宵闇に隠せ恐れも昂りも迷いも何も君への想いも

宵闇に隠せ恐れもたかぶりも迷いも何も君への想いも


※(筆者コメント)

国語の教科書でおなじみ、正岡子規の「針やはらかに」("の"を意図的に多用して、独特のリズムを作る)の歌の影響を強く感じさせます。

冒頭に強い言葉を置いて、後は「も」を多用して事項を並列列挙することで、最後の七が字余りにも関わらず強引にリズムに任せて読ませてしまうことで焦燥感を表すことを意図しました。

この短歌、元々は二十首連作のうちの一首だったものです。それゆえにこの短歌だけ単体で抜き出してしまうと一体どういう状況なのか、まるでわかりませんね。元々の二十首連作のものとは状況設定が全く違うのですが、私から状況設定の一案を以下に例示しておきますね。


※(筆者イメージ)

中学校の修学旅行先でグループ行動をしていたが、どういうわけか僕と片思いの女の子の二人がグループからはぐれてしまった。夕闇が近づいて、彼女が不安を口にする。困った、僕にも土地勘はない。ただ、これまで知らなかった彼女の表情を見て僕の気持ちも昂っている。彼女は気づいてないだろうが、僕のスマホにはさっきから着信のバイブレーションが続いている。だからって今すぐ電話に出て、「迷子になったから迎えに来てくれ」なんて言ったら、きっと彼女は僕に幻滅するだろう。……僕はどうすればいい?いや、こんなチャンスはもうないんだから、ここで彼女に告白してしまおうか?……ダメだ、頭がパンクしそうだ。そうだ、僕の迷いが彼女にばれないように、僕の表情が彼女に見えなくなるほどに、もっと暗くなればいい。

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