第15話 いよいよラッキースケベチート発動の桃子

 翌日。仕事が終わった夕が、夜になって桃子の家にやってきた。


「こんばんは~!今日もよろしくお願いします!!」

「はぁい♡待ってたぁ~!」デレデレ

「えへへ。お腹空いちゃった。今日は何を作りますか??」

「え、かわいい。えへへのところだけ切り取って額に飾りたい。。」ドロデレ

「え?た、たまに桃子さんって面白いこと言いますよね、、。」

「あ、あの、、も、桃子さんじゃなくって、、」モジモジ

「あ、桃子!そっか。友達だもんね!」

「ううううううん!うん!(これだけで白飯食えるからおかずいらねぇな。)」モウマンプク


 今日はとことん、お味噌汁にこだわった。夕は味噌の造り方を1から聞き、味噌の性質、味噌汁のようなシンプルが如何に作り方によって味の左右されることかなどだ。

 テーマは発酵食品。テーブルにはずらりと桃子が作ったぬか漬けや惣菜が並んでいた。


「わ、わぁ、、今日、私は味噌汁しか作ってないのに・・・。これじゃ全然役に立ってないよぉ。。」

「いいのよ、、それでね、私お願いがあるの。たまに漫画に書くための人物モチーフになってもらえないかしら。今日は体育館座りがどうしても上手く描けなくって、、。」

「もちろんです!私で良ければいくらでも。役に立ちたい!」

「ありがとう!だからwinwinなのよ!人に頼んだらバイト代払うんだから!さぁ、食べましょう?」


 桃子は気遣いが上手かった。してもらいっぱなしでは気が引けるだろうと、夕に手伝ってもらえる簡単なことをすでに念のために25項目取りそろえていた。なぜ今までフリーだったのか不思議な桃子。


 こうして、今日も二人は和気あいあいと夕飯を共に過ごした。


「ああ、美味しかったぁ。。ほんと、桃子って完璧な女性だよね。私、若くてちょっとかわいいって言われるからってかまけてたなって反省しちゃう。。」

「な、何を言っているのだっ、泣くぞ!?ヒロインともあろうお方がっ!!私は貴方が持つ箸を見ただけでお味噌汁になりたいとどれほど自分の運命を呪ったことか、、。」

「え、ちょっとよくわからないけど、、あ、そうだ。このあとは何をするの?」


「あ、そうね。で、もうすぐ想い人の会社に入社するじゃない?」

「はい、、あと、1週間ですね、。」

「その人にはもう言った?」

「いえ、でも入社するし、人事の方にもお会いしたし、伝わっているとは思います。」

「ならば、今日は二人の写真を撮りましょう。付き合い始めた、ちょっと初々しい感じね。そうね、家で二人で過ごしているのはどうなのかしら、、うーん、もしも私がその人で、、夕ちゃんが別の女性に興味がいってヤキモチを妬くとしたら、、、」


 桃子は想像だけで泣いた。そして自分が体育館座りしていた。イジイジ


「だ、大丈夫・・・?」

「あ、ぐすっ、、ごめん、、悲しみが止まらない。。あいきゃんっすとっぷ・・・。」


 散々、妄想で悲しんだ結果、二人が自撮りしている感じに決めた。まだ恥ずかしい二人、頬が赤く見えるように薄くチークを施した。


「じゃあ、撮るわよ?できるだけ、イメージを大切にね。付き合い始めた二人。初めての写真。距離が近く、、少し緊張している感じで、、。」

「は、はい。」


 二人は身を寄せ合い、スマホのカメラに二人が入るように顔を近づける。


夕(な、なんか、、近いから本当に緊張しちゃうんだけど、。あ、いい匂い、、この桃子の匂いって私、好きだな、、。)


桃子(絶対にこのストーリーは上手くいくはず!夕!貴方のことは私が守るって、、、おわ、おわぁぁぁぁ!近っ!!え、あ、顔っ!ちっさ!肌すごっ!あ、目が合った死ぬっ!!!石になるぅぅ!!ハァハァ)*メデューサじゃないから。


「じゃ、じゃあ、撮るよ?ゆ、夕。。」

「うん、あ、手はピースとか、あ!」


 夕が手をどうするのか桃子に聞こうとして少し桃子の方を向いたとき、本当にかるくなんだけど、、本当に少しなんだけど、、夕の唇が桃子の頬に、触れたか触れなかったのかわからないくらい、、


(のぉぉぉおおおおおおお!!!!か、k、亜k、か、かすったぁぁぁっ!!!)桃子パニック。アタフタアタフタ


「あ、ご、ごめん、」夕、プチパニック


……………。あ、あはは…。汗


 と、どうにか撮り終わって写真の確認をする二人。


「あ、凄い良く撮れてるね。」

「ほんと、仲睦まじいカップルに見えるわ。これをその人に見せて、今は安心してそばにいられるようにするのよ?いいわね?」

「はい。何から何まで、、ありがとう、桃子。」

「一応、、その写真、、くれる??私も持ってたいな?」

「あ、うん。送るね、、。」


 えへへ。

 あは、あはは。(//∇//) テレテレ



 この写真。

 素晴らしく出来が良かった。美しい女性二人。互いに好意を寄せ合う、本物のカップルのように写っていた。二人はこの夜、別れてから、何度もこの写真を幸せそうに見つめたことをお互いに知らない。


 桃子は無意識転生者である。必要なチートはなにか起る度に勝手にもたらされた。


 ラッキースケベ、発動!!

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