第51話カナブン



「隠しドアの開け方って、どうなってるのよ・・・全然開かないよ」


「そんなバカな・・・あれっ!仕掛けは、透けて見えるが・・・解除方法は、これって呪文だぞ・・・蜘蛛よ、お前は知ってるのか」


『▼●・□×◎。○・∵』


おおお!開いたぞ。何を言ってるのか全然理解が出来ないぞ。


もしも、蜘蛛を他の者が殺してたら・・・召喚出来ずに閉じ込められていたのか・・・これは出口の見えない罠だぞ。

想像するだけで悲惨だ。


「さあ!迷路の探索を開始しようか・・・それでいいよな・・・」


「そうね・・・この迷路は気になるわ」


「本当に助けに来てくれて助かったわ・・・あのままだと食われていたのかな・・・考えただけでゾッとするわ」


「あ!あそこで戦ってるのは・・・」



あれはムンモが進化したムンドなのか・・・黄色から青色に変色してるぞ。

それに、体付が引き締まったような。


それに戦ってる相手は1メートル弱のカナブンだ。

黄金の輝きを放ってる。


その動きは速い。


あ!渾身の1発が命中してカナブンを粉砕ふんさい


頭上から音が・・・

空中では、球体になったムンドとカナブンとすれ違う。「カキーン」と音が響く。

カナブンが足で引っかいた音だった。

え!あの攻撃はやばいぞ。


仲間のカナブンが球体にぶつかって爆発が起きたぞ。

なんと自爆攻撃だ。


床まで飛ばされた球体は無傷だ。

あんな自爆攻撃に耐えるなんて凄いぞ。


「お前らも行って戦え!」


『御意』


あ、蜘蛛が糸を使かいだす。

あれよあれよと捕まえて「プツッ」と刺す。

痙攣けいれんするカナブンを器用にぐるぐると巻きつける。


『食べていい』


いやいやもっと戦えよ。

空気を察知した蜘蛛は、壁を登って糸を尻から吐いて巣を作った。

なんて速さが・・・早速、カナブンが引っ掛かる。

暴れるから糸が絡まって・・・

蜘蛛はササッと駆け寄って刺してくるくると巻いた。


あ~ぁ、またも引っ掛かったぞ。

蜘蛛は大忙しだ。



シズは、火球を放つ。

追尾機能で逃げるカナブンを追い回す。

疲れたカナブンの当たり燃やし尽くす。


キキは、得意な風魔法で「シュバ、バシュ」と斬ってる。

もう無双だ。


あっちではナナが風魔法でカナブンを引き裂いた。

剣に風魔法をまとわせての攻撃だ。


なので3メートルも離れていても引き裂いている。


「魔法って便利ね・・・さあ掛かって来なさい」


「ナナ、違うぞ。魔法なら遠距離攻撃で距離を離して使うんだよ」


「遠距離魔法って中々当たらないのよ」


「それを我慢して戦えば熟練度が上がって、命中率も上がるハズだ。そうなれば攻撃のバリエーションが増えて良いぞ」


あ!カナブンが俺に自爆攻撃を・・・

一瞬、目がくらむ。



なんと精霊魔法の精霊が防いでくれた。

こっちを見ながら笑ってる羽の生えた精霊は無邪気だ。


『おバカさんね』と言ってるような気が・・・そして薄っすらと消える。


なんだか助けられたみたいだな。


自爆したカナブンを召喚。

ダメもとでやってみて成功。バラバラのカナブンが再生したぞ。


俺の前まで来て、前足をこすってるぞ。


『旦那・・・なんでも御用を言ってください』


「戦ってこい」


ブ~ンと飛んで行ったぞ。

あ、後ろから襲って羽を切り落とした。

そんでもって背中を切り開いたぞ。めちゃくちゃな奴だな・・・


それにしても変だ。

このカナブン、なんだか無限に出てきてないか・・・

あんなに戦ったのに全然減ってないぞ。


魔眼でスミズミまで見て回る。

あ!あれか・・・カモフラージュされた穴からカナブンが飛び出している。


穴から伸びる魔力をたどる・・・壁の下にいって床のこの部分だ。

足で踏んで「カッチッ」と音が・・・


あの穴がふさがったぞ。

これもトラップの一種か・・・


俺も精力的に戦いカナブンを10体まで増やす。

どいつもこいつも一癖ある奴らだ。


『なんでもいいので報酬を・・・』


労働の対価まで求めてきたぞ。仕方ないので小さな魔石をポンと投げた。

立上がって前足でキャッチして口元へ・・・


『なんと芳醇な・・・』そんなことを言って食べたぞ。


今後は、コイツのことをグルメと呼ぼう・・・

それにしても人格を持ったカナブンは、扱いが難しいかも・・・


そして30分後には、戦いは終わった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る