第87話 長寿
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マリアは国都の北門前に陣取る駐留地からさらに北側にある丘の上に本陣として大小様々な天幕を建てて大部隊と共に布陣していた。
副官であるヘルダも同じ場所だ。
本陣から『
国都の北門は居留地に一番近い側の門というだけではなく国都の正門でもあった。
外国からの観光客や使節団が大聖堂を訪れるためには、アルティア神聖国の北側の海に面した、『
現在はその進路上に『
ぼくはジョシカとルンの後に続いて本陣の大天幕に入った。
馬はジョシカの旦那さんに預けてきた。旦那さんは快く引き受けてくれた。
一緒に来た王国の斥候は大天幕ではなく控室代わりの別の天幕に案内されていった。
『
他国の人間がおいそれと会えるような安い相手ではない。ぼくは特別な友人枠だそうだ。まあ、そもそもの出会いは、おいそれだったけど。
大天幕内には大勢の『
見覚えのある顔がいくつかある。『
みんな、ぼくを見て、なぜいるのかと驚いたような顔をしたが拒絶は感じなかった。受け入れてもらえているようだ。
ぼくは目の合った人たちに会釈をしながら大天幕を抜け通路のような天幕でつながっている別の小さな天幕に入った。マリアの執務用の天幕だ。
話は通じていたのだろう。中でマリアとヘルダが待っていた。ぼくは二人とハグをした。
二人はすぐにボクの腕にジョシカとルンの『
「ありがとうございます」
ぼくがお礼を口にするとマリアは笑った。
「せっかく来てくれたのにジョシカの旦那に絡まれるとは災難だったな」
やっぱり誰かから事前に連絡が届いているようだ。
「うちの馬鹿旦那、俺の話を適当に聞き流しているだけだった」
ジョシカが怒っている。
「王国に『
「だから王国の兵団に報告に行くのは止めたのだ。私たちがアルティア神聖国に味方していたら真っ先に殺されていたぞ」
「『
「突然というわけでもない。もともと『
ぼくはびっくりした。エルフが長寿だからハーフエルフも長寿であることは知識として知っている。
「百年契約の期限が切れるってマリア今何歳?」
「女性に年齢を聞くものじゃないな」
マリアから、ぎろりと睨まれた。きつい目尻に余分な皺はない。百歳越えだとはとても思えない肌の張りだ。
「『契約の当事者双方に異存がない場合は、この契約の更新は百年ごとに自動的に行われるものとする。なお異存がある場合は、当事者の一方から他方へ書面、口頭、その他の方法により申し入れを行い協議するものとし、契約満了日までに協議が整わない場合は、お互いの心が寄り添わなくなったとして該当する土地の所有は元に戻る』
契約書はそう結ばれている」
マリアは『
「アルティア神聖国は元に戻るとは自分の所有に戻るという意味だと解釈しているようだが元というのは契約の以前、まだアルティア教国が
そう言うマリアは懐かしく何かを思い出すような表情をした。
「マリア、アルティア教のアルティアに会ったことがあるの?」
「傭兵として最初の何十年かの私の仕事はアルティアの護衛だ」
ぼくの目の前に歴史上の偉人の知人が立っていた。長寿すげぇ。
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