第20話 無自覚誘いチートこわいよぅ
桃子はシャワーを浴びながらパニクっていた。どのくらいパニクっていたかというと、服を着たままその上にバスタオルを巻いてシャワーを浴びていた。身の安全を確保したい現れだろう。
桃子の心の叫び。
ピーチズ愛スクリーム、行きます。
な、な、なんてこった。。私ともあろうものが、、推しに邪な想いを抱いてしまったっ・・・!これでカリスマ百合作家とは失笑ものだ。引退すべきか…?
推しは課金し全力で愛でるもの。。まして、想い人がいる夕に対して、、あのように性的なドキドキバクバクを感じてしまうとはっ!腹切りものだ…。
よ、余計なことをしてしまった。おかしい、、いつもの私ならこのような失態はしないはずなのにっ!ああ、そうだ。私は夕のことが心配すぎて、、少し焦りすぎていたかもしれない。。それにしても、、あの夕の私を見つめる顔・・・。あのまま唇を見ていたら吸い込まれてしまうところだった・・・それなんてブラックホール…。よくあれだけは耐えたと褒めるべきか。。
もう、気をつけないと。もし仮に好きになってみろ。悲しいぞ?桃子。お前泣き虫だから、すぐ泣いちゃうぞ??相手は好きな人がいるんだぞ??
あ、ダメだ。すでになんか泣きそうなってきた。つらたん。。ほらな?傷は浅いうちにだぞ?でも多分、夕って属性的には私の方があの樹里さんって人より、、い、いやいや。それだけじゃないもんね、恋愛は。でも多分、あ、だめ、あ!無理!!なぁぁぁぁぁっ!!!エラー
数分後。
ふぅ。冷水浴びたら少し冷静になったでござる。着替えてっと。あ、そうだ。今日は夕がお泊まりするって言ってたな。うん、客間はバッチリだし。アロマでも炊いて、気持ちよく寝てもらおう。あろまー素敵♡なんつってね。うん、いつもの桃子に調子が戻ってきたぞ♪
明日の朝はフレンチトーストか、、それとも中華粥か、、乾燥帆立、水に戻しておこうかな?あ、お弁当も作っちゃう??
「夕、おまたせ~!あ、もう良い時間だね。そろそろ寝る?」
「うん。ありがとう。えっと、」
「あ、夕は客間を使っていいよ?ちゃんとベッドメイキングしてあるから!バリ風だよ!本物のオウムを取り寄せるか悩んだけど、夕に聞いてからと思ってとりあえずナウ○カのポスターにした。」オウム違い
「そ、そっか。えっと、寂しいから、同じ部屋でって思ってたんだけど、、。」
「え、。・・・・・・あ、そ、そうか。。えっと、私のベッドで寝る?なんて、狭いから・・・」
「い、いいの?」
「え!!いや、狭いから、あ、でも見たらキングベッドなのがバレる!」*小声
「今日、思ってたより辛かったから、、一緒に寝たい。いい?」
「あ、はーい。イイトモー!」半分意識なし。
「良かったぁ!じゃ、寝よ?♡」
(寝よ?♡…ネヨ?…ネヨ・・・ネトウヨ?・・・破壊力・・・すご・・・あ、また川が見えた♡)再エラー。
残念美人桃子、今までずっと、自ら恋をしたことがなかった。よほど相手からグイグイ来ない限り、全てのかわいこたんは愛でるものと思い込みが激しかった。
つまり、自分から行くことがめちゃくちゃ苦手というか、慣れていなかった…。
夕からグイグイ来ることはないだろう。そして、桃子は自分から行くなんて想像すら出来ない。
この神展開、まるで有意義に使われることはないかもしれなかった。どうするの、桃子。寝るだけだとつまらないよ。
「さ、では、わたくしめのベッドへ。ささ、どうぞ。」
「おじゃまします、、わぁ、広いんだね。」
「ええ、あなた様こそヒロイン。わたくしめはメイド。添い寝させて頂くなど光栄以外の何者でもありません、お嬢様。」
桃子、メイドに徹することで自我を守ることに。
「お嬢様、わたくしめが読み聞かせを致しましょう。すぐに安眠へと誘うでしょう。宜しければ拙著の【モテすぎるから異世界に行こうとしたら皆一緒についてきちゃったからハーレム築こうと思ったんだけど気が弱すぎて出来ませんでした。だから1人で元の世界に戻ってやった☆】という百合漫画を、、」
「え、すごい面白そう、、だから眠れなそう・・・。」
「え、おっかしいなぁ、、やっぱりエラーか、我が輩。」
「桃子って、たまに武士みたいな言葉を使うね。」
「あ、え、そ、そうね。オタクの今ここの趣を大事にしているというか、、」
「そうなんだ、勉強熱心だね。桃子はすごいな。」
「滅相もございません。恋に全力のあなた様の方が光沢紙。わたくしなどつや消しでございます。」
「よくわからないけど、、ねぇ、さっきのドキドキしたなぁ。桃子はしなかったの?」
「!!??な、今ここで答えろと?!元の世界に帰りたいっ!!」
「え、そっか、しないか。相手が私じゃ。」
「えーーーーん!しましたごめんなさいーーー!!めちゃくちゃドキドキしましたーー!」
「え、あ。そうなの?」
「はいーーー、ごめんなさいーーー!」また泣いた。
「そ、そっか。んっと、えへへ。ドキドキしたんだ。。嬉しいかな。」
「ぎゃわっ!!!ご、ごめんなさいっ!!す、好きとかちょっと思ってしまってごめんなさいーーー!!!身の程を、ってえ?」
すーすー
すでに夕は、寝息を立てていた。
そして、そう。夕の片手は、桃子のシャツをきゅっと握りしめていた。破壊的に保護欲を掻き立てる可愛さで。
桃子、悶絶して枕を涙で濡らした…。
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