第94話 対応案
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「王国からここに至るまでにアルティア神聖国内の荒廃した様子を確認されただろう? 国都周辺の流民の様子も?」
「酷い有様でした」
ヘルダの質問に王国の斥候は神妙に頷いた。
「大雪と不作で国からの配給が滞り、食料に窮した地方の農村の住民が次々と村を捨て炊き出しを期待して国都周辺に移り住んだ。最初の内は実際に炊き出しが行われていたようだが廃村の増加に伴い国内の食料生産量は減り、ますます配給が滞って廃村が増加するという悪循環に陥ったらしい。らしい、というのは、我々は傭兵として戦場に出ていない時は居留地にいるため普段
「同じような話を流民から聞きました」
「実際のところ我々は立つのが遅すぎた。流民の大半は、このままでは冬を乗り切ることはできないだろう」
残念ながら、とヘルダは何度か首を振った。
ぼくもそう思う。国都の周りにいる流民は、みんなガリガリにやせ細っていた。冬どころか今日を乗り切るのだって大変そうだ。毎日何人も飢えて亡くなっているに違いない。
「対策として思い付く案は三つある」
ヘルダが一本指を立てた。
「一つ目は放置。残念だが生まれた国が悪かったと諦めてもらうしかない。運と体力がある者ならば生き残れるだろう」
指を二本にする。
「二つ目は国外退避。一時的に他国へ避難して他国で仕事を得るなり流民になってもらう案だ。仕事が得られず流民のまま物乞いをするにしてもアルティア神聖国よりは食料事情はましだろう。他国までは自分の足で歩いてもらうしかないが移動にかかる期間の食料は居留地から運んで支給したい。無論かかった費用はアルティア神聖国から賠償金として取り立てるつもりでいる」
指を三本。
「三つ目は次の収穫期まで炊き出しにより命を繋ぐ案だ。春には種も与えて元の街や村で農業に戻れるようにも手配する」
ヘルダは手を降ろして言葉を続けた。
「三つの案の内『
ヘルダの腹案を聞かされた斥候は顔を歪めた。
「流民が避難する先の他国とは、どこを想定されていましょうか?」
「本人次第かと。まず徒歩で隣国へ出て、
「いやいやいやいや。アルティア神聖国と地続きの隣国には王国と『
ヘルダは首を振った。
「三案は予算的に困難でしょう。また一案はありえません。であるならば『
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