第26話 同棲じゃないやい、同居だい!ドキドキなんてしてな、

 告白なんてとても出来やしないびびりな桃子。夕を無償の愛で支えそばにいるために、同居を申し出た。とにかく今は独りになりたくない寂しんぼうの夕はそれを快諾した。


 桃子ははやぶさと化した。ものすごい勢いで引っ越しのスケジュールを組み立て、そば粉を打ち始めた。引っ越しそばも手作りな日本の伝統にこだわる桃子。


「そういえば、明日は樹里さん達とご飯だったよね。良いイタリアンがあるから予約しておくね?」ハッ‼ヨッ‼ネリネリコネコネ

 そば粉を練りながら、明日の計画も練ろうとする練り練り大臣、桃子。

「あ、ありがとう。何から何まで。。」

「大丈夫?緊張してない??」ビタンッ‼グッグッ‼ハッ‼

「うーん。樹里さんとは会社で会ってるからね。おおちゃんにどう思われてるかはちょっと気になるけど。」

「そっかぁ、とりあえずは私たちが本物のカップルであると信じさせて安心させたほうが良いね。」フミフミ、フミフミ。

「うん。その方が助かるかも。。」


 桃子の計画。


 明日の金曜日。仕事終わりに4人で食事。私が良く接待で連れて行かれるイタリアンにしよう。あそこはメニューに値段が書いてないのがあるから、支払いは請求書をもらって私が。。

 土日は夕の荷物を引っ越し屋に頼んでこっちに。いらない荷物は夕次第で廃棄もしくはトランクルームね。でもきょんまりさん曰く、断捨離した方が良いから、思い切って捨てさせるか、、。


(私のこの恋心も捨ててしまいたい。樹里さんへの想いを聞く度に、この削り節のように心が削られていく・・・。)


 さば節を削りながら、静かに思惟した桃子だった。


 でも、これからは毎日、この家に夕が帰ってくる。ご飯を食べて自分の家に戻っていく姿を寂しく見送る必要もない。少なくとも、夕に樹里、もしくは他の、恋人が出来るまでは、、2人はずっと一緒なんだ。


 同じくこの週末のことを考えている夕の心の中は。


(そっか。うれしいな、、。本当に、家に独りでいるのがずっと辛かった。寂しくて孤独で、、。でも、これからはここにいて、桃子と一緒に笑っていられる。きっと楽しい。ワクワクしてきちゃったな。)


 明日の会食に対する不安など、夕はすっかり忘れていた。

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