第52話砂



このピラミッド内は、トラップだらけだぞ。

まだまだトラップがあるハズだ。仕方ない・・・


「いいか・・・ここから俺が先頭でトラップを探しながら行くから・・・無闇に俺の前に出るな!」


「それも仕方ないわね・・・命を落としそうになったし・・・みんな蜘蛛が悪い!」


『え!なぜ・・・』蜘蛛はモジモジとしてる。


『蜘蛛さんも大変ですね・・・クククク』


あ、グルメが横で笑ってるぞ。

虫だから表情が全然分からん・・・




しばらく歩いた。この通路は、なんだ・・・

通路の床全体がトラップなんて・・・足が一歩でも入れば完全にアウトだ。

成る程・・・ああなってこうなるのか。


「この床全体がトラップが仕掛けられてるから、俺が飛んで行った先に着地すれば大丈夫だ。蜘蛛は壁を這って行け」


風魔法で空中1メートルに浮遊。その浮いたまま10メートル先に行き着地。


「絶対に踏むなよ。踏んだら両壁が迫って押し潰されてしまうからなーーその圧力は凄いぞ」


「え!ペシャンコになるの・・・なんか想像してしまったわ」


蜘蛛は、壁を這って向かってきている。


『我らも行くか・・・』


カナブンも羽を出したブ~ンと飛んできた。

ムンドは、丸くなって一気に飛んでいる。


「ゴン、ゴン、ゴン、ゴン、ゴン、ゴン、」と音を鳴らせて着地。



残った彼女らは、顔を引きつらせるシズの周りに集まっている。


「シズ、大丈夫なの・・・緊張してないよね・・・緊張して失敗だけはダメよ」


「この子、緊張すると魔法を失敗をするのよ。ああダメだわ・・・押し潰されるイメージが・・・」


「そんなことを言ったら、余計に緊張してるわ・・・大丈夫だって、わたしに抱きつくの」


シズは、安堵した顔でリサにギュッと抱きつく。

瞬間移動で一瞬で着いていた。


「リサのことが大好き!」


「もう!甘えん坊ね・・・」


呆れ顔でナナとキキも飛んできた。





そして、30分も歩いただろう。

通路の先には、野球場のグランド程の空間が広がっていた。


「入った瞬間に何かが起きるに決まってるわよ。それが何か分からないの・・・」


「ある程度は分かるけど・・・こうも広いと・・・怪しい気がするな」


「わたしには、サッパリだわ・・・しかし、これって砂なの」


しゃがみ込んでマジマジと砂を見る。

触りそうなナナの手をつかんだ。


「触ったら何が起きるか分からないぞ。それでもいいのか・・・」


「ごめん・・・」



そうなのだ。硬い床でも土の地面でなく砂なのだ。


『旦那、ここはオレッチが偵察に行ってくるんで、例の魔石をくれるとありがたいです』


え!グルメが行ってくれるのか「後でやるから行ってこい」


『旦那、約束ですよ』


ブ~ンと飛んで行ったぞ。

気持ち良さそうに飛んでたが砂が盛り上がってきたぞ。

その砂が形を形成。それは砂の中から伸びる手だ。

そんな手がグルメを捕まえようとしている。

指のすき間からなんとか逃げ出すグルメ。


『こっちに来るな!バカ助が!』


グルメの奴が悪態をついたぞ。



あ!違う方向から手が伸びてきた。


『まだ追って来るのか・・・バカ助!』


高く高く飛ぶグルメ。そして急に右に飛んで、急に左に逃げる。


そんな間も俺は魔眼で砂を見続ける。


あ、見えたぞ・・・あれが正体か・・・

4つの魔力の塊が砂を操っていた。


なのでグルメを追う手は4つだ。

その手の真下に魔力の塊があるのは間違いない。


俺は風魔法で飛んで砂の中に結晶刀を飛び込ませる。

高周波振動で「キィーン」と鳴り響く結晶刀。


砂の中でも「ブーーゥ」と鳴り続ける。

そして、魔力の塊に命中。

その途端に真上にあった砂の手が崩れた。


今度は右の方の手だ。


「よっしゃーー手応えがあったぞ」


真上にあった砂の手が又も崩れた。


「なんだと・・・俺を狙うのか」


新たな結晶剣を出してて真下に投げる。

高周波振動の結晶剣がグサッと突き刺さったぞ。


「残るは、お前だけだ」


砂の手を崩して砂の中を必死に逃げる。

しかし、砂の中を2つが追いかける。


「それでも逃げるのか!」


結晶ナイフを出して。狙いを定める。

手の中で風の噴射で一気に放つ。

逃げる先に放たれた結晶ナイフが魔力の塊をつらぬく。



『旦那、よければ報酬の方も2つでお願いしますよ。それだけの仕事はしたので・・・』


仕方ないな~・・・ポケットから2個の魔石を放り投げる。

前足で1つをキャッチ。

中足で2つ目をキャッチ。


『これ、これ・・・良い匂いだなーー』


俺は砂の手を召喚。


砂の中から光る玉が飛んできたぞ。

直径が10センチ程だ。


え!光る玉は話せないのか・・・


上下に動いて話せないと訴えかけてる。


「そうか、分かった。分かったから、そんなに激しく上下に動かなくていいって・・・」

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