第2話 駄女神との交渉
【幸城 美桜】
職業:女子高生
レベル:10
HP(体力):105 /105
MP(魔力):95/95
ATK(攻撃力):13
VIT(防御力):10
AGI(敏捷力):16
DEX(命中力):12
INT(知力):25
CHA(魅力):20
SBP:800
スキル
《怒りの鉄拳Lv.5》……感情が高ぶると共に攻撃力が上昇する。レベルが上がる度にATK+10補正。
《狡猾Lv.8》……舌戦や心理戦など欺くのに長けたており、レベルが上がる度にINT+10補正。
《恐喝Lv.6》……脅すことで60%の確率で相手を混乱状態にする。
《統率力Lv.3》……パーティの統率及び士気力が向上するスキルで、レベルが上がるたびにCHA+10補正
称号:
『はわわわ! 最早、レベル10!? しかもアビリティ高すぎです! SBP:800って何ですか!? スキルや称号の補正といい、もう激ヤバァ! こんなバケモノみたいな人間、初めてですぅぅぅぅ!!!』
「失礼ね。これって立派な個人情報漏洩だからね」
『またまた~ん。異世界に転移する上で必要な工程なんですよぉ。今、《鑑定眼》と《アイテムボックス》のスキルを授けますんで、今のうちSBPを振り分けてくださいね』
「SBPって何よ?」
『スペシャルボーナスポイントです。レベル上昇と共に蓄積された経験値ともいえましょう。通常の人間は開放や振り分けをすることはできませんが、わたしに導かれた転生・転移者はステータスとして開放され、任意で自在に振り分けが可能となるのです』
なるほど、そうやって自分を強化するってわけね。
少し面白いわ。
「あんた、私のステータスを見てバケモノって言ったわよね?」
『すみません失言です、はい』
「……別にいいのよ。でも女神のあんたから見てそう思うのなら、異世界じゃ私は特別な人間って思われるんじゃない?」
『ええその通りです! まさに期待の勇者、英雄として称えられるでしょう!』
「ちがうわね」
『え?』
「寧ろ逆よ。これから行く異世界がどんな風習か文化で成り立っているかは知らないわ。けどラノベを読んだ限り、中世時代ってことは確かね。現実世界の中世時代は暗黒よ、特に女性は酷く凄惨な迫害を受けていたわ。異世界でもやたらと美少女を強調して異様におっぱいが大きな女子ばっかだったり、主人公に媚びるあまり独立心が皆無で、またあえて知能が低く設定されてたり、奴隷やペットにしてハーレム展開なんていう女性軽視が問題となっているわね」
『……貴女って身も蓋もない人です。けど否定はしません、だって万人受けするんだもん。ウケたもん勝ち、そこにモラルなど存在しません。現実世界でも同じなのでは? それを男女差別だと言うのなら、女性ウケする側だってイケメン男子ばかりが何故か悪役令嬢にぞっこんになったり、スローライフなんちゃらとか理不尽な理由でざまぁ展開の人柱になったりと、ほらね。挙げて見たらキリがありませんよ』
女神とは思えない現実主義ね。
本が売れればガバガバ設定だろうとなんでもありという、どっかの編集者並みの短絡的発想だわ。
んでアニメ化したら基盤が売れず大失敗するパターンね。
実はこいつ、元人間でそっち系なのかしら?
「だったら余計、初っ端から目立つわけにはいかないわ。下手に頼られてもウザいだけだし、嫉妬で妬まれてもイラっとするだけよ。けど舐められたくもないわね……」
『あのぅ、美桜さん……何が言いたいのでしょうか?』
「――駄女神のあんたに三つばかり追加要求するわ。一つ目は私のステータスを隠蔽させること。偽装でも構わないわ」
『はい、《隠蔽》スキルを授けることで可能となります。それくらいの取引なら致しましょう』
「二つ目は、私を『男』として転移させなさい」
『それは無理です。転移はありのままの貴女を異世界へ召喚されるので……まぁ相手の視覚を騙し操作する《
「じゃあ、それをお願いするわ」
『わかりました。ひとつ言っておきますが、ここまで女神と取引したのは貴女が初めてですからね』
「どうでもいいわ。三つめは――女神アイリス、あんたも私と一緒に異世界で戦いなさい!」
『はぁ!? いや無理だし!』
「嘘ね。あんたと同一である、闇堕ちしたメネーラだかという女神はしっかりと異世界で暗躍しているんでしょ? ならあんたもできて当然じゃない?」
『ぐっ……何この子、めちゃ鋭いんですけど。美桜さんの言う通り、メネーラは生贄とされた人間の体に受肉する形で、僅かな時間ですが地上で「神力」を発揮することができます。けどそれは女神としては絶対にやってはいけないことで、通常なら神界から永久追放をされてしまう禁忌なのです』
「だから闇堕ちしたんでしょ? だったらあんたもやりなさいよ」
『んな無茶ぶりな……話聞いてました? 私が追放されたら誰が異世界の均衡を守るんです? 「
「ふ~ん、駄女神でもいなきゃ異世界が困るってわけね。イコール、現実世界にも影響がありそうね……わかった。本当ならあんたとメネーラを激突させ、同時消滅を図ろうと思ったけど仕方ない、諦めるわ」
『はわわわ! な、何が「諦めるわ」ですか!? それって呪いや悪霊同士とかの話ですよね!? 危なぁぁぁい、めちゃ危険な子ぉ! もうエグすぎぃぃぃ! 善側の女神を消滅させようと画策する人間なんて初めてだわぁぁぁ!!!』
「どうでもいいわ。でも直接介入は無理でも何かしらの関与はできるでしょ? 情報共有や支援とか……それやってよね」
『……いや、それくらい異世界で仲間を見つけて指示してくださいよぉ。そんなにお綺麗なんだし、ぼっちじゃないんだからできる筈でしょ?』
「嫌よ。私、基本は弟と家族以外は信頼しないタイプなの。異世界の人間なんて、どうせ裏切られ追放され復讐してなんぼみないな奴らばっかでしょ? はっきり言って信用できないわ」
『わかったぁ♪ 貴女は相当人格が歪んでますねぇ? けどご安心ください、異世界には美桜さん以外にも転移者や転生者がおりますので、彼らを仲間にして一緒に戦えばよろしいのではないでしょうか?』
「嫌よ。『強き念』とやらで導かれた連中でしょ? 善なる心ってやつならまだわかるけど、結局それってなんなのよ?」
『まぁ、そのぅ……「生」への執着とか、強い「願望」とか「欲求」とか、とにかく人間が生きる上で必要不可欠なファクターっていうかぁ。念が強いほど、いい感じっていうかぁ』
「なんかフワフワしてきたわね。そういった輩は大抵、我が強く協調性がないのよ。自制心のない煽り運転や犯罪者に多い傾向ね。私も似たような気性があるからよくわかるわ」
『はわぁ、自分で言っちゃうんだぁ……』
「とにかく、そんな連中とは組まない。それなら私一人の方がマシよ。だから貴女は
『アドバイザーですか……まぁそれなら女神として《
「よし、交渉成立ね! あと最後に無事にクエストを達成した暁には、しっかりと報酬は貰うからね!」
『ほ、報酬ぅ? なんですか、それぇ……嫌な予感しかいたしませんが』
「内容は事と成り行き次第ってところかしら。あとで考えるわ、それと必ず元の世界と時代に返してよ!」
『シーズン後、希望者にはそのようにしておりますので保証いたします』
「OK、それじゃ異世界に行きましょう!」
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