初めてのご飯。

 K大学は駅から坂を10分程登って到着するが、その間に色々な飲食店がある。


 主に、麺類と居酒屋が複数存在しており、麺類はつけ麺やラーメン、うどん屋と油そばなどがある。


 しかし、なおや達が行ったお店はインド料理屋である。このお店の外見は、茶色の外見で真ん中に入口のドアがポツンと置かれている。その左右には、茶色の壁にこのインド料理店のメニュー表がいくつか貼られていた。


 店内に入ると、インド人のスタッフが出迎えてくれる。


「イラッシャイマセー!」


 このお店の店長が出迎えてくれる。


「マタキテクレマシタネー!」

「こんにちわ。」

「ナマステー!」あずさは言った。


 店内の雰囲気は、かなり古風な感じである。木製の民間家のようなデザインであるが、右側の壁には、インドの観光地である「タージ・マハル」や、インドの神様の壁紙が複数枚載ってあった。なので、インドの文化や雰囲気を楽しむ事ができる。


 店内の右側には、各合計4人が座れるソファー席が三つある。それぞれの席に、赤・黄・茶色の円がランダムに載ってあるテーブルクロスが被ってある、長方形のテーブルが置いてある。そして、右側の壁には、インド用語が載ってあるチラシが書かれてあった。「おはよう」だったり「ごちそうさま」のような、簡単な単語をヒンディー語でどう言うかが書かれてある。


 店の真ん中には、椅子が4つあるテーブル席が2つある。席の側面に、それぞれ2つの椅子がある。


 左側には、ソファー席が3つ程あるが、壁側がソファーでその反対側が椅子になっている。そして壁側には、ビールやインド産ウィスキーなど、様々なお酒の瓶が約50個ズラッと並んである。


 今回なおや達は、右側のソファー席の真ん中に座った。


「いやー、お腹すいたー!」

「そうだね。」

「いつもの日替わりランチにする?」

「うん。」


 ここのお店は、バターチキンカレーとナンをメイン料理としている。モッチモチのナンに、コクの効いたカレーがちょうど良い味になっているので、控えめに言ってとても美味しい。また、カレーの辛さは5段階まであり、甘口から激辛まである。


 そして、なおや達が頼む日替わりランチは、カレーとナンに加えて、サラダ・ドリンク・スープが入ってて650円。しかも、ナンはおかわり自由である。また、常連になってくると、メニューの最後に、バニラアイスを1カップ提供してくれる。本当に太っ腹だ。


「なおや、ドリンクは決まった?」

「、、、マンゴーラッシーにするよ。」

「じゃあ私も!すみませんー!日替わりランチ二つお願いします!」

「ワカリマシタ!」


 ラッシーとは、インド定番の飲み物である。材料はヨーグルトと牛乳だが、そこにハチミツなどを加えると、味がさらに際立ってくる。味はかなり甘く、トロトロとした後味が飲んだ後に残る。そこにマンゴーピューレを混ぜると、マンゴーラッシーになり、マンゴーヨーグルトを液状にしたようなドリンクなので、かなり甘い味わいを楽しめる。なおやは、マンゴーラッシーが大好きだった。


 日替わりランチを頼んで3分後、なおやとあずさのテーブルに、早速スープが運ばれてきた。

 

「いやー、やっぱなおやのドラムは安定してるねー。凄い合わせやすいよ!」

「、、、どうも。」

「絶対嘘だと思ってるよね?」

「、、、うん。」

「正直すぎ笑。まぁでも私は本気でそう思ってるからね。なおやのドラムは、部員の中で一番合わせやすいよ!」

「、、、ありがとう。素直に受け取っっとくよ。」

「うん!私達、結構相性いいかもね!」

「それは違うだろ。」

「めっちゃ即答で否定するやん。。。」

「まぁ、それは冗談として。」

「あ、うん。。。」


 3秒間沈黙があった後、僕は言った。

「僕はあずさが羨ましいよ。あずさのベースは、ものすごく繊細で滑らかだけど、どこかしっかりとした軸がある。矛盾しているように思うかもしれないけれど、根本はしっかりしてるけど、楽しむ所はしっかりと楽しんでいる感じがする。」

「へへ、そう?ありがとう笑」

「僕とあずさは、全く違う楽器だけど、僕のドラムはものすごく寄れちゃうんだよ。どこか他人のペースに飲まれている感覚がものすごくあるんだ。だから、原曲より走ったり寄れたりする事がものすごく多いんだ。本来ドラムはリズムキープしなきちゃいけないのに、ドラマー失格だよ。」

「。。。」

「だからあずさがとても羨ましい。楽しむ所はとても楽しむけど、どこか芯がある。だから、難しいフレーズもブレずに楽しく弾けている。僕はそんな軸みたいなものがないから、とても羨ましいよ。」

「、、、ねぇなおや。」

「ん?」

「私、本当になおやのドラムが好きだよ。なおやは自分のドラムに対して、芯がないって言ったけど、私にはしっかり軸があるように感じた。とても正確なリズムを刻んでくれるし、何より音が良い。なおやの出す音は、とてもまっすぐで純粋さを私は感じた。だから、私はもっとなおやとバンドを組みたいし、どんどんライブに出たいよ。」

「。。。」

「それでも、なおやが自分のドラムが気に入らないのなら、一緒に練習付き合ってあげる。私はいつでも練習付き合えるから、一緒に上手くなろうよ。」

「、、、うん。ありがとう。」


10秒間程の沈黙の後、あずさが口を開いた。


「ま、私達まだ部活入ってそんなに経ってないし、一緒に少しずつ上手くなろ!引退ライブも一緒にバンド組もうね!」

「うん。僕も組みたい。」

「、、、なんか素直にそう言われたら恥ずかしいね笑」

「ヘイ!オマテセシマシター!ナントカレーデス!」

「わぁ、美味しそ!」


こうして、あずさとなおやは、徐々に仲良くなっていった。


 



 

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