マグカップを床に落として割ってしまった。棚から取る時に無理な持ち方をしたせいだ。僕は右手の麦茶のパックを台所に置いて、カップの前にしゃがみ込んだ。落とした向きが悪かったのか、取っ手が根元からポッキリと折れている。

僕はマグカップと取っ手を拾い上げると、両手のそれをしばらく眺めた。使えそうならこのまま使おうと思ったが、取っ手のないマグカップは持ちにくそうなので捨てることにした。数年前から使っていたので愛着が無いと言えば嘘になるが、だからといって保存しておくほどでもない。

燃えないゴミの袋にマグカップを放り込み、食器棚の戸を開けた。母が残していったたくさんの食器の中から、取りやすい位置にあるティーカップを手に取る。僕はそのティーカップと麦茶を手にするとリビングへ向かった。

ソファーに投げてある父の背広を足でどかして腰を下ろした。この部屋も、よく見てみたら物が散乱していて汚い。

お洒落なティーカップは中身が少ししか入らなくて使いにくかった。明日新しいマグカップを買ってこようと思う。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る