エピローグ.幼馴染が俺の恋路を全力で邪魔してくる
「それじゃあ、最優秀演劇大賞の受賞を
掲げられたグラスと共に、みんなの元気な声がカラオケボックスに上がる。
あの後、鳴り止まぬ
女子に取り囲まれる夢子を盗み見る。
あれから夢子とは話していない。
唇にあのなんとも言えない柔らかくて温かい、生々しい感触がまだ残っていて思わず顔が熱くなる。
「どうした雄二? 浮かない顔だな」
「へっ!? あ、和馬!?」
「お、おう。俺だけど? 大丈夫か?」
「お、おう......」
いかん。どうにもさっきから口が乾いてすぐにドリンクが底をつく。
今日3回目のドリンクを取りに席を立とうとした俺の前に、並々オレンジの液体が注がれたコップが置かれた。
「ユージッ! 今日は本当にすまなかっタ!」
「本当だよ。おまえには何か礼をしてもらわんと気が済まん」
「スルスル! 絶対ダ!」
そう、おまえさえハメを外さなきゃ、こんな思いはせずに済んだのだ。
怒りに身を任せてコップに並々注がれたオレンジの液体を一気に
「しっかし、今日のキッス、あれ本当にしてるみたいだったナ!」
「ぶふぉおおっ!?」
「
盛大にオレンジジュースを吹いた事でみんなの視線が俺に集まる。
「え、その反応......ええっ!?」
「えっ! えっ! あんな大観衆の中で本当にキスしたの!? きゃあっ!」
「ほらほらほらぁ! アタシの言ったとうりじゃん! あれやっぱしてたんだって!」
「俺の夢子ちゃんがぁ.........」
「リア充爆発しろ」
歌すら止まって勝手な
「ちょ、ちょっと待て! あれはーー」
「はい。本当にキスしてました」
は?
夢子の宣言にボックス内が表現し
「おまっ! 何言ってんだよ!?」
「えー? だって事実じゃん?」
「そ、そうだけど......あいたっ!?」
突然太ももに走った鋭い痛み。
痛みの方を向くと、リスみたいに頬を膨らませたアリスが太ももをつねっていた。
「ア、アリス?」
何も言わない。言わないがつねる力が増加している気がする。
「......
「茜!? あれは不可抗力っていうか......」
睨む茜に弁解しようもそっぽを向かれてしまった。
「やっぱ、佐伯くんの彼女は夢子ちゃんかぁ......」
「美男美女で幼馴染だもん! お似合いだよお似合い!」
「みんな、ありがと〜!」
「おいこら夢子! ありがと〜じゃねぇ!」
「夫婦漫才だー!」
「だから違うって!」
この誤解、果たして解けるんだろうか?
このままじゃ本当に俺の夢見た高校生が
「残念だったね、雄二」
いつものあざといあのウインクが憎たらしい。
夢子がーー幼馴染が俺の恋路を全力で邪魔してきやがる。
誰でもいいからこいつを何とかしてくれぇ!
幼馴染が俺の恋路を全力で邪魔してくる @HEHEI
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