36




「ふあぁ……」

ついあくびが一つ漏れた。周りに誰もいないのをいいことに、それを噛み殺そうともしない。店長と荒木さんが出て行ってから十五分が経ったころだった。僕はパソコンの画面から顔を上げ、真っ黒な空に光るいくつかの星を眺めた。星座の名前なんてまるでわからないが。

まぁ、店長が一緒なら三十分以内には帰ってくるだろう。人が来る気配もないし、荒木さんに危害が及ぶ心配もほとんどない。この見張りの役は単調で、さっさと合流して店に帰りたいのだが。

僕はもう一度大きなあくびを漏らすと、視線をディスプレイに戻した。先程と変わらない単調な映像が映し出されているだけだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る