第13話 恋したと思ったらうっかり育成ゲーム開始した桃子。

 電車で出会ったかわいこちゃん、夕と再開した桃子。


 悪い知らせは夕に好きな人がいること。そして良い知らせはその相手が女性であることだった。桃子の恋は叶わなくもない、はずだが、


(うぉぉぉ!!なんてひどい話なんだ!こんなに可愛い人がそんな不幸に一人で立ち向かっていたなんてっ!もっと早く出会っていればこんなになる前に助けられたかもしれないのに!!これ以上、一人で抱えさせてなるものか!)また号泣


 桃子、潜在的な正義感が色欲より勝っていた。


「宜しいですか、お嬢様。」

「はい?(お嬢様??)」

「全てを聞くところによると、今のあなた様はまるでラブコメのフラれ役。あて駒です。」ひどい

「た、たしかに。。」

「でも私、気づいています。それは単なるプロローグに過ぎないと!」ババーン

「な、なるほど、、」


「貴方は、貴方こそは、、これから・・・攻略対象の女性達から選び放題お嬢様という主役になるべきお人っ!!正真正銘のヒロインなのです!!」ババババーン

「は、はぁ。」


「いいですか?今の貴方はモブに成り下がろうとしています。このままその会社に入って意中の人のそばにいれば最悪は悪役令嬢です。」

「え、いやだ、、嫌われたくない・・・。もう一人で家にいるもの耐えられないのに、。」

「しかも、貴方は聞けば健康を考えた食に興味があり、栄養士の学校へ行き、就職も健康的な飲食業界だったと。」

「はい、そうです。」

「ああ、、なんてこと。恋というのは女性を盲目にさせます。。でも今の貴方は食にまったく関係ない仕事をするべきか悩んでらっしゃる・・・。恋する人のそばにいたいが為に。」

「たしかに、、。考えが浅いというか、自分を見失いかけている気がしてきました・・・。」


「貴方はこれから、そうね、その会社に入りなさい。」

「え?でも話がそれではつじつまが、」

「貴方はその会社でも何かきっと得られる。私は貴方の潜在的なものを信じています。けれど、それでは貴方の本願は果たせません。」

「は、はい、、」

「そこでお聞き下さい。貴方はその想い人が恋人と別れてでも貴方と付き合いたくなるようなヒロインにこれから成長していきます。私のそばで!」

「え、桃子さんの?」

「そう。夕ちゃんがその女性のそばにいて信頼を勝ち取るためには、相手を警戒心から解く必要があります。そこで、貴方は私と付き合い始めたといって、私とラブラブの写真を見せるのです。」

「あ、なるほど。つまり偽装で付き合ってることに、、」

「そうです。自分で言うのもなんですが、容姿は磨いております。決して貴方の偽装相手として劣りはしないかと。」

「そ、そんな、むしろ私がちんちくりんで、桃子さんの方が遙かに洗練されているのに、、」

「何をおっしゃいますか。貴方の美しさはひとめで私を虜にしました。私は貴方を心から好きです。愛でて、愛でて、課金してしまくって、永遠の推しであると誓えるほどに。」


「???!!」

「その女性のそばで働くことが辛くなったときは、いつでもここにいらして下さい。部屋ならあります。私がそばにいて癒やします。」

「そ、それは、、桃子さんが私を、、その、、好きだから?こ、恋として?」

「めっそうもない。推しに恋をして自分が隣のポジションを得ようなどと、、それは聖ガチファンではありません。」

「ちょっとなにいってるかよくわからない。。」


「そうだ。これからはここで晩ご飯を食べて下さい。幸い、私は江戸時代から続く日本の伝統料理から自然食まで精通しております。私が教えて夕ちゃんが作る。そうしていれば、いつかその会社を辞めたくなったときにちゃんと貴方は成長している。」

「え、そんな、、悪いです。。」

「言ったでしょう?私は貴方のことをお慕いしています。だからこれは私にとってもご褒美なのです。どうかそうして下さいな。ね?」

「わ、わわ。そんな、こどものような目で、、(ドキドキしちゃった)」


「そうだ。私、また動画チャンネルを新しく作ります。ピーチとゆうたんの萌え萌えクッキングにしましょう!そうしたら、収益になるから、夕ちゃんも私もwinwinよ!」

「た、楽しそう。。どうしよう、、すごく楽しそう!!」

「では、決まりね!これから毎日、少しずつ作戦は練っていけばいいわ!」

「は、はい。私、桃子さんと居たいです!よろしくお願いします!!」



 こうして、ボロボロに泣き崩れていた夕は、桃子によって満面の笑みと楽しそうな未来を見てこの日は帰っていった。


 桃子、恐るべしプレゼン能力。


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