」
「嘘でしょ、、一緒に普通に寝てるからそんなに忙しいと思わなかった。。そんなの、、倒れるに決まってるよ。。」
「ご、ごめん。忙しい方がやる気出るんだけどな。。今回はちょっと過信しすぎた・・・。」
「わかった。今日、帰ってきたら一緒にスケジュール見せて?私が補えるところは手伝うし、家事も任せて!」
「え、夕だって働いてるんだから、、気にしなくたって、私が仕事セーブしたり考えるって。」
「ちがうの。桃子。私が桃子の役に立ちたいの。もっと頼って欲しいの。」
「夕・・・?」
「・・・甘えて欲しいの。。」
今世紀、どの本を見たとしても、どの映画を観たとしても、桃子にとってはこの言葉より破壊力のある口説き文句はなかった。
このあと、夕が仕事に出かけるまでの記憶は、全くない桃子だった。
そして、まさかの夕。桃子に恋をするも、一番欲しいのは、、
桃子の、、バブみであった。。
カワイイクレカワイイクレ‼
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