第4話 桃子、エルフの森を見つける

「ふぅ。。やっと帰宅なり。ああ、かわいこちゃんだったな。びっくりして名前も聞けなかった。。」


 桃子は運命的なラブコメが始まりそうなフラグを立てたが、このままではなにも起らなそうな結果を叩きだしていた。


「それにしても、、会社を辞めてしまった以上、、生活が、、生活が、、。」


 まぁ、いいか。お金ならあるし。


 桃子は多才であった。転生前が江戸時代ということもあり、裕福ではない剣道場を営む家に生まれた九つの童であったため、近代的なものに興味が惹かれて止まなかった。オールラウンドガチオタクにならざるを得ない宿命であった。何にでも興味があるため、いろんな仕事を趣味くらいの気持ちでやってのける。


 桃子は漫画を描くのが何より得意だった。同人誌を描き、同人サークルを立ち上げ、ペンネームは「ピーチ@顔バレごめんなすって」だ。会社にばれないように活動していた。まったく生活に困らないほどの収益を上げているにもかかわらず、そうまでして会社勤めをしていたのは、リアル百合の妄想がしたかった、それだけに過ぎない。


「生活から潤いが一つなくなりまするが、、やむを得まい。むしろ、新規開拓のチャンスとも言えますな。」


「あ、そろそろゲーム配信の時間だ。この収益もどんどん上がってきていることだし、、のんびりあちこち磨き上げていきますか。時間できたし。」


 桃子の自宅は3LDKの分譲マンションであった。配信用、漫画製作用の部屋がある。とにかく商才があった。金運もあった。


 転生前に強く願った、賢くありたいのは叶っていた。強運も叶っていた。色男になりたいと願ったが、性別だけはなんか無理だったみたいでめっちゃかわいい女に生まれた。なのに、もう二度と泣かないと言う誓いはまったく叶わなかった。これからすげぇ泣くのでその辺もよろしくお願いします。


「配信前に、お菓子とジュースを買い込んでこよーっと♪コンビニ、コンビニ~!便利な時代~!」


 桃子は徒歩5分ほどのコンビニへと出かけた。桃子はオールラウンドオタクなので、どこのコンビニに何が新発売されるかなどのリサーチも欠かしてはいなかった。愛ゆえに、あらゆるコンビニの株主にもなっている。


「あ、あったあった。このスイーツはブラウンさん監修の、、なんか知らんけど運気が上がるチョコレートブラウニー♡」


 こうしていくつかの気になる商品を駕籠に入れると、レジへと向かう。


「やや?べっぴんさんの若者であるな。」


 レジにいたのは高校生らしきアルバイトの女の子。


「そ、そうか。この辺には確か、、女子校があったね。あの学校の子がここでバイトをして、ん?下校時間などはまさか、、女子が集うのでは・・・?」


「いらっしゃいませ♡」

「なんとっ!語尾ハート!大好物である!」

「??(変なお姉さん、、。)」

「あの、アルバイト募集してますか?」

「え?あ、た、多分。。」



 こうして桃子は、化粧美人の竜宮城を追い出され、ピチピチ女の子の集うエルフの森へと妄想場所をシフトしたのであった。

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