第48話白い鳥



スケルトンが指差した方向に飛んでいた。


すると・・・いつの間にか白い鳥の群れに囲まれていたぞ。

鳥の大きさは5メートル越えだ。


「リサ!戦うしかないぞ!」


「分かってるわよ!」


リサは、無数の風の風撃を放つ。


しかし、相手が悪かった。

その斬撃も相手が放つ風撃で相殺されて、数で勝る相手の反撃を食らう。

なんとか水魔法の水壁で防ぐ。


俺は、バリバリバリと雷撃を放った。

あまりにも速い攻撃魔法で半数を失っている。


空中で姿が崩れ去っている。

あまりにこ強い攻撃魔法だったので召喚が間に合わないぞ。


ちょっと結晶刀を取り出して、致命傷を与えるために瞬間移動で後ろに回り込む。

手加減しながら斬りつける。


そして召喚する。

土くれになる前に手応えが・・・あ!成功だ。


『なんなりと御命令を・・・』


「あの白い鳥をやっつけろ」


鳥は凄い勢いで飛んで空中戦を挑んだ。

互いにもつれ合って地面へと落下。

ムクッと起き上がったのは、俺が召喚した鳥だった。


リサの方は逃げ回りながら、反撃の水撃を放っている。

風撃と水撃が衝突。

水撃が優位で風撃を押し戻して突破。相手に負傷を与える。


それからはリサは、水撃を何度も放って撃退。


その間の俺は、4体の白い鳥の召喚に成功。


「ああ、疲れたわ」


「あ!あれって三角の建物に見えないか・・・」


「どこに・・・全然見えないよ」


魔眼だから見えるのか・・・




もっと飛び続けて見えてきたのがピラミッドだ。


四角錐状しかくすいじょうで建てられて真新しいぞ。


「なんでエジプトのピラミッドがここにあるのよ・・・あ!あそこに穴が・・・もしかして入ったの・・・」


ピラミッドの中間の穴がポッカリと開いていた。


「こんなツルツルの壁をよく登ったな・・・」


穴の先は階段になっていた。

そして、そんな穴に舞い下りたリサは、内側の壁に手を触れる。


「カチッ」と音がして「ガガガガガ」と穴がふさがった。


「リサ!そこに居るのか!」


微かに音が聞こえるぞ。

無事のようだ。しかし、仕掛けがあるのは明白だ。

浮遊したまま壁を魔眼ににらみつける。


あ!これか・・・触ると「カチッ」音がして「ガガガガガ」と開いたぞ。

どんな仕掛けになってるんだよ。


「ああ、もうダメかと思ったわ」


「むやみに触りから、こうなるんだよ・・・それにしても狭い穴だな」


「だから壁に触ったのよ。仕方なかったの・・・」


なんか反省してるみたいだ。


『御主人!我らは・・・ここで見張りをして待ってます』


なんて主人思いの魔物なんだ。


「このまま先に進むか・・・それか俺が先頭に変わってもいいぞ」


「そうね・・・変わってくれる」


狭い穴で互いに四苦八苦しくはっくしながら俺が先頭に出る。

何か仕掛けがないか魔眼で注意しながら進んだ。


「ナナ!キキ!シズ!いないのーー!」


必死に叫ぶリサ。


「急に叫ぶなよ。きっと先に進んでいて聞こえない距離にいるんだよ」


「そうかしら」


「あ!この階段を踏むな!仕掛けがあって踏むと・・・階段が引っ込んで滑り台のようになるぞ」


俺は、1段を乗越えた。

そして振る返ってリサを見る。


緊張するリサが足をぷるぷると・・・あ!階段に触れたぞ。

「ドン」と階段が引っ込んだ。

もう急降下だ。



踏んだ本人は「キャーーー」と叫ぶ。




「あたたたた・・・腰が」


「わたしは大丈夫よ・・・」


リサのせいで、こんな目にあったのに・・・なんて言い草だ。

それに俺をクッションがわりか!


そしてリサは、俺の頭上から恥ずかしそうに降りる。


余りにも痛い。

腰や右肩に光魔法で癒す。あああ、ようやく痛みが取れたぞ。


「ナナ、キキ、シズ、居ないのーー!」


『ナナ、キキ、シズ、居ないのーー!』と木霊こだましてるぞ。


「あ!これってシズのスマホだ・・・壊れて使い物にならないぞ」


「どれ、わたしにも見せて・・・あ!発火したわ」


何するんだよ。

床に落として燃えてるから完全にアウトだ。

そして、スマホの炎が消える。


それが合図となって薄暗い空間に明かりが灯り出した。


それは、広い空間だった。



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