ミニマリズムは羨ましい

ミニマリストが鼻に付く理由②:実はあなたもミニマリストが羨ましいと思っている



〈自己愛と「理想の自分」〉

 みんなは誰しもが自分大好き。

 たまに自分のことを傷つけたり、自己嫌悪に陥ったりする人もいますが、そもそも「自分が嫌い」とは変な現象です。好き嫌いとは自分から見た「他者やほかのモノ」に対して下す判断なのに。

 ということは、自己嫌悪は自分という存在を幽体離脱のように俯瞰して眺め、判断する「本当の自分」がいるはずです。その「本当の自分」が目指す理想像と自分が乖離し過ぎているからこそ、自己嫌悪が起こるのですね。


 さて、本章では自己愛と「理想の自分」が、ミニマリストが嫌いという感情に繋がるかもしれないことを解説します。



〈今の自分の正当化〉

 突然ですが、金持ちを攻撃する人や芸能人をバッシングする人というのは今も昔も絶えないようです。それはなぜか。

 『箴言集』の作者で、17世紀のフランス文学者のロシュフコーはその理由をこう解説します。

『お金をたくさん持っている人を許せなかったり、人気な人を悪く言うのは、自分を守るために他ならない。金持ちや芸能人を否定することで、金持ちでなく人気者でもない自分を正当化しているのだ』

 と。


 つまり、人間の表に出ている行動というのは「本当の自分とは正反対のものばかり」であるというのです。

 考えてもみてください。ミニマリストが存在することで、あなたの人生に何か不利益が起こりますか? ミニマリストに攻撃されたのですか?(もしそうだとしたら④の理由でお会いしましょう)


 何だかハナにつく、何だかミニマリストがムカつく。これはあなたの心の中に、「理想の自分はミニマリストのように整然とした部屋でくつろいだり、ストレスや嫌なものを上手にマネジメントして整理しておきたい」という気持ちがあるからではないですか?



〈洗脳された私たちと我が道を行くミニマリスト〉

 先述したように、私たちは大量生産・消費の社会活動に組み込まれ、そうするように洗脳されています。

 対してミニマリストは確固たる信念と理にかなったミニマリズムを持っているから、私たちのように「不要なものを衝動買いしてしまったり、部屋にモノがあふれていたり、捨てたいのに捨て方がわからなかったり、自分に本当に必要なモノいがいも承諾したり」することは決してないのです。

 

 上の特徴をもってる人間になれたら、なんと素晴らしい人生がまってるでしょう。けど私たちはできない。だからこそ、今のふがいない自分を正当化しようとして、それを実現しているっぽいミニマリストを攻撃してしまうのでしょうね。




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