第29話円卓




リバン姉妹は、帝国の皇宮の中をズカズカと歩いていた。


「困ります・・・なんの連絡なしに皇宮の中に入るのは・・・」


「もう入ってるではないか・・・今さら困ることもない。こっちには大事な話があると言ってるではないか・・・はやく殿下に知らせる必要があるのだよ」


「あなた!お姉さまに盾を突く気なの・・・いっそ死にたいの」


「え!滅相もございません」



新たな皇宮警護の兵15人に取囲まれている。


「このまま進めば我らも容赦しませんぞ!」


シーナは、右手を振ってみせる。

その途端に兵15人は、倒れて寝込んでいる。


「シーナ様!皇宮での魔法の使用は謀反ですぞ!」



「何事だ!」


ドアが開き皇帝が現れた。

皇帝の後ろには、女性2人が控えている。


「皇帝殿下、このシーナ・リバンがゲートの妨害犯を見つて参りました」


「それで・・・見つけた妨害犯は」


「それが取り逃がしてしまいました。これには訳がございます。奴は日本人ですが魔法が使えるようで、この私が一瞬で眠らされたのです。そして手錠なる物で拘束されて魔法発動が出来ない状態にされたのです。最後はアメリカに連れていかれて手錠を破壊して、破壊の限りを尽くして逃げて参ったのです。しかし、御安心下さい良い情報を仕入れて参りました」


「シーナよ・・・よく無事で帰って来たな・・・そして情報とは」


「アメリカの情報では、妨害犯の名は榊勇さかきゆう21歳と判明しております」


「そ奴は、元々が魔法が使えていたのか・・・」


「それが、ゲートが開いてから使えるようになったようです。こちらのゲートの破壊工作は、奴と仲間の4人の女の仕業です。その女も魔法やスキルが使えるようになったと・・」


「あい分かった!急いで宰相を呼ぶのだ。そして魔法使い12使徒の召集を急げ」





呼び集められた魔法使い12使徒。

順位は付いているが互いの実力は、微妙であった。

なので円卓で好きな位置に座っている。


顔には、気に入った面をかぶり素性を隠している。


髑髏面「我が弟子を殺した奴の正体が分かったらしいと聞いたが・・・それは、まことの話か・・・それが本当なら早く教えろ」


うさぎ顔が中央にある水晶に手をかざす。

水晶はボワントと光りだして、中央に男の等身大を立体的に映し出した。


髑髏面「こいつか・・・我に任せろ」


髑髏面は立上がって部屋から出ようとしている。



「待たぬか!」


殿下は、うさぎを見た。


うさぎ「我は、この男に呆気なく倒された。そんなことは1度も経験をしたことがない屈辱だ。しかし、対策なしで向かっては同じ目にあうぞ・・・あな時は急に生命の危機を感じた覚えが・・・」


髑髏面「それに似た現象は知っているが・・・まさか」


「思ったこよなら何でも言うのだ。何の現象だ」


髑髏面「弟子が持っていた生命吸引に似ていると・・・しかし、我らには効かぬハズだ。膨大な魔力を吸取るなんてあり得ん」


うさぎ「奴は普通ではない。それだけは言える・・・もしも、生命吸引に他の魔法を使って吸引力をアップしたと仮定すれば・・・」


黒うさぎ「それなら可能性は大きいわ・・・そうに違いない・・・対処方法はあるの・・・」


髑髏面「あるにはあるが・・・禁呪の生命転移がある。生命を人形に転移させてる方法だ。そして肉体には生命が無いので生命吸引は無効になるだろう。しかし、体が死んだ場合は、生命が戻る場所がなくなり生命も消え失せてしまう。それに転移させられた人は術をかけた人の言いなりの状態だ」


トラ「つまり髑髏の操り人形になるのか・・・魔法は使えるのだな・・・」


髑髏面「ああ、使えるぞ。制限なしで使える」


ドラゴン「魔力を使い切ったら肉体も滅ぶぞ。そんな対処方法に志願する奴がいるのか・・・」


うさぎ「あの屈辱が晴らせるなら、志願してやる」


円卓がざわめく。


「静まれ!その禁呪を皇帝の名のもとで許そう・・・このまま封印の儀式を遅らせることは出来ぬのだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る