第12話 円周率とめどなく言える桃子
*「それでも〇〇回フラれてしまう女」の91話を先に読んだ方が面白いです。
夕という新しいヒロイン枠、、
夕が恋する女性との物語はこちらでございます、お嬢様。
https://kakuyomu.jp/works/16817330655612755133
「それでも〇〇回フラれる女」
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桃子はスンスンと鼻を啜りながら、夕に手を引かれて自宅へとたどり着いた。
「さぁ、ここよ。入って入って?」
「うわぁ、、一人暮らしなんですよね?す、すごく豪華・・・。」
桃子は高額所得者である。中の上くらいのマンションの最上階に住んでいた。大きな玄関、広い間取りに現代の芸術品に興味が引かれて止まないオールラウンドオタク桃子は内装もセンス抜群であった。
「そうよ。私一人だから気兼ねせず上がって?」
*昼間は女子高校生カップルを自宅に誘い込んでいた桃子。
「すご、、部屋もたくさんありそう、、。」
「ほんの3LDKよ?動画と漫画の作業用に分けているの。ああ、このソファにお座りくださいませ。」(いつでもここに住んでくださいお嬢様。)
夕がソファに腰をかけると、慣れた手際で温かい紅茶を入れる桃子。その横には昼に真央達のために焼いた菓子を添える。
「こ、これ、桃子さんが?」
「あ、うん。お口に合うといいけど。」
「そ、そんな、い、頂きます。。」
夕の口に広がるバターの香りと、、
「アーモンド??お、美味しい・・・。」
「よくわかったわね。ガレットでございます、(お嬢様( ᐢ˙꒳˙ᐢ )♡)」
「す、すごい、、仕事もすごいけど、なんでも出来ちゃうんですね・・・。それに私のことを助けてくれたし。」
「いやだ、あの時は私、めたんこ泣いただけです。強そうな男の人がたくさん来てくれたから夕ちゃんは助けてもらえたんだし。」チビリソウダッタ
「謙遜しても、、桃子さんはスゴいです。私なんて、ホントだめだめだな・・・。」
桃子はゆっくりと夕のそばへ足をガクガク震えさせながら、優しく背中を撫でた。
(さ、さささ、さわってしまった・・・っ!!動悸すげぇ!!)
「夕ちゃん、、そんなことないわ。貴方は素敵。可愛らしくて綺麗。まっすぐで、愛に溢れている。私はそんな貴方が今幸せではないことが不思議でならない。」
(今すぐ私が幸せにしとうございます、お嬢様・・・。)
桃子の優しすぎるその言葉に、夕はまたじわっと涙が浮かんでいた。
「ところで、夕ちゃん。その男、いえ、男性のことだけど、、」
「あ、えっと、実は、、その、、私の好きな人は・・・。」
「ん、なぁに?」
「えっと、、オンナノヒトナンデス・・・。じょ、女性、、です・・・。」
「え、ええっ!!そ、そうなの!!!???」ほわっつ?
「あ、びっくりしますよね、、当然、、うん、当然です、、、」
嫌悪感でももたれただろうかと、不安そうな夕。
「あ、ごめんなさい!驚いたのは違うの!私、百合をこよなく愛する漫画家なの!ご馳走が急すぎ、、いえっ・・・」
「え、?ゆ、百合??って?」
「ご存じないのね・・・?百合とは、至高の産物。女性同士の恋愛を描いた物語のことなの!語って宜しいかしらっ!」前のめり
「え、ええ!?そ、そんなものが、、」
夕は知らなかったのだ。女性同士の恋愛の物語が文化としてあることを、本当になんとなくしか知らなかったのだ。それなのに女性に恋をして苦しんでいたのだった。
「あ、あの!桃子さんの作品を読ませて頂くことは・・・」
「当たり前じゃないっ!!いくらでも差し上げますし、今すぐ読んでもらいたいわ!!朗読すらいとわないっ!!」
夕は百合を題材にした桃子の作品を約1時間読み更けた。その間、桃子はプロの目でじっと夕を見つめる。
「ああ~!結構読んじゃった。あまりにも面白くって、、つい、、ごめんなさい!」
「いいのよ。私の方こそ嬉しいわ。それで、ご感想は?」ワフワフ
「はい!すごく面白かったです!キャラクターが皆かわいくて、切なかったり、報われたり、、。続きも借りていって構いませんか、って違うな。私、先生の作品、買わないと!ファンになっちゃいました!」
「なんてかわいいことを言ってくれるの・・・。一生従事したい・・・。」
機嫌を良くした桃子。しかし、その数秒後には真剣なまなざしを、、。
「あのね、夕ちゃん。私、ずっと考えていたの。」
「はい、なんでしょう?」
「貴方の、今後のストーリー展開を・・・。」
「わ、私の、、ストーリー・・・。」
「そう。貴方は、フラれるだけの女なわけがないの。こんなに美しくてかわいくて、そして性格もヒロインにふさわしい。。」
「そ、そんな、、」
「私が、貴方の今後をプロデュースします!恋愛系ヒロインとして、ハッピーエンドをお約束します!!」
「な、ななな、なんと!?ほ、本当にそんなことが、、」
「まずは貴方、、私とお付き合いしなさい!」
「え、・・・・・・ええ?!で、でも、」
「私は貴方が好きよ。私と付き合って、その想い人に諦めたというのよ。」
「え、だ、だって、本当に?私は諦めてませんよ?それでも貴方と付き合えと?」
含み笑いをする桃子。ふぉっふぉっふぉ
「大丈夫。あらすじはもうできているし、ストーリーは始まっているわ。」
「え、eeeeee・・・。」
頭脳コンピューター炸裂な桃子。
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