第18話 桃子、我が子の入学式を見守るような母性発動
夕方。18時過ぎ。
夕は初出勤を終えて会社のビルを1人で出ようとしていた。他の社員はもう少し残っているようだ。
「はぁ・・・すっごい緊張した・・・。」
早く、、桃子に会いたい。今日のことを早く話して、一緒にご飯を食べて・・・。
とそこへ。今一番安心する声が聞こえた。
「夕っ!こっち!」
振り返ると、今一番安心する顔がそこにいた。
「心配して、迎えに来ちゃった!どうだった?」
桃子だった。夕はすっかり安心して、涙が溢れてしまった。
「も、桃子~。。。うぇーん、凄い緊張したぁ~!!」
「ああっ、良く頑張ったね、えらかったね?おいで、ああ、泣かないで?」
桃子は優しく夕を抱き留めて、その背中をゆっくりと撫でた。
「早く帰ろう。今日はさ、私がご飯を作っておいたよ?ハンバーグは好き?」
「ハンバーグなの?うん、すきぃ・・・。えっぐえっぐっぐずっ・・・」
「ああ、かわいい顔がまた腫れちゃうよ?さぁ行こう♡」
とそこへ。ビルからちょうど樹里が出てきてしまった。樹里は2人の姿を見るなり立ち止まる。驚いている顔が隠せないようだ。
夕は泣いたまま、樹里がいることに気がつかなかった。しかし、桃子は夕に見せてもらった写真で樹里の顔を認識していた。
(あの人が、樹里さんか。ふむ。あの反応は、、まぁ気にはしてるね。)
冷静に状況を判断する桃子。夕にはいらないことを知らせて混乱させたくなかったから、樹里がいたことは言わないでおいた。
そして桃子の家に2人で帰宅した。
「さぁ、ご飯温めるね?」
「うん。ありがとう。ねぇ、今日泊まってもいい?」
「もちろんいいよ。1人じゃ心細いもんね?」
「うん。今日は緊張してたし、あの人の反応が心配で怖かったから、、」
「良し!じゃあ、シャワー浴びておいで?で、食べながら今日の話、聞くからね?」
「ありがとう、、そうするね。」
桃子に食事の支度を任せて、夕はシャワーを浴びた。緊張の糸が切れて、すっかり泣いた目が赤くなっていた。
「桃子~。シャワー終わった。ありがとう。」
「うん♡じゃあ、桃子特製ハンバーグを召し上がれ♡」
「わ、美味しそう~!どう特製なの?」
「夕が元気にまた明日過ごせるように、沢山お祈りしたの。あとは普通のハンバーグだよ。笑」
「・・・優しいね、、桃子。私、桃子に会えて、本当に良かった。。」
「あ、もう泣かないんだよ?ささ、召し上がれ。腹が減っては戦はできぬ。武士は高楊枝でござるよ?」
「なにそれ。笑 江戸時代の人みたい。」
そしてゆっくり、夕は今日、樹里と話したことを桃子に報告した。
真剣すぎて、いつものエラーが全くなかった桃子。
続く。
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次回はラッキースケベ回
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