第19話買い物




アウトレットで女性陣の買い物につき合わされたよ。

まあ、女性とそれも複数で初めての体験だった。


え!ここに入るの・・・


「早くきてよ、着た姿を見て選んで」


なんて大胆な、他の客が居るのに。


女性の下着売り場なんて男1人で行けないよ。

あ、腕を引張るなんて反則だぞ。


なんかドキドキする。

こんなの着るのか、やっぱ黒っていいな。


「何を真剣に見てるの、黒か・・・黒がいいんだ。なら選んじゃうから・・・」


それにブラなんかカップサイズで買うものだと思ってたよ。

それがカップとアンダーサイズで合わせるなんて知らなかった。


「ねえ、この下着姿どう思う」


黒でエロエロだ。

みなが見てるのに、何て言えば正解なんだよ。

綺麗だよ、魅力的だよ、ああワケが分からん。


「お客様、この服と下着は、どこのブランドでしょうか・・・」


え!店員がそんなことを聞いてきたぞ。

あれって蜘蛛の糸で作ったものだよね。それも白一色の・・・

ちなみに俺も白一色の服だ。5人が白だから場違いで、どこへ行っても目立つ。


「わたしの手作りよ」


「よろしければ両方を買取らせて頂けないでしょうか・・・下着は10万、服は30万でいかがですか、いま試着されてる下着は無料ですので着たままで大丈夫です。今から案内する店の服も無料で提供させて下さい」


「どうしょうか・・・」


「それって私達も」


「はい、よろしければ・・・」


「お言葉に甘えてもいいの・・・」


「この滑らかな生地に肌触りの素晴らしさ、感動しております」




結局、俺だけ白いままで4人は新しい服をきてキャキャしてるよ。

俺の手には、沢山の袋を下げている。


どこか見えないところへ、そうだトイレにいちゃえ。

あ、誰もいないから収納。


トイレから出ると彼女らは、道行く男性の目を引いているぞ。

離れたことで分かる事実だった。


そして俺のいないことに気づく。

俺を見つけて駆け寄る彼女ら・・・ああ、男性の目線がきついぞ。


俺は、幻魔法を発動。

徐々に彼女と俺の存在をまぼろしのように忘れ去る存在に・・・


男性は、急に正気に戻って、ようやく歩きだす。

幻魔法が万能に思えてきたよ。




「どうも男達の君らを見る目は異常だよ」


「ユウは、やきもちを焼いてるの・・・それなら私は嬉しいよ」


「え!シズは、シズは・・・」


「それどころじゃーないよ。あの目は絶対に変だよ。俺が思うに魔物を倒して力や素早さが上がったよね。人間の魅力も上がったように思わないか」


「たしかに・・・日本に来てから女性がユウを見る目も変だった」


「そうそう、わたしも」


「だから幻魔法で容姿と魅力を落とすから、それでいいかな」


「仕方ないわね。競馬場のこともあるから」





スーパーで彼女らが買い物して、俺の所まで持ってくるのを待つ。

俺は、無限収納に収納するだけだから・・・


え!ナナは大量のレジ袋をさげながら来たよ。


「ナナ、それって目立つぞ。カートごと持って来ればいいから」


「あ、そうか・・・」


「園芸店があったから野菜の種も買って来たわよ」




「さあ!我が家に戻るか・・・」


「じゃーー行くよ」


あ!リビングだ。


『親分、お帰り』


「ただいま」なぜかホッとするな。



- - - - - - - - - - - -




アメリカのブランド大手の会議室で緊急会議が召集。


「新しい布についての詳細を報告します。光沢や肌触りは申し分ない評価で、ハサミによる切断は不可能でした。銃での発砲でも弾丸の貫通も認められません。火でも燃えませんでした。2000℃に熱しても燃えることもありません。未知の糸と言っていいでしょう」


「私の方からも報告があります。服の形状を調べた結果。縫った形跡が見られません。まるで立体的に編んだような一体物です」


「それが日本の店で買取ったのか・・・売った相手は特定できたのかね」


「できてます。監視カメラの映像で調べた結果。大変な事実が判明しました。新宿事変で行方不明なった柏木奈々、柏木嬉々、山吹理沙、楓静の4名で間違いありません。全ての家族構成を調べた結果、東京で死亡が確認されてます。調査中の男性1名は、今だに不明のままです」


「それなら考えられる可能性は、ゲート向こうの新素材か・・・これは、ビックチャンスだぞ。他社に絶対に知られるな、そして入手ルートの確保に取り掛かれ」


親会社にも知らされ、巨大プロジェクトになろうとしている。


最初にやったのは、日本の企業の買収であった。

日本経済は、破綻の危機の瀕していて、買収は着々と進んでいる。


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