第1話 夏枯れ
あの日から1週間が経った。
大学もバイトも休んでいる。
バイトに関しては無断欠勤だから、クビになってるかもしれない。
そんなことどうだっていい。
気づけば引きこもり。
食欲も外出する気力もない。
それでも生きていたら多少はお腹が空くのが人間。
ただ食糧は幸いなことに、袋めんを大量にストックしているから、今のところ買い物に行かずに済んでる。
なんにもしたくない。
できるだけ動きたくない。
布団とトイレの往復。たまにキッチン。
布団にくるまってSNSのチェック。
これで1日が終わる。
非生産的な毎日。
自分でもわかってる。このままじゃダメだって。
だけど、どうしようもない。
動きたくないんじゃなくて、動けないんだから。
大学の友人から心配のメッセージがくるけど、誰にも返信していない。
勿論、先輩からもメッセージや電話が何回もある。
全部無視してるけど。
チラっと通知を見たら【話がしたい】【返信して】ばっかり。
もっと他に言うべきことがあるでしょ。
謝罪は?
まず、謝るべきでしょ。
私よりも年上のくせして、もうすぐ社会人になるくせして、そんなこともわからないの?
言ってやんない。
自分で気づけよ。
あとさ、「話」ってどうせ別れ話でしょ。
そんなのしたくないよ。
あんたは新しい人生を既に歩み始めたかもしれないけど、私はずっと2人の楽しかった思い出、幸せだった時間に留まり続けてんだよ。
グルグル回る私の悲しみの周りで、世界は何事もないように回り続けている。
世間は夏真っ盛り。
「ムカつく」
カーテンの隙間から差し込んでくる日差しが嫌になって、頭から布団を被った。
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