二人の時間

 次の日、僕はただただ病室でぼーっとしているのが相変わらず退屈でまた病院の中を練り歩いていた。


 今日はまず、病院の購買に行ってみた。

 購買はわかりきっていたがだいぶ小さかった。

 売っていたのは少しの日用品くらい。

 まあ、こんな地方の中規模病院に購買があるだけいいのか。

 そんなことを思いながら何も面白みもない商品の陳列棚をただただ眺めながら時間がすぎるのを待つ。


 ふと、どれくらい経ったのか気になって購買の時計を見るが、未だに十分も経っていなかった。


「はぁ、暇な時間はほんとに過ぎるのが遅いな……」


 購買でお茶買ってそれを少しずつ口に含みながら病院内を探検する。


 そこまで大きい施設ではないがちょっとした運動にもなるし、小学校のときにした学校探検みたいでなんだか楽しかった。


 

 ふらふらと病院内を散歩していると今度は談話室についた。


 そこに、昨日の少女がいた。

 

 談話室は静かでその時はその子しかいなかった。


 すやすやと眠っているその子の寝顔はとても可愛らしいと思った。


 

 ピリリリリリリ……ピリリリリリリ……


 いきなり、僕のスマホが鳴った。


 電話の主は姉の麗華だった。


「おはよう。朝、何か欲しいものあるか聞いてないの思い出してさ、バイト今からなんだけどそれ終わったらまた今日もお見舞い行くから今のうちに欲しいもの聞いておこうと思って。」

「なにかある?欲しいもの。」


 ビックリして通話ボタンを押してしまったが起こさないだろうか?


「あ、えっと、あ、じゃあ本、本が欲しい。姉さんのおすすめの本とかあったら貸して欲しい。」

「了解、持って行くね!」

「うん、ありがとう。」


 そう言って、僕は電話を切った。

 ちなみに、本を選んだ理由は一冊一冊が長いから長い間時間を潰せそうだったから。

 姉さんのおすすめの本、どんな本だろうか。

 マンガ?小説?ラノベ……はないかな。

 まあ、楽しみにしておこう。



 そんなことを考えているとすやすやと寝ていたあの少女を起こしてしまった。


「んんー、」

 眠そうに眼をこすっている彼女は一層幼く見えた。

 起こさないでおこうと注意していたこの寝ぼけてた声は僕の肩をビクッと震わせた。


「ごめんなさいうるさくして。起こしちゃいましたか?」

「? あ、えっと…あ、謝らないでください。」

「そうですか?ならいいんですけど。」


 彼女の声を一言聞いたときとても可愛らしい声をしているなと思った。

 ギリギリ聞き取れるレベルで小さくて少し動揺したような口調の彼女の声は優しく柔らかい声色だった。

 


「えっと、」

 しばらくの沈黙が流れ、気まずい空気になる。

 初対面何だから当たり前かもしれない。

 何か話したほうがいいんだろうけど話題が見つからない。


 どうしようと考えていると一つ良さそうな話題が思いついた。

「そういえば、この病院に私と同い年くらいの子がいるとは思わなかったよ。」

(私も同い年くらいの子がここに入院してるとは思いませんでした。)


 会話、終了。


 さっきと違い、スマホの画面にその文字は書かれていた。

 恥ずかしがり屋なのだろうか?

 それとも、見知らぬ男がいて警戒しているのか。


 えっとー、、、ここからどうしよう。

「いつからここにいるの?」

(物心ついた頃からずっとです。)


 ……


 質問一回につき一回の沈黙が挟まる。

 …この空気がすごく気まずい!


 今、この状況で何かいい質問はあるだろうか。

 この前中庭で何を書いていたのか、いや、一瞬良さげで聞こうかとも思ったけど、流石にキモがられそうだしやめ。

 趣味を聞く、聞いたところで自分が知らないものだったら会話続かないからなし。


 いや、そもそも、会話を続ける必要があるのか?

 僕がここから立ち去ればいいだけなんじゃ…

 気が動転して頭が回ってないのか?

 そう思っていると彼女が声をかけてきた。


(さっきまで、何をされてたんですか?)


 さっきまで…?散歩?でいいのかな?


「病院って暇だから、暇つぶしに散歩してたんだよ。何か面白いものないかなーって。」

(そうなんですね、たしかに病院って何もないですからね。)


 えっと、なんだったんだろう。

 まあ、気まずいから会話を繋ごうとしてるのはわかる、

 でも、話題がないよね、お互いの入院の理由なんて聞けないし、

 病院ならではの話題とか、共感しやすいかも?

 うーん、点滴、とか?痛いよね、みたいな…

 いや、うん、無理だ、


 うん、やっぱり帰ろう。そうしよう。

「ごめんね、邪魔して、そろそろ帰るよ。」


「あっ、」


 そう言った瞬間僕は席を立った、しかし、彼女は悲しさと寂しさが入り混じったような表情をした。

 頭の中に彼女との会話の中で彼女が言った言葉が反響する。


…「いつからここにいるの?」

(物心ついた頃からずっとです。)…


 物心ついた時から、そう言っていた

 おそらく、彼女は年が近い子の友達が出来たことがないんだろう。


 ずっとここで、1人だったんだろう。

 もう少しここにいたほうがいいんだろうか?


「えっと、何かゲームでもする?」

 その言葉を聞いて、彼女はパッと笑顔を見せる。


 その後、僕らは2人でオセロを楽しむことにした。



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更新遅れてすいません、納得のいく物語がうまくできていないので途中で諦めて別のラブコメ書いてるかもです。

すいません

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無口なあの子の心模様 霜月 海 @035

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