ミニマリズムは資本主義の原理とかけ離れている

ミニマリストが鼻に付く理由①:資本主義の原理とかけ離れているから



〈資本主義の根本原理〉

 私たちが生きる社会生活は、資本主義という経済体系の、大量購入・消費の上に成り立っています。そのもっともっと根本を見ていくと、「モノを今までより多く生産して買わせて、より多くのカネを生み出す」という軸があります。


 だから、経済成長という視点に立ってみれば、私たちの経済の成長はAというモノを過去も未来も全く同じ個数生産して、同じ値段で買っていたら、当然なんの成長もないわけです。

 経済成長をさせるには、Aというモノを年々生産量をあげて売り上げを更新していくか、Aをこれまでよりも高い価格で買ってもらうことが必要です。


 モノの生産と販売、そして購入なくしては、私たちの経済は停滞する――それが資本主義の軸なのですが、対してミニマリズムはどうでしょう?



〈ミニマリズムのキホン〉

 突然ですが皆さんは、会社の仲間や友達から「最近どうも疲れが取れなくて……」と相談されたら何を勧めますか? 素直に休暇を取らせる?それとも一緒にキャンプに誘う? エステ? 入浴剤? マッサージ? 病院? ディズニー? めちゃうまなレストラン?


 しかし、それらはほぼすべてが「何かを購入するか、モノを増やす」という点に目線があることにお気づきですか?

 ミニマリストなら、こういうでしょう。「お部屋を片付けたり、何かをあきらめたり、止めたり、減らしたり、断ってみたら?」


 確かにミニマリストの提案もかなり効果的なはずです。例えばデスクワークをするのに机の上が散らかっていたら、それだけでストレスがたまる人もいます。部屋に足の踏み場が無ければ、物に囲まれるのが好きな人マキシマリスト でなければ滅入ってしまいますよね。

 もしかしたらその疲れた友人は心がいっぱいで、いろんな頼みごとをされているかもしれません。そういう人には、入浴剤を買ってみてと進めるより、断る方法と勇気を伝えるのがいいでしょう。



〈ミニマリストは経済成長の敵〉

 勘のいい人はもうお気づきでしょう。

 つまりミニマリストは「不要なものを買わず、使わず、保持せず、勧めない人種」なのです。

 しかし経済成長にとって優秀な人材はその反対で、「不要なものまで買って、使い潰して壊してまた買い、たくさんの物を保有し、みんなに進める」人なのです。

 

 そして私たちは資本主義経済の洗脳にすっかり染まっているわけですから、私たちの反対を行く「ミニマリスト」をとして唾棄してしまうのです。


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