第84話 水場
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ぼくは斥候の内の一人と一緒に馬を連れて西門前に駐留している『
もう一人の斥候は、ぼくたちと別れてアルティア神聖国人側の
定期的に斥候の二人で連絡を取り合うそうだが、そこはぼくの仕事ではないため詳しくは分からない。ぼくの仕事は『
馬に引かせていた荷車は男家族の所に置いてきた。
ぼくたちは残った荷物を二頭の馬に分割して持たせていた。
少しと言いつつも結構な量の食料を渡してしまったため馬は
第一報として現在の状況について斥候から伝書鳩で王国に報告している。
アルティア神聖国には食料がなく廃村ばかりで国都周辺には流民が溢れていること。
その国都は『
これから『
このタイミングで報告を行うのは、この後『
ぼくたちは装備を身に着けずアルティア神聖国人としての普段着のままだった。
装備一式は荷物の奥に隠して馬に持たせている。
腰に護身のための木の棒だけ
国都西門の前には、『
ぼくたちは天幕ではなく、まっすぐに放牧場に向かった。
柵の向こうには沢山の馬が収容されている。
やはり自分たちから近づいてくる
何人かの『
ぼくたちを警戒したのか、それとなく周囲の隊員たちが集まって来た。
「何の用だ?」
柵の内側で馬の世話をしていた
「
「この時間だと、まだ戻ってないな。どういう知り合いだ?」
「先刻、流民の方々に囲まれていたところを助けてもらいました。待たせてもらう間、
すぐ近くの柵の内側に馬のための水桶が並んでいた。
柵の外からでも横木の間に首を突っ込めば馬は水を飲める。
「好きにしろ」という相手の返事を待ってから、ぼくと斥候は水桶に馬の頭が届く場所の柵に手綱を繋いだ。
「ここへは今日来たばかりなんですが馬を連れてたら食べられそうになっちゃって。その時、間に入ってもらったんです」
「だろうな。肉付きが良くて食いでがありそうだ。連中、満足に食えてないからな。おい」
「ブランとコークに戻ったらここへ来るよう伝えてくれ。客人だ」
「はい」
隊員の一人が答えて天幕の方へ走って行った。
「すいません」
「二人にはどんな用だ?」
「あらためて助けてもらったお礼を言いたいと思いまして。あと、できれば、こちらで何日か馬を預かっていただけないかお願いに。目を放すと食べられてしまいそうで。国都に来れば炊き出しがあると期待していたんですがないみたいで」
「その割にお前さんたちは痩せてないじゃないか。アルティア神聖国人で飯を食えているのは教会と軍関係者だけだ。お前らアルティア兵だな。その馬は肉付きが軍馬だ」
隊員たちが一斉に剣を抜いて、ぼくたちを取り囲んだ。
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