500~

501 汚れた手で抱きしめたりはできないから


カーテンを引いて、銃声を隠して。星屑を眺める横顔がフラッシュバックするけど、真夏の向日葵を撫でる君が脳裏に焼き付いているけど。僕は君が眺める星を作る役目、隣にはいられない。いつか僕が同じ仕打ちで星になったとして、君は僕を綺麗って言ってくれるかな。僕は君に精一杯の光で、愛を伝えることができるのかな。

やっぱり無理か、僕の光は鈍いから。



502 深夜2時のおまじない


丑の刻参り一日目。正直初めてでかなり緊張しているが、ただ見られなければいい。見られなければ良いだけだから…………あの子に蔓延る邪魔な奴の写真と一緒に藁人形を貫く五寸釘。バレちゃいけないのに、恨めしいと思うほど釘を打つ強さが強くなってしまう。木に深く突き刺さっていく鈍い音とカーンカーンという音が小気味いい、七日目まで頑張らなくちゃ。絶対バレないように。



503 君の笑顔を収めたい


ん、この写真?そう、あの子の。ほらあの子ってさ、写真嫌いじゃん。どうしても一人で写ってる写真撮らせてくれなくってさ…でも、彼との写真は喜んで撮るの。だから、二人で撮らせた。でもね、こんな男の写真は全然いらないの!だから切り取って、こう言うふうにスマホにあの子の方だけ入れてあるんだ。可愛いよね本当に。

こんな笑顔、私には向けてくれないのが余計に。



504 君にも芽生える嫉妬心


ごめーん、遅くなっちゃった。おんなじ教室の子と話しててさ、会話が弾んじゃって。

ごめんって、そんなに怒らないでってば、嫉妬してるの?可愛いなぁ。

この後遊びに行くんでしょ?怒った顔も可愛いけど、そんな顔で歩かないでしょ?

…やっとわかるようになったんだね、僕の気持ち。君が他の男と話しててどれだけ苦しんだか…わかってくれて僕は嬉しいよ。



505 狂おしき愛おしき世界


虹色に色づく地平線と人差し指に纏わり付く残り香。金色の装飾のあしらわれた砂時計は人々の羨望の眼差しを集め、欲と力に飲み込まれる三千世界。

栄華と衰退、諸行無常を絵に描いたような無情の世界で人間は生きる。

思い描く世界の繁栄と現実とのギャップに苛まれながら生きていく、そういう世界。



506 相入れない幻想


君の目指す物とぼくのそれは相入れない物だ。全ての幸福を願う君と、世界の破滅を望む僕はどう頑張っても二人手をとって願いを叶えることはできない。反発する、君の言う「仇為す物」が存在する限り、君の望みは叶わない。何故なら君の望む全てに、皮肉にも僕は参入しているからだ。さぁ、血で血を洗おうか。君と僕の、どちらかの理想郷ユートピアの為に。



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