第28話ニューヨーク




シーナ・リバンをギルド本部に瞬間移動して引き渡す。

田宮に儀式の話も詳しく話して聞かせた。


「それって本当なのか・・・」


「ああ、本当の話だ」


ギルドメンバーの中には、今にもシーナ・リバンに襲い掛かる者も居たが周りの者に止められている。


「お前なんかぶっ殺してやる!」


「こら--!やめるんだ。その気持ちも分かるが・・・ここは、たえろ!」


大変なことになったな。


「もう、俺ら帰るから・・・ここから出て行ってくれ」


無理やりに部屋から追い出す。

もう、廊下で取っ組み合いが起きてるぞ。


そんな光景を見ながらドアを閉める。

そして、瞬間移動で我が家に帰った。




もうギルド本部は、てんやわんやである。


ギルド内でも過激派で知られる御坂みかさ一派が大勢で現れて、シーナ・リバンを引き渡せと要求。


「御坂、誤った判断をするな。ここはギルドマスターの俺に任せろ」


「田宮は、何も分かってない。お前のやり方は、なにもかもゆる過ぎだ!。その女を拷問にかけても俺の妻の居所を吐かせてやる」


「御坂、違うんだ。シーナ・リバンは日本人の行き先は知らないのは明白なんだ。この録音記録を聞けばわかることなんだ」



そのなあわただしい場面に「はい、そこまでしてもらうぞ。これより政府が管轄する機関のギルド内部監察がシーナ・リバンの身柄を拘束する。逆らったら法の下の平等に厳格に処罰するぞ!分かったら引き渡してもらう」


「ギルド内部監察官!そんなの聞いてないぞ!!」


「そんな組織、聞いたことがないぞ!部外者は出て行け!」


「オーの事件で、緊急的に設立された政府機関だ。言いわけや理屈を、くどくどと並べ立てても無駄だぞ。俺は、検察官であって警察の権限の捜査も与えられている。この場で公務執行妨害罪してもいいんだぞ」


スーツの襟には、紅色の旭日に菊の白い花弁と金色の葉があしらってあった。


それを前面に見せびらかす。

その形が霜と日差しの組合せに似ていることから、厳正な検事の職務とその理想像とが相まって「秋霜烈日しゅうそうれつじつのバッジ」と呼ばれている。


連れて来た男は、警察手帳を見せて手には、逮捕状が・・・


「シーナ・リバン、あなたにはテロの容疑で逮捕状が出ています。午前11時24分に逮捕します」


そのまま無理やりシーナ・リバンを連行。




「田宮、どうする・・・」


「誰かが情報を漏らした奴が、ここに居るはずだ。そいつを探し出して2度と起きないようにしてからだな・・・」


「そうか・・・俺も協力するぜ」



- - - - - - - -



ギルド内部監察の建物。

その入口で、ちょっとした騒ぎがあった。


10人のCIAと名乗る人物がアポの無くやって来たからだ。


「田嶋検事に会わせてくれ。そちらの総理大臣には話はついている」


「身元のハッキリしてない者を通す訳にはいかない・・・見せられた身分証明も確認が必要です。警備室へ来てもらえないか・・・」


「いいだろう」


田嶋もやって来て警備室で、総理に連絡することになる。


「総理!それでよろしいのですか!・・・・・・はい・・・・・・その決断が正しいのか歴史が判断するでしょう」


受話器を叩きつけていた。


「そちら側も了承してくれたようだね・・・CIAもそれなりの情報をつかんだら情報提供もあるだろう」


男は部屋から去ってゆく。

行き先は、シーナ・リバンを取調べ中の取調室。



「検事、なんとかならないのですか・・・」


「橋本、どうにもならない・・・ギルドの連中もこんな気分だったのか・・・」



- - - - - - - -



アメリカ本土に送られたシーナ・リバンは、秘密にニューヨークの超高層ビル地下3階に居た。


プライベートもなく監視カメラで24時間も監視が続けられている。



こんな屈辱は初めてだわ。

帝国の魔法使い8位の私が、こんなひどい目に遭うのも奴のせいだ。

この忌々しい手錠さえなければ・・・



アメリカ人の野蛮人に殴られたり蹴られたりしても、体内に発動する魔法まで封じることは出来なかったようだわ。

だがプライドはズタズタで、奴らの忌々しいく見る目の前でトイレまでする羽目に・・・


それに、ここのトイレは洗浄機能が無いなんて・・・

その度に奴らに拭かれる屈辱に耐えねばならないなんて、こいつらを殺してやりたい。

その度に、この手錠を見てしまう。




食事も不便だが手錠のままでの食事を、あ!スープをこぼす・・・あれ!手錠に異変が・・・


これは塩の効いたスープのせい・・・手錠の封印が揺らいだ気が・・・

もしかして・・・


それは確信へと変わる。

誤魔化しながらタラタラとスープをこぼす。

ようやく見えた希望。





「なぜ、拷問が効かない・・・」


「多分ですが・・・自己を守る魔法を発動してるのでしょう。ただし体以外の魔法行使は出来ないみたいです」


「するとメテオや放出系の魔法は封じられていると解釈してもいいのかね」


「例のエスパーミエの証言では、体を結界のようなものでおおい、心を読め無くしてると・・・」


「それではお手上げかね・・・」



けたたましく警報が鳴り出す。


「何が起きたのだ」


「大変です!魔女が逃げ出しました!」


「あの手錠で封印されていたハズだ」


「それが・・・何日も密かに塩系の汁で破壊されていたそうです。警備スタッフも大勢が殺されています。なので逃げてください」


「監視は何をしてたんだ!」


「手錠のままの食事では、いつものようにポロポロと落としていたので・・・あれがワザだとは・・・」


「あきれ返って物も言えんぞ」


しかし、ドアが吹飛んだ。

目の前には、シーナ・リバンが居た。


え!視線がくるくると回っている。

あれは、私の胴体なのか・・・意識が遠のく・・・



その日、ニューヨークはメテオによって炎の海と化した。

超高層ビルは破壊尽くされて、瓦礫となっている。


その炎は夜になっても消えることはない。

ニューヨークは、1日で650万もの死亡と重傷者をだしていた。

今世紀最大のテロ活動であった。


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