元殺し屋だった過去を隠し、レストランのオーナーシェフとして平和な日常を生きる壮年男性のお話。
壮絶なバイオレンスが魅力の、現代ものの短編です。
元殺し屋、という後ろ暗い過去を持つ男性。
しかしそう簡単に過去を断ち切れるものではなく、過去を知る人間に付け狙われて……というのはある意味仕方ないことではあるのですが、恐ろしいのはその顛末の容赦のなさ。
タグの「バイオレンス」に偽りなし、ショッキングな暴力が満載でした。
読んでて心臓がヒュッとなる……素敵……。
殺し屋同士の格闘シーン、苛烈なアクションももちろん魅力なのですけれど、個人的に好きなのは背景や展開そのもの。
「主人公がようやく掴んだ平和で穏やかな日常の、その壊され方」という意味でのバイオレンスにドキドキさせられました。
いや、どちらかというと「ズキズキ」のほうが近いかも。本当に胸にくる……。
物理的な痛みや負傷以上の、何か「暴力そのものの持つ根源的な残酷さ」のようなものが胸に刺さる作品でした。