300〜

301 受取手不在


大丈夫、きっと大丈夫だよね?あれだけ好きって言ってくれたもんね?愛してるって言ってくれたもんね??ほら見て!この花束。君に似合う色にしたいなってずっと配色とか考えてたんだよ?…受け取ってくれないの?なんで手を払うの?「嘘だよ」?え?なんで?私何か、悪い事した??



302 うしみつのかくずちさま


丑三時の千本鳥居、ある一瞬だけ千一本になるという噂話。

その鳥居を潜り抜ければ、たちまち燐寸マッチの様に辺りが燃え上がり、黄泉へ連れて行かれるとか。火を纏うカクズチの神隠し、古来からの言い伝え。



303 最初の一言


線路から眺める視線と車窓からの視線が一瞬重なる。一瞬のつながりでもわかる、懐かしいあの眼差し。瞼閉じれば鮮明に蘇ってくる思い出を懐かしみながら、隣の席に座る。久しぶり、そういうだけなのにむず痒くて声が出ないのは、何故だろう。



304 通るような道


心象は荒んで有刺鉄線ゆうしてっせんがお似合いなこの年頃。

流行りなんてしらねぇよ、と音楽番組もろくにつけなかった青さも、今となっては小恥ずかしい。アスファルトに座り込み、意味もなく駄弁ったあの頃の一瞬の輝きも、今となっては取り戻せない。



305 男の絶対教訓


良いかお前ら、これから進学デビューだが、彼女を作った後に言ってはいけないことを教える。「すっぴんのが可愛い」。これは絶対ダメだ。何時間もかけておしゃれして行って「全裸のがかっこいい」って言われてみろ、泣くだろ。ちなみにこの前、俺はこれを彼女に言って街中で服をひん剥かれた。お前らは気をつけろよ。



306 脳筋は何を叫ぶ


あっちぃ、あっちぃなこの手牌!ここからシャバい手を狙うのは人間として終わりだと牌が語りかけてくる!!乗ってやるよそのクソ見え空いた挑発ぅ!

R"E"A"C"H"!!特攻ぅ!!POWERこそが正義なんだよオラァ!!!!



307 小さな世界の小さな光


暗闇の病室ほど不気味なものはない。絶賛停電中のこの病室は、看護婦がバタバタと忙しなく行き交う音だけ。窓の外を眺めるとあたり一体停電してるらしく、星が綺麗に見える。嗚呼、看護婦が僕の病室を照らす。あの綺麗な刹那をまだ眺めていたいのに。


308 掃き溜めの存在論

いつか誰かが言った気がする言葉、ゴミ箱にはゴミしか捨てない様に、掃き溜めみたいなこの世界にはクズみたいな人間しか生まれてこない。ゴミであることが僕らの生まれた意義で有り、それを逸脱いつだつすることは法則として許されないことだと。そんな規則に縛られたまま生きていく僕らのこの様式こそが、この意義に対するテーゼなのだと。



309 最後のプレゼント


白昼夢のような、うっすらとした曖昧な輪郭しか持たないここ最近の僕。君が殴り書いた、落書きみたいな最後の手紙は、僕を優しく呪いで包み込んでくれた。

俯いたままでいる僕を見越すあたりはさすが君だと思った。

ありがとう、僕は君という呪いを抱えながら今日を生きていくよ。



310 音楽家の天気予報

天気雨の雨のビートは8分の6拍子、音色はスタンウェイ。

今日も土砂降りの16分音符で西部は独特のハネリズムに悩まされるでしょう。

週末はソフランも変拍子も加わり、来週には交響曲のような荘厳さが取り戻されるでしょう。以上、ピアニストの楽譜天気予報でした。



311 君の愛を吸う蚊となって


嗚呼また、そんな甘い液が傷口から溢れてる。ダメじゃないか、その甘い液は、

僕以外が味わっちゃいけないんだから。ほら、絆創膏で傷を覆ってあげる。

痛いけど、我慢してね。…良い子、良くできました。



312 犬の存在意義


小さい水槽の中で、花火の様に命を輝貸せるネオンテトラ。

すり減っていく今1秒をなんとも思わないように優雅に泳ぐ。

私だってさ、お前のように落ちてくる撒き餌を食ってぶくぶく太るだけの人生がいいよ。

でもお前を長生きさせるためにも、頑張らなきゃいけないんだ。



313 貴方の祈る意味


ゆらゆらと光のカーテンのように、この斜光は窓から差し込んでくる。白く吐かれた吐息と、早朝の屋外の雑踏が混ざって。包み込まれる日の暖かさの中、また私は今日も祈る。この祈りのひとときに、俗世ぞくせからの逸脱という低俗な目的を持って。



314 それ故君は僕の傷になった


君が聞いたら笑うだろう話がしたい。僕は残念ながら、この初恋を当分引きずりそうだ。君との思い出のものを捨てても、あの夕焼けが、あの公園が…この場所が君との記憶を鮮烈い思い出させてしまう。最後の言葉が「好きだったよ」なんて、君も大概罪な女性だよ。



315 桜花繚乱浮世百景


菜の花や、月は東に日は西に。海に差し込む、桜花前線。

本日は潮風に煽られる桃色の春の便りが見られる事でしょう。

海の面を揺蕩たゆたう桜もさることながら、海の潮に揉まれた桜で作る桜餅も、これまた絶品となるでしょう。



316 小物はみんなこう言う


嫌だ、私を玉座から引き摺り落とそうとするなこの蛆共め!一度座ったら全てを見下せる優越感、全能感!!手放してなるものか!

そ、そうだ!お前ら如きにこの国を統治する頭などないだろう?!お前らにはリーダーがいるんだ!だからやめろぉ!はなせぇ!!



317 上級天使の戯れ


つまんない!つまんない!!下々はみんな天界に行きたいって頑張ってるけど、こんな所なーんにもなくてつまらないんだから!!そんなことよりも僕は旅に出たい!こんな面倒くさい役職降りて、姿を変えて、下々が楽しむ放浪の言葉を楽しみたい!



318 自我が消える時間


知らない私が見えてくる。夜になると、自分じゃない思考が顔を出す。表情が歪んで体から精神が抜け落ちていく。少ししたら、自分じゃない誰かの出来上がり。

誰か私を知ってるなら教えてくれ。私は私がわからない。



319 天気嫌いの知見


晴れが嫌いだ。青い快晴の空の青は泣き顔の青を溶かさないから。

雨が嫌いだ。薄汚れた雲模様は私を蔑む言葉のように黒いから。

風が嫌いだ。吹き荒ぶ嵐は私の不安定な心を悪戯にさらうから。

雷は好きだ。直情的に迫り来る「死」の恐怖が、私の心を踊らすから。だから皆嫌いだ。私を悪く言う皆んなも、こんな思考の私も。



320 「此方側」の住人


いらっしゃい、君もまた先に来た人たちと同じ、「迷ええる子羊」と言うやつなのかな?嗚呼、心配しないでほしい。ボクは此処の住人、今日からはボクがこの世界を案内しよう。

退屈でつまらないこの箱庭を壊してくれることを願って…さぁ、ボクと遊ぼうか。



321 地獄みたいな天国


ご機嫌皆の衆、守備よくやってるかい?

嗚呼そこのジジイ、孫の遺品ならしっかり握っときな。この掃き溜めみたいなスラムの歓楽街じゃ法もへったくれもないんだから。

鉛の雨が降り、薬の雲が沸く。この素晴らしき地獄に、乾杯。



322 忘れられない恋心


僕を信じて、って。何回聞いたかわかんないよ。

私を置いて去ったあの後ろ姿、破り捨てられた封筒、身ひとつとリュックサックで投げ出されたあの日。それでもまだあなたの言葉がフラッシュバックする。いつかまたこの携帯が震えるんじゃないかって馬鹿みたいに信じる私を、あなたは笑うんだろうなって。



323 「君らしいお願いだ。」


あなたは今でも覚えてる?月明かりの照らす、うだるほどの暑さの中。

坂道を二輪で下り落ちたあの日の夜。馬鹿みたいに「死ぬ時は一緒だ」

って笑った君。そんな君に最後のお願いだ。

「僕を誘うのは、この心中を最後にしてほしいかな。」



324 多分これ説明役は死ぬ


あいつとは戦わない方がいい、あいつはこの無秩序を極めたような界隈でも名の知れた犯罪者だ。能力はいたって単純、オノマトペを具現化する。対策を怠ると退治した瞬間に「文字通り」首が飛ぶぞ。



325 そんな君が可愛いって思ったんだ


いつも通る、車を見下ろす、雨水の滴る通学路。ゆっくりと僕の前を進む後ろ姿を、ただ、声もかけず。眺めることしかできなくて。踏み込む水たまり、君の後ろ腿に少し水滴を残して。

頬を膨らませて君は怒る。でも僕は知ってるんだ、君はその後くしゃっと笑って、その美しい顔を林檎のように赤く染める事を。



326 恋(故意)の忘れ物


もう、また書くもの忘れたの?しょうがないなぁ、はい、ボールペン。授業終わったらちゃんと返してよ?全く…君は忘れんぼさんだなぁ。まだ前期なのに借りは両手で数えきれなくなっちゃったんだけど。

…でも、嫌いじゃないよ、君に物を貸すの。最初こそ、大層に封筒に包んで返してきちゃってさ。笑い物だったよあれは。でも君の使った後の、あの包み込むような優しい香りは…私、好きかも、なんてね?



327 文句ばかり増えていく


…もう、こんな時期だね。君がいなくなってもう半年も経ってしまった。

正直言って辛いよ、まだ。僕は君に一途な愛を受けていたと言い張れる自信があるし、君に精一杯愛を注いだと断言できる。でもだからこそわかるんだ。独りよがりな愛だった、ってね。僕は君に生きる気力を「充電」してもらってただけなんだ。君には無理をさせて、君が「本当にしてほしいこと」を僕はしてやれなかった。

君にあげたアイオライトの首飾りも嘘になってしまった。君があれほど欲しがった苗字も君に渡す前に、君の墓標を掘ることになった。もう何度見たかわからない君の横顔も、今では冷たく石の塊に成り下がってしまった。

もう後悔したって遅い、そう何度も思って入るけど、募っていくばかりなんだ。僕のこの気持ちは。君の前で涙を流しながら線香を添えるのが惨めったらしくて嫌いなんだ。



328 束縛無力化系


君は本当に可愛いよね。私に敵わないところとか、私が作った料理を疑いつつ苦い顔をして食べるところとか。でも私がいちばーーん好きなのは、私の隣で眠ってる貴方。私がいないと生きていけない貴方が一番可愛くて愛おしいの。私から逃げれるのに、私がいないと生きていけないから…それで私の元に怯えながら帰ってくる貴方が愛らしくて仕方ないの。



329 小さいことが決して悪ではない世界


世間はみんな、野良猫みたいに気まぐれで。花火見たいな一瞬の鮮烈に群がって、責任を焚き付ける。精一杯かき集めた成果の花束も、周りの目から見たら劣等感の塊にしか評定されない。野良猫は胡座あぐらをかく。僕らは猫に石を投げるネズミで、猫からは馬鹿にされっぱなし、殴られっぱなしだ。そんな世界でもネズミは猫を噛む。



330 たった今からの心予報


今晩は、いい天気でした。ガラス細工のような貴方の命がほろりほろりと崩れ行き、私の手元を離れていく、そんな今の時刻。必死に握りしめた私の手には貴方の赤い残穢が残るだけ。

今晩は、いい天気でした。しかしながら此処から雲行きは怪しく、私の心には土砂降りの雨が降る予報でしょう。



331 何気ない一言が世界を変える


髪を結んでる君を見たことないかも。

そうなんとなく口をついた。観覧車で対面で座ってる君はびっくりする。

ふっと口角を緩め、手元につけていたゴムを外して後ろ髪を結い始める。

今しなくてもいいのに、そういう言葉すら出ないほど髪を結んだ君はあまりにも新鮮で、そして綺麗で。夕日差す情景も相まって、君が世界で一番美しいと思ったんだ。



332 命の納め時


いえいえつまらないものですから。えぇ、どうぞご笑納ください。

私めの命にございます。諸々の臓器も含めてそれなりの値は張ると思います。

で数から何卒、何卒借用書の取り消しをお願いいたしやす…!



333 誰かに伝播する「心」


幾許いくばくもの心を風靡ふうびする音楽、文化、それに付き従う有象無象。

じゃあ、心はどうか。世界中の人々を突き離してやまない私のこの倫理が、いつか遠いどこかいつかで、認められる何者かになれるのか。誰かの心の奥に潜めるのか。



334 溶け込んでいく紅


真紅の朱は生の色。否応なく流れるこの紅は、私に暖かさをもたらしてくれる、抜くと途端にどす黒くなる。抜けば抜くほど魂を支えるお守りが体を離れていく。

こんなものが私に流れていたんだ、という安心感と共に。



335 君が言うのなら止めないさ


そろそろ君との楽しい時間も、お開きになっちゃいそうだね。

最後の確認だ。準備はできたかい?…そうか、君はもう変わらないんだな。

じゃあいいよ、もう。親愛「だった」あなたへ。俺が今まで君の光になれてよかったさ、ああ幸せだったよ。これからは僕をその冷たい体で癒しておくれ。



336 支えられる劣等感


ああそうだよ!僕は見栄っ張りなカッコ悪い人間だよ!

みんなの前ででかいカオして、みんなに心配かけないように精一杯無茶してる。

だから、だからだよ…!みんなと会えない自分が、結局みんなに支えられてる自分が!一番惨めで仕方ない……一緒にいた時の方が私、可愛かったなんて…思いたくないよ…!!



337 解のない倫理


そんなに死にたいっていうのって、罪なんだろうか。

だってみんな言うじゃん?死ねばいいのにって、殺してやるって。人に殺意を向けるのは皆「冗談」って笑い飛ばすのに、弱音でそう言う言葉を吐いた瞬間倫理がどうだの、命の価値がどうだのと責め立てられる。なんなんだろう、これ。



338 ※撮影期間未定


近年稀に見る異常気象!迫り来る台風を眼前に老夫婦は何を思うのか!

劇場版現代昔話「未完の蜜柑」近日撮影開始予定!

オレンジ色の大地を前に、二人は何を思うのか……



339 結局薬なんてみんな飲む物


お薬飲めたね、昔は飲めただけ褒めてもらえたのに、今じゃ飲むのが悪みたいなさ。

大人なんて毎日薬と栄養剤飲んでるのに、子供が薬に頼るとあれやこれや騒ぎ立てる。そんなストレスがあるから、ODに走るんだよ、ばーか。



340 手向けるは黒い花


去り際に出てしまった「大っ嫌い」ほど、今となって取り消したいものはないよ。

あのまま最後の顔を、冷たい体を見せつけてきた君に、僕はなんて声をかければいいのかわからなかったんだ。黒の秋桜、映り変わらぬ君への愛。



341 括るなら自分で用意したまえ


悪いね、この縄は一人用なんだ。一人しかぶら下がれないし、このまま君までぶら下がってたら短い縄だから切てしまう。頼むから退いてくれ、止めないでくれ。僕はもう君より何年も前からこの世界に諦めをつけてるんだ。



342 メイド喫茶罰ゲーム


おっ……オカエリナサイマセ…ゴシュジンサマ…えぇ?!ちゃんとやれって?あぁウルセェ!お帰り下さいませェご主人この野郎ぉ!

しゃーねぇからオムライスは出してやる、飯代はテメェで払ってテメェで食え!チェキは…まぁ……撮ってもいいぞ。



343 穏やかな戦争をしよう


セカイが一色に染まりそうだったあの日、あのセーラー服が戦闘服みたいに校内を我が物で歩き回ってたあの頃。

遊ぼうよ、皆が、社会が追いついてくる前に。二人で。



344 交換→観察


君との交換日記、結局3日も続かなかったね。

日記つけて、渡してもらって、内容が足りないからって添削てんさくして。結局私が全部観察して日記をつけた方が早いって気づいちゃった。だから安心してね、君は普通に過ごすだけでいい、私がずっと。。ず〜〜っと観察してあげるからね。



345 今日も参列日


今日もまた天光さす空に雨が降る。文字通りばかされたような、和装の結婚行列と参列者。耳と尾っぽは隠さず行けや。

本日晴天、けん、雨模様、狐の嫁入り、今月三件目となります。



346 今日だからいいんじゃないか


はなして、離してよ。…あいにくの天気雨でさ、低気圧で頭は痛いし体が重い。食べるもの全部吐き出してしまって、もうどうしようもないんだ。

…ねぇ、その薬返してよ、高かったんだ。それとも今更なんだい?止める気かい?こんなに死ぬにはいい日だってのに?



347 記憶の隅に眠る童心


お願い、私を忘れないで。子供の頃の夢、永遠に続く螺旋階段と、淡く溶ける砂糖菓子。窓のない家から見上げる天体観測と、遊覧木馬の一角獣。みんな忘れちゃうもの、でも忘れたくないもの。

貴方だけは、思い出して。



348 夢現の恋人


おかえりの君の声が聞こえるのは、いつも一瞬だけ。

いつものあの時間に、あの時計塔、僕だけが知っている、もう二度と聴こえないはずの君の声。焼き付けることすらできないその声。

誰にも知られず姿を消した君の、最後の幻影、僕はそれを追い続けてるんだ。



349 君の愛に委ねて


真夜中、君は焼き切れそうな顔で僕を見つめる。自分を抑えられないような、でも少しだけ申し訳ないような。「いいんだよ、おいで。」少しの迷いのうち、体に少しの鈍い痛みと、流れ出て冷たくなった僕の一部が流れ落ちる。いいんだ、いいんだよ。それで君が何も変わらない朝を受け入れられるなら、僕は。



350 分かってはいるんですよ


君の事が嫌いだと言えば嘘になる。でも、

本当のことを伝えるのなんて丸鳥に空を飛ばせるくらい無謀だし、僕には思う資格はあっても口にだす資格はないから。

…だから僕は、ダメなんだろうな。やりたい止まりで、実行に移す勇気のない意気地無しだ。



351 洗い場の流星群


今日もランドリーで回るのは、出来損ないのコメット達と私の服。

流星群でもみくちゃにされる私の服は、細かな光の粒子を浴びて汚れが落ちていく。

そう言えば昔、この星屑を掴もうとして洗濯槽に引き摺り込まれたっけ。

あのまま洗って貰えば、綺麗になれたのかな、なんて。



352 脆く弱い心の代替品


偶像虚像に縋るのって、そんなに悪いことかな。現に私は、ありもしない自分になろうとしてその自分に縋っている。君もなんじゃない?ありもしない存在に身を委ねるのって、楽で気持ちいいんだよ。たとえそれが運命でも、偶然でも。不埒だと考える時点で、君は僕を否定するってことさ。



353 僕も連れて行っておくれ!


本当に僕を、置いていくのかい?…うん、そうか。君は、、頑固だからな。意見を曲げるとは思ってないさ。

……だから君に、プレゼントを持ってきたんだ!君なら喜んでくれると思う、何せ僕の特注品だからね。

はい、僕の命。君の出発に手向けるフィナーレは僕の一生の呪いだよ!


354 嘘みたいな嘘


大丈夫、大丈夫だから。…っふぅ、やっと収まった。

ん?どうかしたかって?いやぁ何でもない、ちょっとお腹の調子悪くて、あはは。

うん、すぐいくから!…はぁ、最悪だよ本当に。

自分に言い聞かせないと立ち上がることすらできないなんて、ばっかみたい…



355「夜明け前には」


…僕は君じゃないからさ、君の事がまるっきり全部わかる訳ではないよ。

だから僕は言うんだ、君と二人この街を逃げ出したいって。

夜が明けて、朝が来て、大人と都会の喧騒けんそうが追いかけてくる前に。

夢見てるんじゃないかって?…夢は見てるよ、覚められない夢を。行方の分からない夢を。



356「夜の帝王、失楽園」


あーあ、また日が登ってくる時間か。また時計の針を戻さないとな。

…え?針を戻しても時間は戻らないって?知ってるさ。

僕らは昼を生きられない。だから明るい夜と言い張って今を生きるしかないんだ。

ああでも悲しいな、そんな夜の楽園を邪魔する君には、現世に帰ってもらわないと。

ごめんね、僕らの平穏のために死んでくれ。



357 幸せな夢


おはよう、くうぅ、あったま痛い…昨日何があったんだっけ…

お前なんか覚えてる?えぇ、言わないぃ?絶対何かやらかしたじゃん、それ。

うーんでもまあ覚えてるのは、すごく幸せで泣いちゃいそうだった、って事かな。

なんだよその顔、まさか本当に泣いてた?まぁいっか、、なんか憑き物落ちた感じするし。



358 見せれない僕、知らない世界へ


昼下がりの通り雨、僕の心を流しておくれ。僕の涙が枯れるまで。

泣いてないて泣き疲れた後、僕が家に帰って寝た頃。

僕の知らない誰かに、君のペトリコールで僕の心の傷が見えるように。

誰にも明かせない僕の心の奥底を、誰かに拾ってもらいたくて。



359 君は君は煙草も良くないって叱ってくれたな


また、君の影が薄暗いキッチンに見えた気がした。君の姿はもうこの写真一枚でしか見る事ができないのに。疲れてるのかな、きっとそうだろう。火を点けたまま支えていた煙草も一口も吸わずに燃え切りそうだ。

…過労の幻覚でもいい、もう一度君に会いたいよ。



360 時既にお寿司


君がいつか言っていた、世界を置き去りにする下り坂の話。なんでも全速力で駆け落ちればこのつまらない世界から抜け出せるって。…意味違ったけど。

運命の鎖を引きちぎって新しい自分になれる、とも言ってたよね、君。そん時は一緒にチャリで滑るぞーなんて言ってたね。…意味違ったけど。



361 仮面か天然か


熱い、、熱い、なんだこれ。気温も対して高くないのに、お前といると暑くて仕方ない…なんか変なものでも食ったかな。はぁ?恋してるうぅ??まさかぁ、ばっかじゃねぇの?!お前みたいな腐れ縁、好きになる訳ないだろ!hahaha、冗談はテストの珍回答だけにしてくれ、ってな!



362 厄払いはないけど厄つけてきそう


なぁ、今日ってエイプリルフールじゃ…ないよな。でもこの神社、どう見ても…

「ちくわ大明神ハァードッコイショ神社」って書いてあるよな…しかもエスカレーターついてるし…変な音楽も鳴ってない?

一旦お賽銭行く?度胸試し的なアレで。いや、流石に一人では行きたくないわこれ



363 虚空の世界


陽が落ちる雨の時には世界が一度収束する。

真空に閉じ込められたみたいに、何も聞こえなくなって、何も感じなくなって。

五感六感消えてなくなって、一瞬だけ死んだ灰色の世界が現れる。

大人は知らないあの色のない世界、僕の心を掴んで離さない世界。



364 人は終着点と呼ぶ


あの空のずうっと先、誰も知らない空の果てに、子供達の手放した風船は留まっています。透明なヘリウムを掴んで離さないで、誰にも侵害されない、迷い子だけが辿り着ける世界のターミナル。ほら、今日もまた駅が大きくなっていく。



365 ゆびきりげんまん、嘘ついたら。


今日もまた幕が降りる、人間としての幕が。友人もどきと手を振って帰り、本当の友達を道端で待つ。「…遅いよ、待ったんだけど」夕方の畦道あぜみち、君はやってくる。夜のような冷気と、魑魅魍魎ちみもうりょうの友達を連れて。

「遊ぼうよ、見てくれの友達といるより君がいる方が100倍楽しいんだから。」



366 量子の論理の感情制限


君も運命なんて大概なもの信じているのかい。はぁ〜あ、信じられない…

君の倫理に信仰が入ってるかは知らないが、心の支えを外部に求めるというのは愚かしい行為であるのだよ、君ぃ。安心とか信頼とかは、データじゃ書き表せないものなんだ。そんなもを生物学の量に入れて話てもどうしようもないだろう?



367 混ぜていい色だけ浸してね


アクリルでできた、天然みたいな人製の心。

混ぜられた色をそのまま映す私の心って、純粋っていうか、幼稚っていうか。

飾らない汚い色の私は患ってるなんて後ろ指さされて。いつものあの廊下に転がってた花瓶の水の方がよっぽど汚いのに。酷い話だよね。



368 空を舞うCoaster


本日はこちらの「宇宙観覧コースター」、ご利用いただきありがとうございます。

乗車に先立ちまして、一つ御注意がございます。本日、流星群です。くれぐれも手を伸ばしすぎての落下にお気をつけの上、楽しく満点の星空を観覧してください。



369 君がいてくれれば良かった


余計なことばっかり口出しするよね、君。そういうことしてるから碌に恋人できてないの、そういう所なんじゃない?wあーあ、もういいや、君が来てつまんないからもうやめる。…今まではそう言って、嫌なことやめて、君と一緒に逃げれたのにな。



370 黒い世界の童歌


月を食う夜、静かな霧雲に隠された極光は、暗殺者の心を照らさない。

スナッフフィルムのように一息で掻き消える命に、救いはない。

嗚呼、今宵も眠り歌の代わりに銃声と悲鳴が響く。

赤黒い石を積んだ海岸には、今日も光はさしこまない。



371 「二人で死のうよ」、なんて言いたかったな


二人でどこか行こうよ、って言葉に嘘はなかった。

それまでの僕らと、これからの世界と、それから色々に嘘はあったかもだけど。

水に混じって流れる雫のように、チリになっても天を流れる箒星の様に。

だからさ、君と僕が一緒なら、どこに行ってもどうとでもなるんだから。



372 About me


さあ、これが最後だ。このタバコが燃え尽きる前に、君の秘密を洗いざらい話しておくれ。…頼むよ、これが最後なんだ。どういう形でもいい、伝えて欲しいんだよ。

君のこと知らないまんま、またタバコが消えてしまう。そんなのはもう嫌なんだ。

頼むよ、話しておくれ。もうタバコの火は…君の命はもう短いんだから。



373 ものともしない障害


え?放課後遊ぶ約束をしてた?嘘だぁ、そんな約束記憶にないもん!

え?ボイスメモ?うっわぁ、悪趣味〜って私が撮れって言った?

記憶が抜け落ちる障害を発症してる?あぁ〜〜そっかそっか。ごめん、そうだわ。今腕見たら書いてあったしwじゃあ遊びに行こうか!



374 歓楽街を下から見て


今日はお日柄もよく、ネオン街の皆さん!チカチカして仕方ないあなた方の世界、上から見れ「ば」、綺麗なんですよねぇ。ってぇ事で、空からあなたたちの世界を眺めるスンバラしいアトラクションを造らせていただきました!!

ちっぽけなお友達に手を振って、アトラクション稼働スタートです!



375 るるらったった


ねぇ、見て?超蝶結びのリボン。可愛いでしょ?私、綺麗でしょ?

狭い心を見出したのは貴方よ?貴方がくれたこの赤い薬を飲んでからすっごく調子がいいし。ねぇ、見ててよ、私のリボン。太くてほつれててみっともないけど、この麻縄のリボン、上手に結べてるでしょ?



376 君の糧


まーた紙飛行機飛ばしてる。どうせまたおんなじ事書いてるんでしょ?

「僕を見つけ出して」って。仕方ないなぁ。じゃあ、三回回ってワンと吠えなさい。

私への服従が、君の真実にしてあげるから。君の手綱は、私は握っててあげる。



377 一千万の嘘


嘘みたいって、馬鹿なこと言うのね。このホテルからの夜景も、貴方がくれた時計も、全部嘘と見栄で出来ているのよ。だからもう出て行って頂戴。欲に塗れた私を埋めるには、貴方の嘘はチンケすぎるのよ。



378 消えない32日


虚像の夏休み、抜け出せない子供達。錆びついた遊園地に跨って喚く子供と、

ありもしない現実を偶像として崇めてたあの世界。こんなにも色褪せて染みついた

みんなが待ち望んだあのすりガラス越しの世界を、見上げて。見下げて。

こんなはずじゃなかったんだって啜り泣く女の子と、それを嘲笑う神様になって。



379 まぁ、無理なんですけど。


僕はちっぽけで、みんなの方がずうっと大きくて、自分で進む力も持っている。

泥だらけになりながらもがく僕を汚いと笑うかもしれない、無駄だと嘲るかもしれない。それでも僕は、僕なりの力で。僕の声で、歌で。

君の神様になりたいから、君の心に、足跡になれる神様に。



380 遅すぎた僕らの愛


君と二人、支え合ってる「つもり」になって、君と二人幸せを気づいた「つもり」になって、結局踊らされた僕は何処にも行けなくなって。二人愛を想い合ってる「つもり」になって、いつの間にかお互い傷つけ合って、そこになって気づいたんだ。

「痛みだけでも君に残したかった」…なんて、ほんと。。最悪だよ。



381 理由のない涙、行き場のなかった生


あーあ、また泣いてる。私に会うたびに泣かれてちゃ、私が困っちゃうよ。ほら、いつもみたいに抱きしめてよ。…もう泣かないで、私は、大丈夫だから。私はもう直ぐいなくなるけど、また私は生まれ変わって君の前に戻ってくるから。少しのお別れなんだよ、君とは、また会えるから。…だから、じゃあね。



382 創作的流転、固定概念


僕はこの思いのままに形を変える世界で、神様の言いなりになるために生まれてきたんだ。言われた形に姿を変え、心を変える。存在する他の僕とも人間関係なんて直ぐ変わる。僕は駒なんだ。規律を見出してはいけないし、乱すことを考えることすら許されないんだ。



383 頭がお留守なんだから


貴方ってほんっっとうに単純なんだから、どうせ私がどこにも行かない貴方のものなんて考えてるんでしょうね。馬鹿みたい本当に、欠伸が出ちゃうわ。どうせ私が貴方に送った皮肉混じりの賛辞も、素直に受け止めてるのでしょうね。

なんで今更って?…さぁ。その足りない頭で考えてみれば、いいんじゃないかしら。



384 また今日が始まって終わる


おはよう、頑張って起きれたね。大丈夫。夜が終わるまでの、おやすみまでの辛抱だからね。震えるね、怖いね、泣きたいね。大丈夫、大丈夫だから。私がそばにいるからね。…でも偉いね、君は諦めない。私と生きることを選んでくれる。嬉しいよ。

ほら、空には満開のお星様、今日も一日、頑張ったね。



385 朝が来ないままの


覚えてる?あの暗かった世界。

何も見えない畦道を裸足で駆け回った少女時代。何かを間違えて君に合わす顔がなくなったあの時。それからのたくさん。忘れたかった思い出に蓋もできないまま、…また会っちゃったね。座って話でもしよう、私の前に。あの時とは違って酒でも飲みながら、私への恨み言でもぶつけてごらん。



386 優しかった大嘘吐き


あー…うん。大丈夫。うん、大丈夫だよ。えぇ?明らかに嘘?心配しすぎだって。

本人が問題って言ってるから問題ないの。心配性なんだからもう。

わーかった、わかったから。大丈夫、今日中にはなんとかするから。これは本当。

安心して欲しい。うん、じゃあね、また今度。



387 狂気のcreator


嗚呼忙しい忙しい…猫の手どころか孫の手まで借りたいくらいの気分だァ…

充実とはかけ離れた創作、脳が沸騰しそうで心地良いなぁ!!!あぇ?苦しくないのかって?チッチッチ、わかっちゃぁいない。自分の生み出した子供達に殺されるくらい…そのくらいなら、本望ぅなのさ。



388 陽炎が揺らぐ8月


夏は嫌いって呟く君、流れる入道雲、黒猫は退屈そうに欠伸をして。僕の脳裏に焼き付いた凄惨は嘘みたいに、君はねむそうに空を眺める。喧騒をかき消すひぐらし、進まない秒針は錯覚で。でもやっぱり、僕の視界の端に映るカゲロウだけは。

この世界が曖昧で、不定形で、偽物だって、教えてくるから、僕はまた交差点に立ち尽くす。



389 箒星の申し子


あー、楽しかった!じゃあまた今日もお別れだね。また私に会えるのはいつだろうね、きっとまた会えるよ。楽しい記憶も、悲しい記憶も、全部まとめて流れ星になるんだから!じゃあまた次、会う時にね!



390 差し伸べられた光と羽


貴方が見つけたから、貴方が手を差し伸べたから、私は変わってしまった。

もう浮き上がってこれなかったのに、もう暗く沈んだままのはずだったのに。

私のことなんて放っておいてと貴方に見向きすらしなかったのに。

なぜだろう、今になって貴方が…暖かくて、美しい。



391 Phalanx


赤信号、皆んなで渡れば何とやら。その皆んなすら遂にはいなくなって。

赤信号、残った君もかれ損。行くは安いが帰りの対価はそら重い。

青信号、進む戦車に義理もなし。群雄闊歩ぐんゆうかっぽの戰の狼煙のろしに、よもや法は無く。

青信号、全てを蹴散らす駒となれ。進む雄郡を、ただひたすらに祀りたてながら。



392 Maholova


雄大に進んでいく世界を、貴方はどう掴む。血で地を洗う紅き世界を生きるか、宇宙の青に染まる蒼い大地を見るか。雄大な山脈を望み御体を緑に投げ出すか。

私の行きたいように。私の生きたいように。自分が自分でいられるその世界を探して、今日も私はこの広大な世界を歩む。



393 Sweet Requiem


甘美な死、という概念があるだろう。本人の意思に賛同した最後…人呼んで完成系。

等しく眠る棺桶の中に美しい花々を添えて、希望と後悔と少しの恋情を寄せて。

煤になった肉体情報を元に生み出される新しい世界は、瞬く間に世界に情報を広げていく。世界に広がっていく私に、賛辞を。



394 Geometric life


無機質な世界線、花に薬と栄養を分け与える世界。

幾何学が支配する六角の世界だと、栄養が全部を司る。乳飲み児という言葉も形を残しただけで、チューブに繋がれたまま小さな両手を縛られる。嗚呼、無情。

生きると死ぬが0と1。もはや生きるのも記号となりて。



395 狂気のPrelude


ねぇ、僕偉いでしょ?すごいでしょ?凄いって言ってよ。

なんで褒めてくれないの?なんで見てくれないの?なんで僕は一人なの?

僕は周りの人がいないと何にもできないのに、みんなは僕のことを見てくれないの?

…うん、わかった。僕は必ずみんなに認められる僕になるから、だから僕をいつか、見てよ。



396 崩れ落ちた天乃光


暗くて、深ーい、闇の世界。お星さまはみんな落ちて、足元に落ちてたマッチで付けたランプが大地を照らす世界。暗いな、辛いな、寂しいな。ここに出口はないのかな。今ここで止まったら倒れちゃう、そんな灰色の世界、そんな私の心の中。



397 そして私は世界を閉じる


私は神様を信じない。小さい頃から物分かりのいい私には、分かり切った結論だった。

この世にはいくつもの「真理」と「未知」とでできている。神なんてものは弱い人間の作り出した偶像に過ぎず、それに縋るのは恥ずべきことだと感じていた。どうしようも無いものに活路を見出すのは暗いことだと、私の濁った瞳は汚い世界を見ていた。



398 九龍


無秩序に、不規則に。人の手が無作為に入ったこの廃城みたいな世界に、君は取り残される。「世界は広い!こんな腐った城壁よりも。」そう言ったあなたの言葉を示すように、高い壁は今日も星空を阻んで。僕を閉じ込める監獄を、僕を拘束するこの枷を。僕のこの溢れる衝動を、止まらない殺戮を、唯々、壊し尽くして。



399 Anti Ever Free


普通ってなんだっけ、どんな言葉もそう言うことじゃ無いんだよな、反芻がお決まりで。疲れ切った心に普遍ふへんを求めるのは毒である。死んじまいたい、そう思うのはどこまでも異常で最低であるって言われて、そんな世界で産声のように叫んで、駆け抜けて、声を枯らすまで歌い続けるから。



400 狂恋のセカイ


貴方のためだったら、何だってしてあげる。そのためだったら労力も金銭も惜しまないし、楽しく貴方と遊んであげる。でも貴方がもし他のところに行ったりしたら…

嗚呼、考えたくない、そんなのつら過ぎて貴方を殺して私も死んじゃう!私と貴方は一心同体何だから、未来の旦那様♡

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る